おおいぬ座とシリウス3 この星座名の起源はよく分かっていないようですが,おおいぬ座のアルファ星シリウスがthe Dogと呼ばれ,これがいつの間にか星座の名前になったという説があり,かなり説得力があります.

おおいぬ座」はいつ頃から「おおいぬ座」になったのでしょうか?

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 星座図鑑・おおいぬ座

 

この星座名の起源はよく分かっていないようですが,おおいぬ座のアルファ星シリウスがthe Dogと呼ばれ,これがいつの間にか星座の名前になったという説があり,かなり説得力があります.

 

昨日触れたこいぬ座は,古代メソポタミアに遡ることができます.こいぬ座に相当する古代メソポタミアアッカド語Shelebu,同シュメール語KA.Aは,共にthe Foxの意味.

Star Myths | Theoi Greek Mythology

yachikusakusaki.hatenablog.com

このように,星座に関わるギリシャ神話の多くは,それ以前の時代に作られたものをまとめたものであるとされています.

 

IAUが認めている88の星座のうち,半数以上は,古代ギリシャに起因し,これらは,その以前の古代バビロニア人,古代エジプト人,アッシリア人の作品をまとめたものである」(国際天文連合IAU 英語の拙訳)

https://www.iau.org/public/themes/constellations 

http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/09/27/010933

 

では,おおいぬ座は?

と調べてみても,私の力では見つかりません.頼みのthe Theoi Projectのサイトは,アッカド語,シュメール語がある場合には併記してあるのですが,おおいぬ座には何もありません.ラテン語ギリシャ語のみ.共に犬.

 

CANIS MAJOR

Latin : Canis (the Dog)

Greek : Kyôn (the Dog)

 Star Myths | Theoi Greek Mythology 

 

そして,英語語源が最も詳しく記載されている“Online Ethymology Dictionary”のSirius(シリウスおおいぬ座α星).

www.etymonline.com

ここでは,Siriusの語源について,今までの通説を覆すような解説が付け加えられています.

さらに続けて,おおいぬ座に先立ってシリウスがKyôn (the Dog)と呼ばれ,その後にシリウスを含む星座がおおいぬ座と呼ばれるようになった可能性について論じています.

 

分からない部分,日本語に訳せない部分が沢山あります.しかし,いつものごとく無理して翻訳してみます.正確には英文をご参照下さい.

 

Sirius

最も明るいStar,14世紀後半ラテン語Sirius "the Dog Star"から.先立つギリシャ語はSeirios.この語は「焼け付くような(scorching)」または,「焦がすもの(the scorcher).Siriusを意味するといわれてきました.

しかし,他の関連したギリシャ語は,この使い方(訳註 シリウスをSeiriosと呼んだ事)に由来しているように見え

(訳註 シリウスが焼け付くような明るさを持っているため,同様の性質を”シリウスのような”として表したようにみえる)

星の名前は,人々が他の言語から借りてきて用いた名前かもしれません.

古代エジプトでは,名前はSothis.

Beeksは,もしも,この星のもとの名前が,(一般いわれているように) "sparkling, flickering."であるのなら,それはPIE root(インド・ヨーロッパ祖語の語根)の*twei- "to agitate, shake, toss; excite; sparkle" 由来としています.

 

この星と,焼け付くような熱とを結びつけるのは,夏至の時,水平線に昇ることに由来します(dog days 参照).関連語Sirian.

おおいぬ座は,この星から派生してきたように見えます.

 

[Richard Hinckley Allen, Canis Major in "Star Names and Their Meanings," London: 1899]

ホメーロスは,何回も [Kyōn](犬)を作品中に使っています.しかし,彼の[Kyōn](犬)は,疑いもなく.シリウスに限定されていました.古代人の間では一般的にそのようであって,正確な時期は不明ないつの日か,この星座が今の形に形づくられました.

実際,その後もずっと, the Dogは隠喩として使われますが,それが星座なのか,その中の最も明るい星なのか私たちにはよくわかりません.

 

Sirius

brightest star by magnitude, late 14c., from Latin Sirius "the Dog Star," from Greek Seirios, said to mean literally "scorching" or "the scorcher."

But other related Greek words seem to derive from this use, and the name might be a folk-etymologized borrowing from some other language. An Egyptian name for it was Sothis.

Beekes suggests it is from PIE root *twei- "to agitate, shake, toss; excite; sparkle" if the original meaning of the star-name is "sparkling, flickering."

 

The connection of the star with scorching heat is from its ancient heliacal rising at the summer solstice (see dog days). Related: Sirian. The constellation Canis Major seems to have grown from the star, not the other way.

 

    Homer made much of it as [Kyōn], but his Dog doubtless was limited to the star Sirius, as among the ancients generally till, at some unknown date, the constellation was formed as we have it, -- indeed till long afterwards, for we find many allusions to the Dog in which we are uncertain whether the constellation or its lucida is referred to.

[Richard Hinckley Allen, Canis Major in "Star Names and Their Meanings," London: 1899]

sirius | Origin and meaning of sirius by Online Etymology Dictionary