コショウ1 黒コショウと白コショウ 日本でも,最近は黒コショウ・白コショウが普及しつつあります.黒コショウと白コショウは同じPiper nigrumの実で,作り方が異なります.辛み・風味・使用法についての解説は,日本語サイトと英語サイトでは異なる部分があります.日本/アメリカの製品・好みを反映したものかもしれませんが,素材による使い分けに英語サイトは触れていません.一方,英語サイトでは,「白コショウはフランス料理,中華料理,ベトナム料理などでよく使われる」としています.

スパイス(スパイス&ハーブ)について,簡単にまとめていこうと思います.シソ科のハーブについては,シソ目シソ科のシリーズで取り上げたので,今日からのまとめでは省きます.

 

スパイス(スパイス&ハーブ)1

コショウ1 黒コショウと白コショウ

コショウと聞いて,私が思い浮かべるのは,S&Bの商品「テーブルコショー」.

https://www.sbfoods.co.jp/recipe/pickup/detail/041.html

最近でこそ,「黒コショウ」「白コショウ」が普及してきて,「テーブルコショー」は徐々にラーメン屋さんの定番商品の感が強まってはいますが,今でもコショウの代名詞といえばこの商品かと思います.

S&Bによれば,このテーブルコショウは,

「日本人が創りだした香辛料の逸品」(

https://www.sbfoods.co.jp/products/category/brand/?category).

「日本オリジナルのようです。このタイプのこしょうは、日本オリジナルのようで、欧米には見当たらないといいます.(https://www.sbfoods.co.jp/sbsoken/qa/spice-herb_item.html

「黒こしょうと白こしょうをミックスした形態になった。それは黒こしょうの野生味と白こしょうの芳香性をうまくブレンドし、洋風料理に幅広く合うようにしたのです.販売当時の1950年代は、黒こしょうだけでは、日本の料理には目立ちすぎ、白こしょうだけでは抵抗がありました.結局、日本の食生活や食文化の感覚にあった色合い、香り、見た目を考慮して、黒と白をミックスした製品を創造したのです.」(https://www.sbfoods.co.jp/sbsoken/qa/spice-herb_item.html

 

 

しかし,最近,黒コショウが,日本でも一般的なコショウになりつつある気がします(私が使い始めたためこう思うだけ?今までテーブルコショーを使っていた場面で,私も,黒コショウを使うようになりました)

「日本でも」としたのは,「特にアメリカでは,黒コショウが一般的といってよい」ためです.フランスでは,主に見た目重視で使い分け,例えばホワイトソースには白コショウが定番のようです.

https://www.mccormickscienceinstitute.com/resources/culinary-spices/herbs-spices/black-pepper

https://tastecooking.com/the-invisible-spice/

 

黒コショウと白コショウの違い

黒コショウと白コショウは同じPiper nigrumの実で,作り方が異なります.

作り方の基本は以下に記したとおりですが,白コショウは発酵させる場合もあるそうです.また,辛み・風味・使い方に関するネット上の記載は必ずしも統一されていません.使い方としては,「実際に使って見てから好みで」というのが正解かもしれません.

 

https://www.lafayettespices.com/blogs/news/black-pepper-vs-white-pepper

・黒こしょう:色づきはじめる直前の緑色の果実を摘み取って果皮ごと天日乾燥させたもの.

 

・白こしょう:赤く熟した果実を水に浸して果皮を柔らかくしてから取り除いた上で,乾燥させたもの.

https://www.sbfoods.co.jp/sbsoken/qa/spice-herb_item.html

 

一般に「白こしょうに比べて黒コショウの方が辛みが強く,野生的な香りがします」と言われます.

https://www.sbfoods.co.jp/sbsoken/qa/spice-herb_item.html

https://www.lafayettespices.com/blogs/news/black-pepper-vs-white-pepper

黒コショウに刺激的な風味という点ではほとんどのサイトが一致していますが,辛みに関しては逆としている英語のサイトが複数あります.辛みとツンとする香りはなかなか区別しにくいためかもしれません.辛みの主成分ピペリンの量は,実際に測ってみると,同等か,白コショウの方がやや高いという結果が報告されています.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/fstr/21/1/21_51/_html/-char/en 

 https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0023643820303455

 

・コショウにはピペリン以外にも多数の成分が含まれています.https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jf300036a

ピペリン量は白コショウの方がむしろ多いという最近の分析結果は,黒コショウの刺激的な風味は,ピペリンではなく,皮に含まれる他の物質によるものかもしれません.

・白コショウには製法に様々の工夫が加えられている場合があり(例えばアジア産のものは発酵の工程が加えられているものがある https://tastecooking.com/the-invisible-spice/),辛み・風味は.「栽培条件や加工方法によって異なる」ようです.

 

黒コショウと白コショウの使用法

S&Bは,「黒コショウは肉料理に適します」「白コショウは白身魚や鶏肉などの淡泊な素材にあいます」としていますが---

英語のサイトで,素材による使い分けに言及しているものはほとんどありません!

英語サイトはアメリカでの使用法中心であるため,何にでも黒コショウを使うというアメリカの習慣から素材による違いを記していないだけかもしれません.

一方,淡泊な素材には,素材の味を残すため白コショウを使うのが日本人の味覚に合うと言うことかもしれません.

 

白コショウについてはS&Bにもある「色の淡いホワイトソースやポタージュなどには、色を汚さないように白こしょうが適しています」と同様な解説が英語のサイトにもあります.

 

一方,日本語のサイトにはなく,英語のサイトにあるのが,「白コショウはフランス料理,中華料理,ベトナム料理などでよく使われる」という記述

(例えばhttps://www.mccormickscienceinstitute.com/resources/culinary-spices/herbs-spices/black-pepper

日本の中華料理でも白コショウが定番なのでしょうか?少なくとも日本語レシピでは単にコショウとあるように思いますが---

アジアで定番の白コショウが日本のものとは違う製法で作られているようにも思います.

 

白コショウを中心に扱った英語のコラムでは,シェフの言葉として次のような記述を載せています.

https://tastecooking.com/the-invisible-spice/

パン菓子作りシェフ:「白コショウは,黒コショウのような刺激的な辛さではなく,ソフトな辛さだが,甘味や他のスパイスと調和する面白さを加えることができる.ペストリー(パン菓子)の世界では,ホワイトペッパーはシナモンやジンジャーを使ったどんなものにも合う」

中華料理シェフ「母は中国人は料理に黒い斑点を見たくないから黒コショウを好まないのだと言っていました.白胡椒の風味は鋭さを感じさせず,素晴らしい香りを添えてくれるのが気に入っています.酸辣湯(サンラータン)には欠かせませんし,チャーハンなど,ある種の料理を生き生きとさせてくれると思います」