リンドウを買いもとめました.
好きな花ですが,育てのははるか以前に一回あるのみ.
秋から冬はビオラの世話に追われるのが毎年のことでしたが,今年は種蒔きが遅れ,庭が寂しくなるな〜,ということで,ガーデンシクラメンに続いての購入.
リンドウは竜胆と書くのだと,
遠い少年の日に教えてくれた人がいた.
竜胆が咲き出す季節の前にその人は逝った.
草や花や樹の漢名は,
どこかに死の記憶を宿している.
その人について覚えているのは,
竜胆という心を染める花の名だけだ.
花の名には秘密がある.花の名は花の名を
教えてくれた人をけっして忘れさせないのだ.
長田弘 花の名を教えてくれた人 (「奇跡 ━ ミラクル ━」 みすず書房)より
リンドウの漢字=竜胆(龍肝 龍膽)は漢名.
地下部が苦いことを伝説の龍の肝に見立てた名前とのこと(湯浅浩史「植物ごよみ」朝日出版社).
龍肝⇒これを「リウタム・リウタウ」と表記してできた語がリンドウ(日本国語大辞典)
または,
龍胆⇒「リウダン⇒リンダン⇒リンドウ」((湯浅浩史「植物ごよみ」朝日出版社).
和名は与えられなかったようですね.
これは,リンドウの根が生薬「龍胆」として利用されてきたことと無縁ではないような気がします.
リンドウは花を愛でるよりも,根を活用する方が古来より重要な役割だった!
リンドウは
リンドウ目 Gentianales,リンドウ科 Gentianaceae,リンドウ属 Gentiana,トウリンドウ G. scabra,リンドウ G. s. var. buergeri
トウリンドウの変種が,日本のリンドウや園芸種リンドウ.
日本のもう1つの自生種エゾリンドウは同じリンドウ属ですが,別種のホソバエゾリンドウ の変種G. triflora,var. japonica
とのこと.
どちらも生薬「龍胆」として用いることができるとされています.
そして,リンドウ科は優れもの.リンドウの他に2つの生薬が!
センブリとゲンチアナ.
リンドウ,センブリ,ゲンチアナは「日本薬局方」にも認められた,いわば「本物の薬」.
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/JP17.pdf
http://www.showa-u.ac.jp/sch/pharm/facilities/mpgarden/plants_ka/gentiana.html http://www.showa-u.ac.jp/sch/pharm/facilities/mpgarden/plants_sa/senburi.html http://www.showa-u.ac.jp/sch/pharm/facilities/mpgarden/plants_ra/rindou.html
ゲンチアナはヨーロッパ産リンドウ属の植物.
一方のセンブリ.
リンドウ科ですが属は異なりセンブリ属.日本に自生.そして,根だけではなく全草が「苦味健胃剤」として今でも広く使用されている日本産生薬.
リンドウ科にはトルコギキョウも.
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/08/21/020158
そして,リンドウ,センブリ,ゲンチアナのように,薬効がはっきり認められている種も属しています.
偉い!
人間から見たときだけかもしれませんが.
(一つ気がかりは,園芸種のリンドウは生薬として認められているわけではないこと.
園芸種はリンドウの変種,もしくはエゾリンドウの変種.
ですから,トウリンドウの変種の変種.またはホソバエゾリンドウ の変種の変種.ということ.
さて?)