野生菊
NHKみんなの趣味の園芸では,菊を以下のように分けていますが,種としては全て同じキク Chrysanthemum ×morifoliumになります.
大ギク(大菊) …菊花展などで見られる観賞菊など
古典ギク(古典菊) …伝統菊,江戸菊,伊勢菊,肥後菊など
小ギク(小菊) …懸崖仕立てや盆栽仕立てで楽しむ小ギクなど
ポットマム(洋菊) …ポットマム,スプレーマム,ガーデンマムなどの洋菊の仲間
野生ギク …山野草として楽しむキクなど
この分類では,「野生菊」は,「キク(Chrysanthemum morifolium)に近縁の野生種」とされます.
https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-52
キク属ですが,当然のことながら,園芸種であるキクChrysanthemum ×morifoliumでは,ありません.
一方,野生菊は「野菊」と呼ばれることもあります.ノジギクは「野菊」の代表的な種とされますが,同じく代表的な野菊とされるノコンギク,ヤマシロギク,ヨメナなどはシオン属(アスター属/シオン属 Aster)に分類されています.
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/10/28/013847
野生菊の種
https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-52
ノジギクChrysanthemum japonense
アシズリノジギクChrysanthemum japonense var. ashizuriense
リュウノウギクChrysanthemum makinoi
ワカサハマギクChrysanthemum makinoi var. wakasaense
ナカガワノギクChrysanthemum yoshinaganthum
キクタニギク(アワコガネギク)Chrysanthemum seticuspe f. boreale
シマカンギクChrysanthemum indicum
イソギクChrysanthemum pacificum
ハナイソギク Chrysanthemum × marginatum
シオギクChrysanthemum shiwogiku
キノクニシオギク(キイシオギク) Chrysanthemum kinokuniense
コハマギク Chrysanthemum yezoense
https://www.uekipedia.jp/山野草-カ行-1/コハマギク/
こられの野生菊は,花の性状から大きく三つの系統に分けられるようです.
http://www.frc.a.u-tokyo.ac.jp/wp-content/uploads/2019/07/fe638ffee2a185d8578db11529c36a46.pdf
この系統図には,コハマギクの名前がありますが,Nippon daisyと呼ばれ海外でも人気がある(らしい)ハマギクは掲載されていません.
ハマギクは,先日出かけた大船フラワーセンターにも植えられていました.
ハマギクは別属とされているんですね.しかも一属一種!
学名は,Nipponanthemum nipponicum.「日本の日本」という名の植物といえます(東京大学 柴田氏).
http://www.frc.a.u-tokyo.ac.jp/wp-content/uploads/2019/07/fe638ffee2a185d8578db11529c36a46.pdf
そして,アメリカの著名な育種家ルーサー・バーバンクが,浜菊(N. nipponicum)とフランスギク(France菊、Leucanthemum vulgare)を交配して育成したのがシャスターデージーです.
https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-682
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/10/06/171635
水色に塗りたる如きおほぞらと白き野菊のつづく路かな 与謝野晶子 青海波
のぢ菊の一むら白き吾があたり立ち行き妻は草むらに入る 近藤芳美 静かなる意志