ミヤコワスレ 都忘れ
多くの方に愛される可憐な花姿.白やピンクもありますが,薄紫〜青の花が私の好み.
咲き始めた頃の透き通ったような花と緑の葉とのコントラストは抜群です.
都忘れという名前.
出来すぎた名前で近代の命名かと思っていましたが---.ミヤマヨメナの園芸種の位置づけで,江戸時代から改良が加えられてきたとのこと.
ミヤコワスレとは - 育て方図鑑 | みんなの趣味の園芸 NHK出版
ある秋の日、庭に咲いていた野菊を見て、都のみやびやかな暮らしを恋しがっていたが、この花はそれを忘れさせると仰せられた”(日本大百科全書)
しかし,執筆者の湯浅氏によれば,
「この伝承が正確だとすれば、現在のミヤコワスレとは花期が一致しないため、むしろ秋咲きのユウガギク、シラヤマギクやヤマシロギクが該当するとの見方もある」
なお,日本国語大辞典で都忘れの名前の初出とされる1571年の記述(言継卿記)も同様の疑問が.
「元亀二年(1571)一〇月九日「親王御方に菊二本〈都忘、うす紫〉持参進上之」.
「一〇月九日」とあり,「持参進上」とある〈都忘、うす紫〉は,現在の都忘れとは別種の植物である可能性が高いように思います.
都忘れ,そしてその原種ミヤマヨメナは,ノギクには珍しく花期が4月中旬~6月中旬.
私も初めて出会ったとき,季節にとらわれて,ノギクとは思いませんでした.
別名ノシュンギク 野春菊.
春に咲くためその名があります.
“野春菊: 『大和本草(やまとほんぞう)』(1709)に漢名「六月菊」の和名としてあげられ、旧暦3月に開花し、花はアズマギクに似るなどの記述がある”
秋に咲く野紺菊と花・色が似ていますが----
“管状花”にある毛で見分けることが出来るとのこと---
名古屋大学博物館 -The Nagoya University Museum- / 野外観察園
キク目 Asterales,キク科 Asteraceae,キク亜科 Asteroideae,連 Astereae,
シオン属 Aster,
ミヤマヨメナ A. savatieri
ノギクの一つと言われながら,キク属ではなくシオン属.ややこしいですね.
このシオン属.学名はAsterですから,アスター属と呼んでもいいように思います.
Asterの語源はギリシャ語で星STARの意.
ランダムハウス英語辞典 1603.<ラテン語<ギリシャ語 astḗr
花の花序を見れば“なるほど”思います.
が---
園芸店でアスターとして販売されているものは別属(エゾギク属).
そして宿根アスターと呼ばれる園芸種は,また別の属(シムフィヨトリクム属).
日本の園芸店が以前の属名で販売していたために起こった混乱.キク科の植物の分類は以前とはずいぶん変わってしまったようです.