ホトケノザ(シソ目第二十一回/シソ科第十六回) 解説で必ずついているのが「春の七草のホトケノザはコオニタビラコで,本種ではない」. ユーラシア大陸に分布し,アメリカにも帰化.しかしとても好意的に扱われています.「魅力的な外観,食用性,---」 食用性?アメリカでは食用の野草として扱われているようです.「セロリに似た,少し甘くコショウのような風味がある」「ヘンビットはペーストに最適だ」 中国では薬用植物として扱われてきたようです.

シソ目の植物について,簡単な解説を探してまとめるシリーズ シソ目第二十一回/シソ科第十六回

 

ホトケノザ

畑などでとてもよく見かける花.ただ,関西に比べ,関東では少ないようにも思います.

日本語のサイトの解説で,必ずついているのが,次のただし書き:

春の七草ホトケノザコオニタビラコで,本種ではない」

 

仏の座の名称の由来は:

「半円形の2枚の茎葉が茎を囲むようについた形を仏の座す敷物-『蓮華座』に例えた和名」http://www.drugsinfo.jp/2015/04/30-161200

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/ホトケノザ

 

かわいらしい花だと思います.グラウンドカバーとして栽培してもいい?

英語版ウィキペディアの記述はとても好意的です.

https://en.wikipedia.org/wiki/Lamium_amplexicaule

ユーラシア大陸に広く分布する植物.アメリカでは,帰化植物であるにもかかわらず,

「その魅力的な外観,食用性,多くの気候で生育可能なことから,他の雑草が生育を許可されない場合でも,生育が許可されることが多い.

この植物は一般的ではあるが,現地の生態系にとって脅威とはみなされていない.受粉媒介者に蜜を与え,動物に飼料を提供することで,環境において有益な役割を果たしていることは間違いない.また,種子は多くの鳥類に食べられている」

 

日本でも,畑の雑草であるにもかかわらず,ホトケノザをそのままにしてある気がします.

 

英語版ウィキペディアの解説で気になるのが,上記の記述に続く解説.

用途

https://en.wikipedia.org/wiki/Lamium_amplexicaule
「茎や花と同様に,若い葉や新芽は生でも調理しても食べることができる[1].セロリに似た,少し甘くコショウのような風味がある」

参考文献[1]は,食用の野草を記述した,かなりしっかりした本のように思われます.

Elias, Thomas S.; Dykeman, Peter A. (2009) [1982].Edible Wild Plants: A North American Field Guide to Over 200 Natural Foods. New York:Sterling. p. 116.ISBN 978-1-4027-6715-9. OCLC 244766414

 

アメリカの野草愛好家は好んで食べているようですね.

日本のサイトの記述はかなり懐疑的ですが,「大量に食べなければ毒ではないでしょう」というような記述が見られます.

例えば https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=2423

 

毒ではないのに食べてこなかったということは,日本人にとっては美味しくないのでしょうね.

「セロリに似た、少し甘くコショウのような風味」は,伝統的な日本の味覚からするとあまり好まれないと思います.

 

アメリカのレシピを調べてみたところ,野草のペーストのレシピ(Vegetarian henbit, macadamia, and asiago pesto recipe)に次のような解説がつけられていました.一回試してみたくなるような記述です.

「ヘンビット(henbit)」はホトケノザの英語通称名です.

https://foragedfoodie.blogspot.com/2017/02/henbit-pesto.html

(DeepL翻訳)「ヘンビットはペーストに最適だ.まるでペーストになりたがっているようだ.濃厚で,強烈で,ハーブのようだ.他の味とブレンドしても,その強い風味がしっかりと持ちこたえる.

このペーストは本当にバランスが取れていると思う.マカダミアナッツのバターのようなクリーミーさがヘンビットのパンチとのバランスをとり,ニンニクの代わりに甘い白タマネギを少量加えることで,青菜のわずかな苦味を相殺した」

 

 

なお,ホトケノザは中国では薬草として扱われてきたようです.

http://www.drugsinfo.jp/2015/04/30-161200

成分:葉はイリドイド(iridoid)のグルコシドであるラミオシド,ラミオール,ラミイドイポラミイドを含む.

薬効:辛苦(辛みと苦味),温(冷えの症状を改善).風を去る,絡を通す,腫れを消す,止痛するの効能がある.筋骨疼痛,四肢の痺れ,打撲傷,瘰癧(ルイレキ:頸部リンパ節が数珠状に腫れる),手足の痺れを治す.(上海科学技術出版社・編:中薬大辞典[4]小学館,1998

 

ホトケノザは,オドリコソウ属の植物で,この属にはオドリコソウ,ヒメオドリコソウ帰化植物)が知られていますが,花の美しさではホトケノザだと思います.

https://ja.wikipedia.org/wiki/オドリコソウ

https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒメオドリコソウ

https://en.wikipedia.org/wiki/Lamium_album