初夏を詠んだ短歌3  はつなつ の かぜ と なりぬ と みほとけ は をゆび のうれ に ほの しらす らし 会津八一  この初夏(しょか)の庭は樹ぶかく暮れにけり水のおとこそ聞かまく欲しき 中村憲吉  初夏の風ビルの谷間をふきぬけてとまれる車いろどりをもつ 中野菊夫  初夏の一日一日は危ふきに吹く風あそぶ天の夕雲 清原令子  木に熟れし桃捥(も)ぐひとのむきだしの腕にこぼるる首夏のひかりは 久々湊盈子  ブラウスの中まで明るき初夏の陽にけぶれるごときわが乳房あり 河野裕子

昨日訪れた鎌倉浄妙寺では,今,ヤマアジサイが最盛期.初夏の雰囲気を満喫してきました.

 

今の季節,浄妙寺の花が少なくなってきていますが,ヤマアジサイ以外にも色々楽しむことができました.

白花のサツキは,これから咲くぞといった感じで,ポツポツ咲き始めてきています.ツツジの中では一番好きな花かもしれません.白が美しい!

ツツジはそろそろ最盛期.その手前にある白い花.私は名前を知りませんでしたが---

調べてみると,カルミア.ハナガサシャクナゲとも呼ばれているとのこと.北米・キューバ原産.浄妙寺には,少なくとも3株あって,どれもかなりの古木でした.

とても小さくて,見落とししてしまいそうなのが,白花のタツナミソウ.昨年,丁寧に手入れしている庭師さんに出会って,今年は?と楽しみにしていました.

エゴノキ.花が咲いている所を見たのは初めて.庭の奥で近寄れませんでしたが.

小さな花が沢山ついていて,なかなか美しいコミノネズミモチネズミモチはよく見るのですが,意識してしっかり見たのは初めて.

ヤマボウシ.この時期,鎌倉でよく見かけます.


初夏(はつなつ,しょか)・若夏・首夏を詠った短歌3

(古今短歌歳時記より)

 

はつなつ の かぜ と なりぬ と みほとけ は をゆび のうれ に ほの しらす らし  会津八一 鹿鳴集

 

初夏の庭は樹ぶかく暮れにけり水のおとこそ聞かまく欲しき  中村憲吉 林泉集

 

 

この初夏の日に赤土のひややけき路みえてをり松の間に  佐藤佐太郎 帰潮

 

初夏の風ビルの谷間をふきぬけてとまれる車いろどりをもつ  中野菊夫 風の日に

 

少年発熱して去りしかば初夏はつなつ)の地に昏れてゆく砂絵の麒麟  塚本邦雄 装飾樂句

 

若夏の青梅選むこずゑには脳(なづき)も透きて歌ふ鳥あり  山中智恵子 みずかりなむ

 

初夏の一日一日は危ふきに吹く風あそぶ天の夕雲  清原令子 繭月

 

草原に星まぎれつつ—ひっそりと初夏の夜更けの人影は寄る  松坂弘 石の鳥 

 

木に熟れし桃捥(も)ぐひとのむきだしの腕にこぼるる首夏のひかりは  久々湊盈子 黒鍵

 

ブラウスの中まで明るき初夏の陽にけぶれるごときわが乳房あり  河野裕子 もりのやうに獣のやうに