鎌倉鶴岡八幡宮の旗上弁財天社を参拝.
本覚寺鎌倉えびす,浄智寺布袋和尚像に次いで,鎌倉七福神参り三社目です.
参拝への経路は,久しぶりに段葛を通ることにしました.
太鼓橋越しに本殿を望めます.
旗上弁財天社は太鼓橋を越えて右側の源氏池の中の島にあります.
https://www.hachimangu.or.jp/sightseeing/keidai/
神社の裏には「政子石」:
北条政子が懐妊したときに源頼朝が安産祈願をした石なのだとか.夫婦円満と子宝の祈願石として信仰され,近年では恋愛成就の御利益があるとして女性に人気のパワースポット.https://www.yoritomo-japan.com/page041hatiman-masakoisi.html
旗上弁財天は,頼朝が信仰した弁財天ということで,商運・家運の神として信仰され,近頃では良縁・縁結びの神として信仰されています.
https://www.yoritomo-japan.com/page041hataagebenzaiten.htm
源頼朝の旗挙げに際しては,家運長久の守護神として弁財天が現れ,霊験があったと伝えられ,旗上弁財天社は,北条政子が建立したものとも伝えられています.
しかし,弁財天は仏教の神さま.
鶴岡八幡宮に置かれているのは不思議な気もしますが--
実は,旗上弁財天社は
そして,そもそも,廃仏毀釈のもととなった「神仏分離令」以前,鶴岡八幡宮神は神仏混淆の宗教施設で「鶴岡八幡宮寺」と呼ばれていました.いわゆる神宮寺ですね.境内には、薬師堂、鐘楼などの仏教施設があったとのこと.神仏混淆の宗教施設だった鶴岡八幡宮〜神仏分離と仏教伽藍と仏像〜
旗上弁財天は,何の問題も無く,ごく当たり前に祀られていたということになります.
弁才天/弁財天とは
日本大百科全書(ニッポニカ)「弁才天」,精選版 日本国語大辞典,ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説から https://kotobank.jp/word/弁才天-624772
べんざいてん
▽仏教の女神
仏教における音楽,弁舌,財富,知恵,延寿を司る女神.略して弁天.また妙音天,美音天,大弁才功徳天ともいう.
日本では財産の神としての側面が信仰され,弁財天と書かれるようになり,また七福神の一つとされた.
水辺に祀(まつ)られることが多く,また水と関係あるヘビと結び付けられることも多い.
▽由来:ヒンドゥー教の神
サンスクリット語サラスバティーSarasvatīの訳.もとはヒンドゥー教の神.
聖河の化身という.サラスバティーは「水を有するもの」を意味する女性名詞.ことば(バーチュVāc)の神,音楽神とも.
▽像
八臂(弓・箭・刀・矟・斧・杵・輪・羂索を持つ),または,二臂(琵琶を持つ).身色端厳.
▽三弁天
滋賀県の竹生(ちくぶ)島,神奈川県の江の島,広島県の厳島(いつくしま)(宮島)のいわゆる三弁天で,このほか鎌倉の銭洗(ぜにあらい)弁天も名高い.
弁才天と結び付けられる神に宇賀神(うがじん)がある.
竹生(ちくぶ)島の弁財天は,現在は都久夫須麻神社に祀られていますが---
以下,
なぜ日本の神道と仏教は仲良しだったのか(鵜飼秀徳)https://president.jp/articles/-/29001?page=3 より
江戸時代まで宝厳寺と都久夫須麻神社は一体で,「竹生島権現弁才天社」という名称で知られていた.「権現」というのは,仏菩薩が衆生を救うために,神の姿でこの世に現れたものとする神仏習合の考え方である.
竹生島権現弁才天社では,宝厳寺の僧侶が別当(住職)となり,弁才天を本尊(権現)として祭っていた。竹生島は典型的な神仏習合の島であった.
ところが,明治維新の節目を迎えると,新政府は神仏習合を完全否定する.仏教が伝来する前の,神道中心国家をめざすべく,寺と神社を明確に分ける神仏分離令を発した.
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宝厳寺本堂は都久夫須麻神社に明け渡し,神社の本殿へと姿を変えた.ご神体は宝厳寺宝物の中から2つが選ばれ,祭られた。もともとの本尊である弁財天像は,宝厳寺塔頭妙覚院の仮堂に移された.
その上で,宝厳寺塔頭の常行院住職覚潮が還俗,生島常之進という改名し,神主になった.
こうして強引に寺院と神社とが引き離された.竹生島のように,住職が神主に職替えし,神仏習合形態であった施設が寺院と神社とに切り分けられた事例は,枚挙にいとまがない.
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竹生島では,かつての混交宗教の形態がわずかにも残されている.
別々の宗教が,仲良く併存してきた国家は珍しい。日本の宗教風土は,おおらかな日本人の民族性を表している.竹生島で神と仏が別々の道を歩むようになって,今年で150年の節目を迎える.
今一度,日本人の心の原点を見つめてみたいものである.
http://enoshimajinja.or.jp/gohoumotsu/
http://blog.museum88.com/archives/52190091.html