鎌倉英勝寺で出会った赤いかわいらしい花.
はじめての出会い.
名前を調べると---
ややかわいそうな「ムシトリナデシコ」という和名がつけられています.
ムシトリナデシコ(虫取撫子)
Silene armeria,catchfly
▽ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 ムシトリナデシコ(虫取撫子)とは - コトバンク:
ナデシコ科の一年草または越年草。ハエトリナデシコともいう。ヨーロッパ原産で江戸時代末に日本へ伝えられ,観賞用として庭園に栽培される。----花色は普通紅色であるが淡紅または白色のものもある。
▽精選版 日本国語大辞典
〘名〙 ------上部の枝の節から粘液を分泌して小虫を付着するが食虫植物ではない。はえとりなでしこ。小町草。《季・夏》 〔日本植物名彙(1884)〕
小町草という別名があるとのことですから,こちらを使ってほしかったと思いますが---
このかわいそうな名前をつけたのはイギリス人らしい(英語でcatchfly)ので,仕方がないかなとも思います.
▽英語版Wikipedia
シレネ・アルメリア(Silene armeria)は、通称Sweet William catchfly(スウィートウィリアム:ナデシコの一品種 キャッチフライ)と呼ばれる、-----茎に滲み出る粘着性の樹液で小さな虫を捕らえることから、この名がついた。しかし、過去に食虫植物であることが確認されているが、現在は食虫植物とは見なされていない。
ただ,この花が属するマンテマ属(シレネ属)の花の美しさはイギリス人も認めていて,同属のSilene flos-jovisシレネ・フロス-ジョヴィス,Silene schaftaシレネ・スカフタは,イギリス王立園芸協会の庭園功労賞を受賞しています.
改めて
ムシトリナデシコは,
ナデシコ目 Caryophyllales,ナデシコ科 Caryophyllaceae,
マンテマ属(シレネ属) Silene,
ムシトリナデシコ S. armeria
マンテマ属(シレネ属) Sileneは,植物の生態学や進化生物学の分野で研究対象とされてきたことでも有名な属.「1世紀以上にわたって性決定の遺伝学を理解するためのモデルとして利用されてきた」とのことです.https://en.wikipedia.org/wiki/Silene
「シレネとは、古代ギリシャの森の神で、酒神ディオニュソスの仲間であり家庭教師であったシレヌスの女性形である」(https://en.wikipedia.org/wiki/Silene)そうですが,何故このような名前がついたのかはよく分かりません.
そして,マンテマ属(シレネ属)は日本でその美しさを愛でられている(知る人ぞ知る?)センノウ属の近縁.