ガクアジサイ(額紫陽花)を詠んだ短歌  今の季節,目立つのはアジサイ. ガクアジサイがちょうど見頃になっていて,道行く人を楽しませてくれていました.  色うすきがくあじさゐの花咲けり一叢竹(ひとむらたけ)のなびく傍(かたはら) 岡麓  萼の花昨日よりもまたうなじさげてあせゆく色にわびし長雨 九条武子  切り落とせる空ともまがひがくあじさゐ青く咲きゐる山に分け来ぬ 阿部静枝  石垣にとりつきて咲く紫の額あじさゐのすみし朝のいろ 小野昌繁

今日は一日中雨模様.中部地方以西では梅雨入りとのこと.

夕方買い物の途中に通ったホテルのレストラン前の植え込み.とてもきれいに整備されていて,いつも感心します.

 

どこの庭でも厄介者になっているドクダミ.花はきれいなことは多くの人が認めていて,うまく利用した庭を時々見ますが,この植え込みの一角もドクダミのカーペットになっていました.そして,ドクダミとよく合うホタルブクロもしっかり植えられています.

 

しかし,何と言っても今の季節,目立つのはアジサイ

ガクアジサイがちょうど見頃になっていて,道行く人を楽しませてくれていました.

 

一昔前は,どちらかというと地味な花だったアジサイ

今では.贈り物の花の定番でもあり,また,各地にアジサイを売り物にする公園も整備されています.

現在のアジサイの隆盛のきっかけが二つあって,一つは日本での新たなガクアジサイの品種の発見.

https://kawasakimidori.main.jp/webzukan/ajisai_p2.html

 

そして,2つ目はセイヨウアジサイの導入です.このインパクトが特に大きかったようです.https://kawasakimidori.main.jp/webzukan/ajisai_p2.html

 

セイヨウアジサイとはhttps://kotobank.jp/word/アジサイ%28紫陽花%29-25268

日本から中国へ渡っていたアジサイは,イギリスのキュー王立植物園に最初に導入された.その後,ヤマアジサイ、ベニガクなども渡って交雑育種され、白、桃、紅、赤、青などの花色や大きさに変化がある多くの園芸品種が育成され,セイヨウアジサイヒドランジャ)として,日本へ逆輸入された.現在は,日本でも多くの新たな品種が生み出されている.

 

日本でセイヨウアジサイと呼ばれている品種には.イギリス王立園芸協会のガーデンメリット賞

(Royal Horticultural Society's Award of Garden Merit )

を受けたものが多数あります.探し出せた画像をお借りして,以下に掲載しておきます.

https://en.wikipedia.org/wiki/Hydrangea_macrophylla

https://www.gardenia.net/plant/hydrangea-macrophylla-altona

https://www.hydrangeasplus.com/product-p/hy00amipasqu.htm

http://www.paylessplants.co.nz/shop/item.aspx?itemid=1564

https://www.shootgardening.com/plants/hydrangea-macrophylla-europa

https://www.gardenia.net/plant/hydrangea-macrophylla-lanarth-white

https://sciencephotogallery.com/featured/hydrangea-macrophylla-love-you-kiss-adrian-thomas.html

https://esveld.shop/a/product/hydrangea-macrophylla-mariesii-lilacina/

https://www.gardenia.net/plant/hydrangea-macrophylla-rotschwanz

https://plantexplorer.longwoodgardens.org/weboi/oecgi2.exe/INET_ECM_DispPl?NAMENUM=10008&startpage=1

https://www.loder-plants.co.uk/hydrangea-macrophylla-westfalen.html

https://www.gardenia.net/plant/hydrangea-macrophylla-zorro



以前は,アジサイと言えば手まり型のものを指し,ガクアジサイとははっきり分けていたように思います.そして,この手まり型のアジサイは,やや地味ながらも,万葉の時代から短歌の歌題に取り上げられ,昨年のブログで一部紹介しました.

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/06/18/235218

今日は,ガクアジサイを詠んだ歌を紹介します.現在のセイヨウアジサイを中心とした華やかなアジサイを詠ったものではないと思われますが.

 

ガクアジサイ(額紫陽花,萼紫陽花)を詠った短歌

(古今短歌歳時記より)

 

色うすきがくあじさゐの花咲けり一叢竹(ひとむらたけ)のなびく傍(かたはら)  岡麓 小笹生

 

萼の花昨日よりもまたうなじさげてあせゆく色にわびし長雨  九条武子 白孔雀

 

切り落とせる空ともまがひがくあじさゐ青く咲きゐる山に分け来ぬ  阿部静枝 冬季

 

法師蝉の夕声しげき山寄りに額紫陽花の花は移ろふ  木俣修 高志

 

石垣にとりつきて咲く紫の額あじさゐのすみし朝のいろ  小野昌繁 冬花

 

 

アジサイを詠んだ短歌(再掲)

 

あじさいの八重咲く如く弥(や)つ代にいませわが背子見つつ偲はぬ  橘諸兄 万葉集巻二十 四四四八

あじさいが幾重にも咲くように,いついつまでもいらっしゃいませ,あなた.あじさいのようにお顔を見ながら,お慕い申しておりましょう. 折口信夫 万葉集

 

紫陽花の萎れて後に咲く花のたぞ一えだよ秋の風まで  藤原定家 拾遺愚草員外・雑 一四六

 

すれすれに夕紫陽花に来て触(さや)る揚羽蝶(あげは)の髭(ひげ)大いなる  北原白秋 雀の卵

 

あじさゐの蕾ほぐれず 粒だちて、うてなの上に みち充ちにけり  釈迢空 海やまのあひだ

 

まかがよふ光りのなかに紫陽花の玉のむらさきひややかに澄む  太田水穂 螺鈿 

 

紫陽花のうちたふれつつ花咲くは苦しからむと夜半にさめをり  青柳節子 四季の森

 

森駆けてきてほてりたるわが頬をうずめむとするに紫陽花くらし  寺山修司 空には本

 

紫陽花のふふむ雨滴を揺りこぼす言はば言葉がすべてとならむ  河野裕子 はやりを

 

 

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1055790302002671

https://ja.wikipedia.org/wiki/アジサイ属