2022年新春,世界の新型コロナウイルス感染は収まりそうもありません.
累計感染者は2億9000万人を越えて更に増え続けています.
累計死者数は500万人を超えました.ただし,増加の割合は若干減少しつつあるようです.
1日当たりの感染者数は,今までにない数字がたたき出されています.
1日150万人以上が新たに感染!
季節は冬.デルタ株が世界を覆いつくし,より感染力が強いオミクロン株がかぶさり,置き換わりつつある.
希望を見いだすとすれば---
今のところ1日死者数は感染者の急増に追いついていない.
これから増えると予想されるものの,ワクチン&自然感染後の免疫により,重症化は抑えられている可能性が高い.
そして,
置き換わりつつあるオミクロン株は,重症化の程度という点ではデルタ株ほど強くないだろうという研究結果が集まりつつあります.
重症化の程度に関しては,オミクロン株が先行して広がった南アフリカ,イギリスの予備的な解析でデルタ株より重症化の割合が小さいことが示唆されていました.ただし,専門家の意見は「まだわからない」と言う点で一致.
たしかに,オミクロンが優勢になった南アフリカ,イギリス,そしてアメリカでは,感染者は急増しているものの,死者数はそれほど増えていません.
ワクチンの効果はもちろんあるでしょう.
従来のワクチンは
「オミクロン株の感染を抑える力はとても弱いものの,重症化はある程度抑える」
「ブースターを打てば感染もある程度防ぐことができ,重症化はかなり抑えることができる」とされています.
そして,イギリスの研究者により「オミクロンはデルタよりも入院する確率が低い」ことが発表されたと,ワシントンポストが昨年末に報じていました.
一つはエジンバラ大の研究で,査読は未だされていないものの,スコットランドの国民健康保険サービスが保持している豊富なデータをもとに解析した「パワーのある研究」(ただし,60歳以上のデータが不十分とのことですが)とのこと.
「オミクロン変異株に感染した人は,世界的に主流でありながら急速に減少しているデルタ変異体に感染した人に比べて,病院に入る可能性が約60%低い」
「仮にオミクロンがデルタと同じ働きをした場合,これまでに47人が入院したと予想される.しかし,現在は15人しかいない」
もう一つはインペリアル・カレッジ・ロンドンからのもので,
「オミクロンに感染した人は,デルタに感染した人に比べて,重篤な症状で救急外来を受診する可能性が15〜20%低く,一晩入院する可能性が40%低い」というもの.
入院を重症化の指標としたときには,オミクロンはデルタのおよそ50%という数字が見えてきます.
ただ,忘れてはいけないのは,オミクロン株に対してワクチンがあまり効果がないこと.
インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究を率いているニール・ファーガソン氏曰く,
「今回の解析では,デルタ型に比べてオミクロン型では入院のリスクが中程度に減少することが示された」
「しかし,この効果は,オミクロン変異体の感染に対するワクチンの有効性の低下によって相殺されるようである」
「オミクロンの感染者がここ数週間の間に増加し続けると,医療サービスの需要が増大する可能性がある」