ビヨウヤナギ(キントラノオ目の植物1)  初めは,キンシバイ(金糸梅)だと思っていました.黄色い花の色は金糸梅と同じですが,雄しべが長いのが特徴的.とても華やかに見えます.新芽が美しいのも特徴かと思います.漢字で未央柳,もしくは美容柳.「未央」は漢の宮殿の名前.美しいことから付けられた名前かと思います.オトギリソウと同じく薬効が知られています.なお,同属のセイヨウオトギリには「軽度のうつ病には効果有り」とのこと(米国NIH)

鎌倉おんめ様(大巧寺)の八幡宮通りに面した門を入ったすぐ右手に,美しい黄花が咲いています.

初めは,キンシバイ(金糸梅)だと思っていたところ---名札をみると

ビヨウヤナギ

 

小径をはさんで左手にキンシバイが植えられていて,花を比べてみると(下画像 金糸梅の花は残りわずかでしたが),確かに異なります.

黄色い花の色は同じですが,雄しべが長いのが特徴的.とても華やかに見えます.

「ビヨウヤナギの雄しべは多数が5群に分かれてつく。花糸(雄しべの葯(やく)を支える柱状部分)は黄金色で細長く、花弁の長さとほぼ同じである。雌しべの花柱も長く、先は5裂する。」(ニッポニカ)https://kotobank.jp/word/ビヨウヤナギ-

 

金糸梅:雌しべの花柱はかなり長いものの,雄しべはその半分ほどです.

 

金糸梅で見られない新芽が美しいのもビヨウヤナギの特徴かと思います.

 

ビヨウヤナギは,漢字で未央柳,もしくは美容柳.

「未央」は見たことのない漢字でしたが,「未央宮(びおうきゅう)=漢の長安城内にあった宮殿の名前」を意味する言葉とのこと.また未央だけでも未央柳を意味することがあるようです.

びよう【未央】 日本国語大辞典

(「よう」は「央」の呉音)

一〘名〙 =びおうきゅう(未央宮)〔色葉字類抄(1177−81)〕

二=びようやなぎ(未央柳)〔日葡辞書(1603−04)〕

 

中国でも未央柳と呼ばれているのかどうかは不明.

日本国語大辞典の未央柳の解説には「漢名、金糸桃・金線海棠」とあり,日本だけで使われている名前のような気もします.

なお,漢名「金糸桃」は,「金糸梅」と対になる名前として,面白いですね.

 

ビヨウヤナギは

キントラノオ目 Malpighiales,オトギリソウ科 Hypericaceae,オトギリソウ属 Hypericum,

ビヨウヤナギ Hypericum monogynum

 

オトギリソウには様々な薬効が知られていますが,

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/02/01/180751

ビヨウヤナギにも次のような効能が知られ,薬効との関連は不明なものの,様々な成分の化学構造が決定されています.

腰痛:地上部の煎液を服用するか,根を浴湯料として用いる.

・虫刺され:生の根をすりおろして患部にすり込むように塗る.https://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/yakusodb/detail/004604.php

「Hyperolactone類は、ビヨウヤナギ (H. chinense) から単離された一連のメロテルペンであり、これまでに8種の類縁化合物が報告されている。」https://www.jstage.jst.go.jp/article/tennenyuki/57/0/57_PosterP19/_html/-char/ja

 

なお,先にこのブログで触れた同属のセイヨウオトギリ(セントジョーンズワート)の抗うつ作用.

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/02/01/180751

アメリカNIHの評価が変わったようです.

「軽度のうつ病には効果有り」「多くの薬と相互作用するので要注意」

https://www.nccih.nih.gov/health/st-johns-wort 

日本語訳 https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c04/43.html 

一部抜粋

セントジョーンズワート(セイヨウオトギリ)は、軽度および中等度のうつ病に対して、プラセボ(不活性物質)よりも有用であり、標準的な抗うつ薬と同等の有用であるようです。ただし、重度のうつ病や12週間を超えるような長期間の効果については、この効果が当てはまるかどうかは明らかにされていません。

研究では、セントジョーンズワートを12週間まで経口摂取しても安全であると考えられています。しかし、セントジョーンズワートは多くの薬と相互作用するため、多くの人、特に従来の薬を服用している人にとっては安全ではない可能性があります。

 

オトギリソウ属 - Wikipedia セイヨウオトギリ - Wikipedia