Cool Japan クールジャパン Kichen Utensils キッチン用品4
「キッチン用品〜Kitchen utensils〜」 - COOL JAPAN〜発掘!かっこいいニッポン〜 - NHK
「続きまして,シュエのクールは何ですか?」
シュエ(中国)「私のクールはタワシです.家で撮影してきたの.では,どうぞ」
タワシは欠かせないという,シュエさんの自宅です.
シュエ(中国)「麻婆豆腐を作っています.いつも,こんなふうに汚れるの」
鍋が冷えないうちにタワシで洗います.
シュエ(中国)「タワシはいろんな物に使うわ.とても簡単.こんな感じ」
日本で初めてタワシを知ったシュエさん.使い心地のよさに驚いたそうです.
(グリルの網をタワシで洗うシュエさん)
シュエ(中国)「中国では,スチール製を使っていたの.スチールのタワシは簡単に汚れが落ちるけど,手が痛くなるのよね.だけど,タワシは手にフィットしてやわらかいの.だから力を入れても大丈夫.手が痛くならないのよ.
タワシは何種類か持っているわ.
これは鍋に使うわ.大きなタワシは流し.まだあるわ.これは堅いタワシなの.根菜なんかに使うわ」
タワシは,調理の手間も省いてくれます.
シュエ(中国)「とても汚れたジャガイモよ.少し力を入れてみるわ.皮がむけていく.ほらこんな感じ.ピーラーは必要ないのよ」
まな板など木製のキッチン用品にタワシは欠かせません.
今日は夫婦でギョーザづくり.
三本の麺棒やのし板など,ギョーザづくりの道具は中国から持ってきた大切なもの.
シュエ(中国)「包み終わりました.ギョーザです.まな板は粉で汚れています.麺棒も粉だらけです.この面簿は私が子どもの頃から母が使っていた物なの.この棒にスチール製のタワシは使いたくないの.傷がつくから.毎回タワシでやさしく洗うのよ」
キッチンに欠かせないタワシ.
実はある失敗が生んだ明治の発明品でした.
その会社は,今もタワシを作り続けています.
大正時代の洋館.
敷地内のシュロは,この会社の歴史を象徴する木です.
広報石井さん「初代の社長・西尾正左衛門がこのシュロの木の繊維なんですが,こちらを針金に巻いて,靴ふきマットを作っていたんですね」
明治の終わり頃,シュロの縄や,ほうきなどを作っていた正左衛門さんは靴ふきマットを商品化.
たわしより先にたわしマットがあった?亀の子束子西尾商店にたわしの歴史についてうかがってみた
靴が当たり前になり,時代を捉えた画期的な商品になるはずでした.
しかし,売れたのは最初だけ.
使ううちに踏まれたシュロが潰れて役立たずに.靴ふきマットは返品が続き,やがて経営も悪化します.
そんなある日,正左衛門さんは,返品されたマットを使って掃除をする妻を目撃.
「部材を取って,二つに折り曲げて障子の桟を洗ってたそうです」
それがヒントになりました.
亀の子束子誕生秘話 | 亀の子束子 公式ウェブサイト | 元祖「亀の子たわし」「亀の子スポンジ」各商品オンライン購入可能。たわしの使い方も更新
当時のタワシといえば,わらや縄を編んだ簡単なもの.なでるように洗い,表面の汚れだけを落とすものでした.正左衛門さんは隅々の汚れをしっかり落とす使いやすいタワシを目指し,開発を続けました.
明治40年,シュロのタワシを商品化.
緻密な構造が認められ,大正4年には特許を取得します.
タワシづくりは今も手作業.製作工程は113年間変わりません.
「繊維を整えて同じ厚みに揃えるというところが,重要なところですね」
「で,巻いていきます」
棒状のものを刈り込み機に入れて毛先を刈り揃えます.
「最後に」
(曲げて針金を止める)
たわしの作り方 | 亀の子束子 公式ウェブサイト | 元祖「亀の子たわし」「亀の子スポンジ」各商品オンライン購入可能。たわしの使い方も更新
シンプルな工程ですが,完璧な物を仕上げるには3年かかるといいます.
スポンジなど様々な新商品が出ても,タワシの売り上げに大きな変化はないそうです.
「フライパンを洗ったりだとか,シンクをそのまま洗ったりだとか,シャシャッとこうできる」
「必ず家に1個はありますね.このシンプルさが他にはないので,タワシが一番便利ですね」
日本で生まれたロングセラー.天然素材の手作りタワシ.
いかがですか?
「いやいやいや.すごいですね.すごいっていうか,あの会社なんですね」「ねえ」
シュエ(中国)「特に,この2ヶ月みたいに雨が時なんかは,普通のスポンジだと臭くなるの.でもタワシは天然繊維だからかしら?全く臭くないし大丈夫なの」
「なるほどね」
「このタワシを持ってる人いますか?」
8人中5人!
「お〜すごいな.どうして?どうして?ホワイ?ホワイ?」
フラビオ(イタリア)「自然の素材を使ってるし,臭いもしない.すごいですよね.魚のウロコをとったあとに使っています.タワシで,魚のヌメヌメがとれるんです」
「で,臭わない?」
フラビオ(イタリア)「臭いません.タワシは洗って乾かせば臭くなりません.完璧です」
「OKなんだ.すげえな.これイタリアでも売れる?」
フラビオ(イタリア)「そう思います.私のお気に入りです.やわらかいのに強い.自然の素材を使っているから,とてもユニークです」
「中国は,でも,ないの?こういうの」
シュエ(中国)「プラスチックのスポンジとか,ステンレス製のタワシとが多いですね」
「持ってない人は?アーロン持ってない.You don't have it」
アーロン(ニュージーランド)「持ってませんね.好きじゃない」「なぜ?」「どう見てもハリネズミですよね.ハリネズミを台所で使うのは,衛生的ではないし,嫌です.---でも!今日,タワシは色々な用途に使える便利な物と分かりました.考えが変わりました」
「あ〜よかった.ただの頑固親爺かと思ったよ」
アーロン(ニュージーランド)「だんだんそうなってきたのかも」
「これ,アメリカで売れるかね?」
ヘザー(アメリカ)「絶対に売れると思います.似たような物で,金タワシがあるんですが,今でも覚えているのが,子どもの頃にお皿を洗うとき,母から,『金タワシを使っちゃダメ』と言われてました.傷ついてお皿がダメになってしまうと.タワシならそんなことにはなりません」
「なるほどね.皆さんの国にあるのと何が違うの?
フラビオ(イタリア)「プラスチック製は硬さが足りません.金属製だと傷がつきやすい.どちらも洗いにくいんです.でもタワシは信じられないくらい洗いやすいんです.理由はよく分かりませんが,本当に天才だと思います」
フランキー(南アフリカ)「タワシは表面が整っているけど,金タワシはいびつなんです」
ジェイムズ(イギリス)「金タワシは使っているとボロボロになるんです」
「っていうことは,これは世界的に売れていくんじゃないの?これ.ワールドワイドヒットプロダクトになるんじゃないの?これ」