我が家の庭の片隅に生えていた小木・ハクチョウゲ(白丁花)は,アカネ科ハクチョウゲ属.
我が家にはアカネ科の植物が他にもあります.
ヤエムグラ(八重葎).
庭の至る所に生えているのですが,目立っているのは,今は倒れているスイセンの葉っぱの間から顔を覗かせている姿.
写真に撮って,念のためPictureThisで確認したところ,思わぬ答えが.
「シラホシムグラ」
もう一回別に撮って確認しても答えは同じ「シラホシムグラ」.
ネット検索したところ,シラホシムグラは最近全国各地に見つかっている帰化植物.
ヤエムグラと見分けがなかなかつかない種なのですが---
違いをまとめてくださっているサイトがありました.写真もお借りしながら,違いをまとめさせて頂くと---
http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/sirahosi-mugura.htm
シラホシムグラは,ヤエムグラと比較して:
1.花の大きさは直径2~3mmで、一回り大きい.
2.花がより白い.
3.ヤエムグラとの最もわかりやすい区別点は、茎の節(葉のつく部分)上部の長毛.
http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/sirahosi-mugura.htm
4.葉はやや青緑色で、幅が狭く、細かい毛が多く生えている.
5.花期は5月.このときヤエムグラは果実期.
▽花はつけていないし,比較する相手もいないので,上記1. 2. は参考になりません.
▽3. 4. の細かい毛は,我が家の標本にはそれほど多くありません.
▽5.の花期ですが,今,花は咲いておらず,果実期です.
ということで---
PictureThisに逆らって,我が家に生えているのは「ヤエムグラ」としました.
庭にあってあまり誇れる草ではありませんが---
ヤエムグラはアカネ科アカネ属.
Galium spurium
万葉集にヤエムグラを詠んだ歌が二首あることがよく知られています.
思ふ人 来むと知りせば やへむぐら 覆へる庭に玉敷かましを 作者不詳 巻11-2824
玉敷ける 家も何せむ やへむぐら 覆へる小屋も妹と居りてば 作者不詳 巻11-2825
ただし,万葉集に詠まれた「やえむぐら」が現在のヤエムグラがどうかは疑問とされていて,アサ科のカナムグラとする説もあるそうです.
ヤエムグラとは - コトバンク 万葉の植物 むぐら を詠んだ歌
また,「重なりあって茂った雑草」とする説もあって,
日本国語大辞典は,「万葉種の八重葎=重なりあって茂った雑草」 としています.
ただし,日本国語大辞典の解説から,枕草子の「やえむぐら」は,現在のヤエムグラ.
八重葎 やえむぐら
精選版 日本国語大辞典の解説
やえ‐むぐら やへ‥【八重葎】
〘名〙
① 幾重にも生い茂ったむぐら。うっそうと繁茂している雑草。多く、荒れた屋敷や庭にいう。
※万葉(8C後)一一・二八二四「思ふ人来むと知りせば八重六倉(やへむぐら)おほへる庭に珠敷かましを」
② アカネ科のつる性一年草または越年草。
各地の原野、路傍にふつうに生える。高さ〇・六~一メートル。茎には四稜と逆向きのとげがある。葉は狭倒披針形で同形の托葉と六~八枚輪生する。葉と托葉の縁には逆刺、先端には刺毛がある。夏、葉腋から花柄が伸び、先の四裂した緑黄色の細花が咲く。果実は球形で黒く熟す。漢名は拉拉藤で、猪殃殃は慣用名。《季・夏》
※枕(10C終)六六「さしも草、やへむぐら、つき草、うつろひやすなるこそうたてあれ」
ところが----
ヤエムグラが詠まれている百人一首の歌.
八重葎 茂れる宿の 寂しきに 人こそ見えね 秋は来にけり 百人一首 読み札 - Google 検索
八重葎 茂れる宿の 寂しきに 人こそ見えね 秋は来にけり 恵慶(えぎょう)法師
こちらのヤエムグラは「秋」.現在のヤエムグラではありませんね.