見たこともない,名も聞いたことがなかったイワヤツデとイワマツ.
姫路植木市“イワマツ,イワヤツデ専門コーナー”で初めて見ました.
ロックガーデンや盆栽/山野草愛好家の諸氏にはよく知られている植物たちようですが---
昨日のイワヤツデ
yachikusakusaki.hatenablog.com
に引き続き,今日もこの話題.
イワマツです.
のようなので,以後このブログではイワヒバで通します.
・ただし,属の名前をイワマツ属としている記事もあったので,イワマツも広く市民権を得ているようです.
・イワヒバは漢字では岩檜葉. 別名には,イワマツの他,巻柏 けんぱく,くさひば も.
イワヤツデは,
湿った岩場に生育する
ユキノシタ科Saxifragaceaeイワヤツデ属Mukdeniaの植物であるのに対し,
イワヒバは
やはり湿った岩場に生育しますが,
シダの仲間.
そして,“古典園芸植物”としてその名が知られているとのこと.
江戸時代の書物への記載も多く(http://www.kokuhu421.sakura.ne.jp/sub1.htm ),
松尾芭蕉が詠んだ句は広く知られているようです.
五月雨 岩檜葉の緑 いつまでぞ 芭蕉
さつきのあめ いわひばのみどり いつまでぞ
http://www.kokuhu421.sakura.ne.jp/sub1.htm
http://www2.yamanashi-ken.ac.jp/~itoyo/basho/haikusyu/iwahiba.htm
北海道から沖縄・小笠原まで生息しているそうで(http://www.ogasawara-syokubutusi.com/sida/iwahiba.htm),
ネット上でもかなりの数の美しい画像が楽しめます.
そのうちの一つをお借りして,
http://plants.minibird.jp/kansai/kansai50/kansai_a/con_i/iwahiba/iwahiba.html
しかし,近年,生息域が狭められ,レッドデータブックに掲載されるまでに.
山地のやや湿った岩上や岩壁に生育する植物で,乾燥に対しても強い.
にもかかわらず,森林開発,盗掘で個体数を減らしているようです.
いわてレッドデータブック
http://www2.pref.iwate.jp/~hp0316/rdb/01shokubutu/0016.html
高さ10~15cmの常緑性シダ.担根体(根を生じる特殊器官)や根がからまって仮幹を作る.
その上に葉身状の枝を何十枚も放射状につける.葉身状の枝はやや斜上に開出し,2~3回羽状に分岐し,中央部がへこんで漏斗状になる.
乾くと著しく内側に巻き込むが,湿気を得ればもとに戻る.胞子嚢穂は小枝に1個頂生し,四角柱状となる.
山地のやや湿った岩上や岩壁に生育するが,乾燥に対しても強い.
生存に対する脅威は森林開発,盗掘など.
江戸時代から観葉植物として栽培されている.観賞用に盗掘されることがしばしばあり,生育地・個体数とも減少している.
シダの仲間ですが----
多くのシダが属するシダ綱 Pteridopsida(シダ植物門 Pteridophyta)とは別の,
ヒカゲノカズラ綱 Lycopodiopsida(ヒカゲノカズラ植物門 Lycopodiophyta)に分類されています.
https://www.kahaku.go.jp/research/researcher/my_research/botany/ebihara/pdf/ebihara04.pdf
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%82%AB%E3%82%B2%E3%83%8E%E3%82%AB%E3%82%BA%E3%83%A9%E6%A4%8D%E7%89%A9%E9%96%80
“維菅束を持つ植物の中でも古い体制を残す植物のひとつで,細かな葉を持つものが含まれる.”
“古生代に栄えたシダ類の生き残りとも言われる.”
とのこと.
古典園芸植物の主役の一つであり,また,古代植物の生き残りの一つでもあるということですね.
なお,
被子植物のAPG ( Angiosperm Phylogeny Group ) 分類体系にならって,シダの仲間の分類においても,DNAの塩基配列に基づいた系統樹の作成が進められているそうです.
https://www.kahaku.go.jp/research/researcher/my_research/botany/ebihara/pdf/ebihara04.pdf
私のような素人にはなかなかついていくのが難しい世界.
古い系統樹とごちゃ混ぜになっているかもしれませんが,昨日今日で私が学んだ内容のメモを以下に記載しておきます.