はくちょう座2 ジュピター(ゼウス)は欲望にかられて,ネメシスへ恋心を抱きます. 彼は,ビーナス(アプロディーテー)に命じて鷲の姿にさせます. 彼自身は白鳥に姿を変え,あたかも鷲から逃げて飛び,ネメシスのところへ逃げて,下半身に降り立ちました.ネメシスは,あたかも鳥の一族と結婚したように,臨月になると卵を生みました. ヘルメースは,卵を持ち出し,スパルタまで運んでいき,レーダーの下半身に投げ入れました.偽ヒュギーヌス「天文詩」

北十字星(Northern Cross)としても知られ,

また,α星デネブは,ベガ(こと座),アルタイル(わし座)と夏の大三角形を形成することでも知られているはくちょう座

f:id:yachikusakusaki:20190824103954j:plain

星座図鑑・はくちょう座

 

はくちょう座

ウィキペディアはくちょう座 - Wikipedia にも引用されている

Ian Ridpath. “Star Tales - Cygnus” http://www.ianridpath.com/startales/cygnus.htm

によれば,

 

“アラトスはこの星座を単に「鳥」を意味する Ὄρνις と呼んでおり,半世紀ほど後の偽エラトステネスによって「白鳥」とされた.

しかし、350年ほど後のクラウディオス・プトレマイオス(トレミー 83年頃 - 168年頃)は,アルマゲストの中で,アラトスに倣って 単に鳥としている.”

Aratus called the constellation simply Ὄρνις (Ornis), the bird. Its identification with a swan (Κύκνος, i.e. Kyknos, or Cygnus in Latin transliteration) was introduced half a century later by Eratosthenes. Despite Eratosthenes’s identification of the constellation with a swan, Ptolemy followed Aratus by referring to it as an anonymous Bird in his Almagest some 350 years later.

 

この星座にまつわるギリシャ神話では,白鳥は,姿を変えたゼウスとされています.

 

▽偽アポロドーロス「ビブリオテーケー」によれば,

はくちょう座1  - yachikusakusaki's blog

アポロドーロス/高津春繁訳 ギリシャ神話 岩波文庫

ゼウスが白鳥の姿となってレーダーと,また同じ夜にテュンダレオースが,交わって,ゼウスからはポリュデウケースとヘレネーが,テュンダレオースからはカストール〈とクリュタイムネーストラー〉が生まれた.

f:id:yachikusakusaki:20190824223913j:plain

LEDA - Spartan Queen of Greek Mythology

しかし一説には,ヘレネーはネメシスとゼウスの娘である.それというのは,ネメシスがゼウスとの交わりを遁れて鵞鳥に身を変じたところ,ゼウスもまた白鳥の姿となって彼女と交わったからである.

 

この物語を記したもう一つの原典,偽ヒュギーヌス「天文詩」も,

“白鳥になったゼウスが交わったのはネメシスであった”

としています.

 

はくちょう座

LEDA - Spartan Queen of Greek Mythology

Pseudo-Hyginus, Astronomica 1. 8 :

この星座をギリシャ人はthe Swan白鳥と呼びますが,その物語を知らない他国の人は,鳥一般を表すornisと呼びます.

名称の由来が言い伝えられています.

ジュピター(ゼウス)は欲望にかられて,ネメシスへ恋心を抱きます.しかし,その気にさせることができず,自身の欲望を和らげるべく,別の計画をたてました.

彼は,ビーナス(アプロディーテー)に命じて鷲の姿にさせます.

彼自身は白鳥に姿を変え,あたかも鷲から逃げているように飛び,ネメシスの下半身に降り立ちました.ネメシスはジュピターを押し戻さず,腕の中に彼を抱え,深い眠りにつきます.寝ている間にゼウスは彼女を抱擁し,飛び立ちました.

人々は空高く飛んでいる白鳥の姿のジュピターを見て,彼が星々の間におかれたと語りました.これを本当のことにするため,ジュピターは飛んでいる白鳥と追いかける鷲を空に置きました.

一方のネメシスは,あたかも鳥の一族と結婚したように,臨月になると卵を生みました.

マーキュリー(ヘルメース)は,卵を持ち出し,スパルタまで運んでいき,レーダーの下半身に投げ入れました.その卵からヘレナーが生まれ,彼女は美しさで全ての女性を凌駕していました.レーダーは彼女を自分の娘と呼びました.

f:id:yachikusakusaki:20190825214833j:plain

LEDA - Spartan Queen of Greek Mythology

他の者は,ゼウスは白鳥の姿でレーダーと交わったと言っていますが,私たちはどちらが正しいのか決めることはできません.

 

Pseudo-Hyginus, Astronomica 1. 8 :

LEDA - Spartan Queen of Greek Mythology

"[Constellation Cygnus.] The sign the Greeks call the Swan, but others, out of ignorance of the story, have called it ornis, the general term for bird.

This reason for the name has been handed down :

When Jupiter [Zeus], moved by desire, had begun to love Nemesis, and couldn't persuade her to lie with him, he relieved his passion by the following plan.

He bade Venus [Aphrodite], in the form of an eagle, pursue him; he, changed to a swan, as if in flight from the eagle, took refuge with Nemesis and lighted in her lap. Nemesis did not thrust him away, but holding him in her arms, fell into a deep sleep. While she slept, Jupiter embraced her, and then flew away. Because he was seen by men flying high in the sky, they said he was put in the stars. To make this really true, Jupiter put the swan flying and the eagle pursuing in the sky.

But Nemesis, as if wedded to the tribe of birds, when her months were ended, bore an egg. Mercurius [Hermes] took it away and carried it to Sparta and threw it in Leda's lap. From it sprang Helen, who excelled all other girls in beauty. Leda called her her own daughter.

Others say that Jove [Zeus], in the form of a swan, lay with Leda. We shall leave the matter undecided."

f:id:yachikusakusaki:20190826104726j:plain