鎌倉源氏山に散歩.
最近もでかけたので,新しい発見はほとんどなし.暖かくなってきたといえ,新芽が目立つまでには時間がかかりそうです.
源氏山で名前が掲げられた木の中から,タブノキをとりあげ,あれこれ調べてみました.
どこにでもある樹木ですね.シイ,カシとともに照葉樹林の代表樹( 樹木図鑑(タブノキ) )
クスノキ科 Lauraceae,タブノキ属 Machilus,タブノキ M. thunbergii
日本の巨木と言えば,クスノキが圧倒的に多いものの,
タブノキの巨木も日本中に見られるとのこと.上記引用にまとめられている上位50位にはランクインしていませんが.
「タブ」という名前は日本語としても珍しいように思いますが,ニッポニカは語源不明としています.
BOTANICAの解説は以下の通り.
https://botanica-media.jp/3171
古代朝鮮において、タブノキは生育が早く丈夫であることから「丸木舟」(木をくりぬいて作った船)として利用されていました。この「丸木船」のことを「トンバイ」と呼んでおり、そこから派生して「タブ」となった説と、日本書紀では古くから「霊(たま)が宿る木」と言われており、「タマノキ」→「タブノキ」となった説があります。
古くから利用されていたようですね.
ニッポニカの文化史によれば,文献的にも古くから記載があるようです.
『魏志倭人伝(ぎしわじんでん)』(3世紀)に倭国に産する木としてあげられたなかの豫樟(よしょう)をタブノキとする見方がある(山田宗睦(むねむつ)『魏志倭人伝の世界』)。
『日本書紀』(神代紀)で、素戔嗚尊(すさのおのみこと)は浮宝(うくたから)(船)に杉と豫樟をあげる。
『万葉集』の大伴家持(おおとものやかもち)の歌「磯(いそ)の上の都万麻(つまま)を見れば根を延(は)へて 年深からし 神さびにけり」(巻19)の都万麻もタブノキと解釈されている。
縄文時代から利用され、福井県の鳥浜貝塚から出土した木鉢の一つはタブノキ製と推定されている。
現在の利用法については:
葉を蚊取り線香に、樹皮を線香や染料に利用する。また材は器具材、家具材、建築材としても用いられる。(ニッポニカ タブノキとは - コトバンク )
染料としての利用はとても有名で,「黄八丈」の三色のうち「樺色」が,このタブノキの樹皮からの色素だそうです.
https://botanica-media.jp/3171
最後に,
タブノキは漢字で「椨」.一文字なんですね.中国にはない「国字」です.
タブノキは東南アジア原産とされ、当然中国にもある樹木ですから,中国名があってもいいのですが,調べきれませんでした.
面白いのは,「楠」が中国ではタブノキのこととする説もあるそうです.「楠」が中国ではクスノキを指さないことだけは確か(クスノキは楠ではない).
ユズリハが第1候補とのこと(角川新字源).