あるサイトには「派手さは一切なし」と紹介されています.
こじんまりした,こぎれいな境内ですが,頻繁に草取りをしているわけではないのでしょう.民家との境界近くには,かわいらしい雑草たちが春の終わりの日射しを浴びていました.
今,最も優勢なのは,ハルジオン(春紫苑).
バッタ?キリギリス?の幼生が止まっていましたが,花を食べているのでしょうか?
ハルジオンという名前.
かつてはハルジョオン(春女苑)がより多く使われていた可能性があり,日本国語大辞典,日本大百科全書の見出しはこちらをとって,別名として春紫苑.
しかし,現在ネット上では,春紫苑が断然優勢.
「標準和名はハルジオンであるが、同類のヒメジョオンと混同して、ハルジョオンと呼ぶ間違いが見られる」とは,ウィキペディアの記載.
そこで,
米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info( 2020年4月24日)をみると,
簡易検索結果
検索語:”Erigeron philadelphicus
Asteraceae(キク科) Erigeron philadelphicus L. ハルジオン 標準
小学館の二つの辞書.とても信頼していますが,ウィキペディアの方がより正確なこともあるのですね.
ただ,言葉は使った者勝ち.
理科の試験では間違いであっても,一般の使い方が間違いとは言い切れません.
かつてはハルジョオンと呼ぶ方の方が多かったものの,現在は植物学者の意見に揃ってきたのではないかと私は思います.
例えば,広辞苑第7版では,見出しはハルジオンですが,別名として春女苑と掲載されています.
はるじおん 春紫苑
キク科の越年草。北アメリカ原産の帰化植物で、大正時代に渡来。都会地周辺の雑草。5月頃開花し、花は淡紅色。ヒメジョオンに似るが、頭花は大形で、つぼみのときは下を向く。春女苑。
似た花に,似ていながら別系統の名前を付ける植物学者の気持ちが,素人には測りかねます
ハルジオンは
キク目 Asterales,キク科 Asteraceae,ムカシヨモギ属 Erigeron,
ハルジオン E. philadelphicus
ヒメジョオン(姫女苑)も同じ属.似た花なので見分け方が沢山のサイトに掲載されています.
咲く季節のずれ(ハルジオンの方が早い),つぼみの付き方(ハルジオンは頭を垂れている),花びらの細さ(ハルジオンの方が細い).
しかし,何といっても分かりやすいのは,折ってみて中空のものがハルジオン.
雑草ならではの見分け方.
ハルジオンはアメリカ大陸原産.
Philadelphia fleabane,common fleabaneなどと呼ばれているそうです.
Erigeron philadelphicus - Wikipedia
flea・bane[flíːbèin]
ランダムハウス英語辞典
ノミヨケ草:ノミの駆除に役立つといわれるキク科植物の総称;ヨーロッパではオオグルマ,米国ではハルジョオン.
ノミの駆除!?乾燥させた粉を使う?調べきれませんでした.
アメリカ原産のハルジオンは,ヨーロッパ,アジアに渡り,その強い繁殖能力ゆえに嫌われ者にもなっています.
ヨーロッパ,アジアに持ち込まれ,多くの国で侵略的な雑草とみなされている.
It is also introduced into Europe and Asia, considered an invasive weed in many places.
Erigeron philadelphicus - Wikipedia
とはいっても,近縁(属は異なる)のセイタカアワダチソウほどは嫌われていません.
小さな神社の庭の片隅に咲いていても,それほど邪魔には感じませんし,むしろ季節を感じさせてくれて好感すら持てます.