東洋種と西洋種
ホウレンソウには,大きく分けて,東洋種,西洋種の二種あることはよく知られています.
いくつものサイトで,かなり詳しく解説されていますが---
野菜の種、いまむかし10/ホウレンソウの話 ホウレンソウとは - コトバンク http://www.japan-soil.net/BOOKLET/TK25/TK25_A4.pdf
ごく簡単にまとめると:
日本へは, 既に記載したように(ホウレンソウ1/ナデシコ目の植物たち4-1. ホウレンソウの語源と歴史yachikusakusaki's blog),16世紀ころ,中国から渡来したとされているホウレンソウ.
これが,ペルシア地域から,東へ伝播した“東洋種”ですね. “在来日本ホウレンソウ”と呼ばれる事も多い品種です.
性質は
「痛い針の種と、先がとがってギザギザ切れ込みがある薄い小さめの葉と、寒くなると地べたに張り付いて収穫しにくい草姿と、寒くなるほど糖分を貯えて甘味を増す赤い根と、アクの無いおひたしにして絶品のおいしさ」
とのこと.
一方,西へ伝播した“西洋種”.
「肉に厚みがあり、濃厚な味でバターソテーなど炒め物向き.丸葉で葉柄が短く、丸種子が多い」のが特徴です.
日本へは,江戸後期にフランスから,明治初年にはアメリカから導入されましたが,その当時は普及しませんでした.
しかし,風媒花で,自然にも交配がおこりやすいホウレンソウ.東洋種と西洋種の雑種(中間種)が固定種化されていき,豊葉,次郎丸,新日本,山形あかねなどの品種が生まれました.
そして,現在,主に栽培されているのは「F1(一代交配種)」.
http://www.japan-soil.net/BOOKLET/TK25/TK25_A4.pdf
異なる親を交配させて“いいとこ取り”をする「F1(一代交配種)」.
機械散布でき,収穫しやすく病抵抗性をもち,味も損なうことのない数々のF1中間種(東洋種と西洋種の交配種)が栽培されているそうです.
現代日本の主要野菜ホウレンソウ
ホウレンソウは現代日本の主要野菜と言え,「指定野菜」にもなっています.
指定野菜とは,「消費量が多く国民生活にとって重要な野菜として“野菜生産出荷安定法”で定められた野菜」.
次の14種です.
統計局ホームページ/統計FAQ 07A-Q06 野菜の収穫量及び出荷量
では,
実際に,日本でどれぐらい食べられているのでしょうか?
厚労省が,食生活改善運動の一環として,日本人の野菜摂取状況をまとめています.
日本人がたくさん食べている野菜は? |報道発表資料|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000096137.pdf
最も日本人に沢山食べられている野菜は大根.玉ねぎ,キャベツ,白菜が続きますが,この「野菜摂取量ランキング」で,ホウレンソウは堂々の6位.
(平成24年度 国民健康・栄養調査からおこした生データが示されているため,やや分かりづらい表です.よく理解したい方はもとのサイトを参照して下さい).
そして,
最も多くの数の日本人に食べられている野菜はにんじんで,玉ねぎ,大根,キャベツが続きますが,この「野菜摂取者数ランキング」でも,ホウレンソウは9位とベストテン入り.
好きな野菜を調べたデータでは,ベストテン入りはしていないホウレンソウ.
http://www.takii.co.jp/info/news_170808.html
それでも,かなりの量を,かなりの数の日本人が口にしている野菜となっています.
多彩な料理に使え,彩りも鮮やか.通年供給されている.そして何よりも栄養豊富なことがよく知られているため,このような結果となっているのでしょう.