宇宙を自分のものにしてみたいと思いませんか?
おそらく実現することはないでしょうが,「宇宙的なプロポーションの整然とした配置」で「華やかな花」を咲かせる植物を育てることができます,コスモスはあなたが育てるべき花です.
これはコスモス栽培を勧める記事(原文英文 拙訳)の書き出しです.
Cosmos | Archives | Aggie Horticulture
前回も取り上げたように,
宇宙を意味するcosmosと花のcosmosは同じ系統に位置する言葉.
湯浅浩史氏によれば,
コスモスの語源は花びらに由来する.
整然と並んだ美しい舌状花.それはギリシャ語のコスモスkosmos(秩序とか調和).それから派生した装飾や装身具に結びつけられたようだ.名付け親は前述の(種を送られたスペイン王立植物園の)カヴァニレス神父.
(湯浅浩史「植物ごよみ」朝日新聞出版)
同じ「植物ごよみ」よれば---
コスモスはもともとはメキシコ原産で,ヨーロッパにもたらされたのは200年ほど前.
新大陸の植物資源調査で派遣されたヴィンセント・セルヴァンテス(後のメキシコ植物園園長)が,ダリアと共にコスモスの種子をスペイン宮廷植物園のカヴァニレス神父に送ったとのこと.
では,このコスモスが日本にもたらされたのは?
以下,国立国会図書館レファレンス協同データベース,
https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000232513
及び,湯浅浩史「植物ごよみ」をまとめると
一説では,明治12年(1879年),東京美術学校教師をしていたイタリア人のラグーザが故郷から導入したのが最初.
また,湯浅浩史氏の伝聞では,日本の広まったのは,文部省が小学校へ種を配布したことがあったそうで---
そのためもあってか,明治の末頃には一部の地域ではすでに,野生化するほど増えていたそうです.
コスモスは
キク目 Asterales,キク科 Asteraceae,キク亜科 Asteroideae,
コスモス属 Cosmos
コスモス属の花全般をコスモスと呼ぶのが一般的..
ただし,英語でcommon cosumosと呼ばれる Cosmos bipinnatusを限定して日本でもコスモスと呼ぶ場合があります.
この種はオオハルシャギクよいう和名も持っていて,ハルシャはペルシャの意とのこと.コスモス属の近縁にハルシャギク属があります.
コスモスは日本の秋を彩る代表的な花.
Cosmos bipinnatuには沢山の園芸種が生み出され,わたしたちを楽しませてくれていますが,中には夏から咲き始める園芸種もあるとのこと.
https://www.ofuro.jp/flower/cosmos/cosmos.html
一方,同属のキバナコスモスCosmos sulphureusとその園芸種アカバナコスモスは,春から夏まで咲き続けるとのこと.
https://www.ofuro.jp/flower/cosmos/cosmos.html
最近,よく見かけるチョコレートコスモス.こちらも別種Cosmos atrosanguineusで8月から咲き始め,かなり耐寒性がある種となります.
https://www.ofuro.jp/flower/cosmos/cosmos.html
なお,コスモス属はキク亜科の中でもダリヤやハルシャギクと近縁で,同じ「連」に分類されます.