新型コロナウイルスの第6波の大きな波は越えた感が広がっていますが,今日の感染者数を知らせるNHKニュースの見出しは
「新型コロナ 15人死亡 1万5815人感染 」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220624/k10013687381000.html
感染者数は決して少ないとは言えず,また一定数の死者も報告されています.
今までの累積の感染者数は900万人を超え,死者は3万人を超えていますが,
新型コロナウイルス 日本国内の感染者数・死者数・重症者数データ|NHK特設サイト
改めて,これまでの感染者数,死者数の推移を振り返ってみましょう.
下のグラフに明らかなように,オミクロン株による感染者数は余りに多く,また死者も今までにない数を数えました.
しかし,この第6波の大きなピークを越えたことは確実.
そして「病院の逼迫度」という指標に余裕があり,また感染しても症状が軽いまたは無症状の人が圧倒的に多い.そのため,根拠があるとは言い難い安心感が広がっていて,私もその一人になってしまっている.
東京などでは感染者数が再び上昇の気配があるものの,コロナと共存する新たな日常が生まれているといえるでしょう.
少なくとも気分の上では.
高齢者施設等での生活や感染の状況がどうなっているのかは報道が全くなく,とても気になるところですが.
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なお,上の死者数の推移のグラフの第3波〜第6波は,いずれもより低い状態にすることが可能だったピークです.
ワクチン接種の遅れ,高齢者施設等での感染対策の遅れ,そして,GO TO トラベル事業の無理押し,オリンピックの強行---
それでも---
今までの日本の感染対策は相対的には(=他国との比較においては)非常にうまく機能し,以下にお示しするように,OECD24ヵ国で最も人口比死者数が少ない国になっています.
感染症・疫学の専門家集団が的確な対策(例えば三密回避等)を打ち出し,同時に一般国民との情報交換に積極的に取り組んだこと,また日本国民が全体として真面目に感染対策に取り組んできたこと(目に見えぬ相互監視体制=人の目を気にする気分も含め),そして,接種開始は遅れたものの,現在のワクチン接種率は非常に高く保たれていること,等が政治の無策を補って余りある結果を生んだものと思われます.
以下のグラフは,OECDのいくつかの国,並びにシンガポール,台湾,中国と日本の累積死者数の比較です.
アメリカ,イギリス,フランス,スウェーデン,ドイツ,カナダなどは,感染拡大当初から多数の死者を出してきました.
日本の死者数はこれらの国と比べると圧倒的に少なく推移してきました.
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一方,OECD加盟国の中には,日本と同等かそれ以上に死者数を抑えてきた国がありました.
ノルウェー,韓国,オーストラリア,ニュージーランドなどです.
しかし,これらの国々も,オミクロン株の広がりとともに規制を解除していった結果,累積の死亡者数が急増し,韓国,オーストラリア,ニュージーランドも日本を超えてしまいました.
現在の累積死亡者数は,OECD加盟国中,日本が最も少ないという結果になっています.
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一方,OECD非加盟国の中で,突出して死亡者を抑えてきた国々があります.
シンガポール,台湾,中国です.
しかし,シンガポール,台湾の死者数はこのところ急増し,あの台湾でさえ,日本とほぼ同じレベルとなってしまいました.
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一方,中国は,依然として強権的なゼロコロナ対策をとり続け,人口当たり死者数は突出して低い数字となっています.
「死者を出さない」という点だけとれば,今のところ賞賛すべき結果とも言えますが,果たしていつまで続けることができるのか.
世界が固唾をのんで見守っています.
参考:
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/05/30/235626