Dianthus(ダイアンサス属,ナデシコ属)の名前の整理. 属の名前ナデシコ/ダイアンサス,その中の一種がカーネーション,多くのダイアンサス属植物の英語圏での呼び名はPink.そして,Dianthus barbatusは英語圏ではthe fringed pink or large pink.日本での呼び名がナデシコ/カワラナデシコ.この種は世界中に分布していて5種の変種が欧州各国/日本に見られます.

ナデシコは毎年種を蒔いて育てていたのですが,昨年末多忙で,今年は種からは育っていません.

 

そのためもあって,春先に“ダイアンサス”を購入しました.

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/06/06/235348

 

一種は,日本ではもっぱら“カーネーション”と呼ばれる品種の改良型.

日本では「カーネーション アイラブユー」,

英語圏では「I love U Dianthus」,と紹介されています.

 

なでしこ(撫子),ダイアンサス(Dianthus),カーネーション---名前が入り乱れていますが,少し整理してみます.

 

ナデシコ属(ダイアンサス属 Dianthus)

▽ なでしこ(撫子),ダイアンサス(Dianthus),カーネーション

これらの名前で呼ばれているものは,全てナデシコ属(ダイアンサス Dianthus)の植物.

 

ナデシコ属の植物は全てナデシコとかダイアンサス( Dianthus)と呼ばれることがあります.(=どの種も,属名で呼ばれることがある)

 

英語圏では,ナデシコ属( Dianthus)の種の多くを Pink と呼びます.

 

英語圏では,Dianthus caryophyllus という種は carnation または clove pinkと呼ばれます.

八重の園芸種が当たり前になっていますが,一重の原種(多分)は他のダイアンサスににた花で区別がつきにくいように思います.

Dianthus - Wikipedia

 

日本でも「カーネーション」という名前は広く使われ,母の日と相まって,人気があります.

ただ,最近はその他のダイアンサスの交配種もカーネーションと呼ばれることがあるとのことです.

 

英語圏で特別な名前で呼ばれているもう一つの種がDianthus barbatus. :sweet williamの名前を持ちます.

日本では美女ナデシコの名前で流通.

Dianthus barbatus - Wikipedia

ビジョナデシコ(美女撫子)【かぎけんWEB】

 

▽日本のナデシコは,ほとんどがDianthus superbus もしくはその変種とされています.

[ ▽他に日本固有種としてヒメハマナデシコ (D. kiusianus Makino),シナノナデシコ (D. shinanensis (Yatabe) Makino).が報告されています.]

Dianthus superbus の基変種Dianthus superbus L. var. superbusは世界中に分布していて,日本のエゾナデシコに相当.

エゾナデシコ(Dianthus superbus L. var. superbus,蝦夷撫子)

タカネナデシコ(D. superbus var. speciosus,高嶺撫子)

シロバナタカネナデシコ (Dianthus superbus var. speciosus f. chionanthus,白花高嶺撫子)

エゾタカネナデシコ (D. s. var. speciosus f. bibracteatus,蝦夷高嶺撫子)

カワラナデシコ (D. s. var. longicalycinus,河原撫子)

 

Dianthus superbusは世界各国に広く分布していて,各地域特有の変種6種があるとのこと.

英語圏ではフリンジピンクまたはラージピンクと呼ばれています.

カワラナデシコ(河原撫子)もフリンジピンクまたはラージピンクの一つということになりますね.

世界的なレベルで最も知られているダイアンサスは,おそらくカーネーションでしょうが,カワラナデシコを含むDianthus superbusが世界に最も広まっているダイアンサスのように思えます.

 

Dianthus superbus

Dianthus superbus - Wikipedia

(DeepL 翻訳)

Dianthus superbus(the fringed pink or large pink, )はダイアンサス属の一種で、ヨーロッパと北アジア、スペインとフランスの最北端から北極圏のノルウェー、東は日本までが原産地で,その範囲の南では、2400mまでの高地に分布しています。

以下の6つの亜種があります。(英語版Wikipediaでは日本のタカネナデシコは無視されています)

Dianthus superbus subsp.  superbus 本種の生息域の大部分。

Dianthus superbus subsp.autumnalis Oberd. フランス南西部。

Dianthus superbus subsp. sylvestris Čelak. ドイツ。

Dianthus superbus subsp. (syn. D. s. subsp. speciosus)。アルプス山脈カルパチア山脈の高地。茎は短く、葉は灰色で、花は大きい。

Dianthus superbus subsp.stenocalyx (Trautv. ex Juz.) Kleopow. ロシア南部、ウクライナ

Dianthus superbus subsp.longicalycinus (Maxim.) Kitam. 日本。ナデシコ(撫子)ともいう。

大型の蛾Coleophora musculellaの唯一の食草です。

 

(以下,画像は全て英語版もしくは日本語版のWikipediaより)