様々な顔をもった植物スベリヒユ.
1.http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/09/18/001446
雑草!でも食べられる!山形県では蔬菜(野菜)/山菜山菜“ひょう” 「多くのサイトがスベリヒユはかなりやっかいな雑草,でも食べられる」という文脈で解説し,「山形県では“ひょう”という名前の山菜として食べられる」とする指摘も.グーグル画像でトップ3の人気レシピは1.スベリヒユのおひたし 2.スベリヒユ(ヒョウ)の胡麻和え 3.スベリヒユの天ぷら.
2.http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/09/19/002426
世界的なレベルでは,かなり食べられている野菜.英名はPurslane(パースリン),特定するための英名は”Common purslane”.
ヨーロッパ:パースリンはサラダのように生で,そして,ホウレンソウのように炒めてたべられます.また,そのねばねばした性質から,スープやシチューにも.他に:スベリヒユ入りクレタ風サラダ(ギリシャ),スベリヒユザジキ(トルコ),スベリヒユ入りポークチョップ(メキシコ).マレーシア,スリランカ料理にも---
今日は
3.スベリヒユと同じ種によく知られた園芸植物ポーチュラカ(と言われてきました.しかし----).
スベリヒユと同じ属,
「ナデシコ目 Caryophyllales.スベリヒユ科 Portulacaceae,
スベリヒユ属 Portulaca」
には,とてもよく目にする園芸植物が2種あります.
1種は,マツバボタン Portulaca grandiflora
南米原産で,サボテン科に近いスベリヒユ科スベリヒユ属らしく,多肉多汁の種.
多くの改良が加えられ多様な花姿・色彩の改良種が育てられてきました.
英語名は“Moss-rose purslane”.
そして,
もう1種は,ハナスベリヒユ.
属名のPortulacaをそのまま種の名前とした“ポーチュラカ”の名前で知られています.
英語では“Wingpod purslane”.
この“ポーチュラカ”.
「日本に広く普及したのは,1990年の大阪花博がきっかけです.真夏の暑い時期に最小限の手入れで育ち,色とりどりの花を絶やすことなく咲かせることから,夏花壇の定番植物として一気に普及します」
とのことで,それまで人気のあったマツバボタンを凌駕するかような勢いがありました.ただ,我が家の近くの園芸店ではそれほど広がってはいないようですが.
このポーチュラカ.どのような種なのかが,確定しない状態が続いていたようで---.
日本語のサイトでの学名は,
① スベリヒユと同じ学名で,その変種とする扱い.
例えば
・Portulaca oleracea cv. Giganthes
・タチスベリヒユ〔P. oleracea var. sativa〕の突然変異種
・ハナスベリヒユ「園」シリーズの学名はPortulaca oleracea Sono Series ポーチュラカとは - 育て方図鑑 | みんなの趣味の園芸 NHK出版
② 日本語のサイトで最も多い記載が,スベリヒユとマツバボタンの交配種とするもの.
Portulaca oleracea × P. grandiflora
ハナスベリヒユ(ポーチュラカ)とは|ヤサシイエンゲイ ポーチュラカの育て方 - ガーデニングの図鑑
沢山のサイトが,この見解です.
(ヒメマツバボタンPortulaca pilosa L.との交配種とされることも)
しかし,
▽
ハナスベリヒユ Portulaca umbraticola スベリヒユ科 Portulacaceae スベリヒユ属 三河の植物観察
「ハナスベリヒユはスベリヒユ(P. oleracea)やマツバボタン(P. grandiflora)の品種又はこれらの交配種,あるいはタチスベリヒユ(P. oleracea var. sativa)の変異種との交配種などとして誤って扱われてきた」
「過去には葉幅の狭いものをPortulaca grandiflora,葉幅の広いものをPortulaca oleraceaの系統として扱っていた経過がある」
「現在では種間交雑種ではなく,亜種の交配種であり,Portulaca umbraticola 系統の園芸種とされている」
(私が調べた日本語サイトの中では唯一の記載)
「日本には1983年にドイツから導入され,その後,日本で育種改良が進み,最近では終日開花や大型花も登場してきている」
「Portulaca umbraticola の初期の品種である'Wildfire Mixture' が米国で1982~1983年に販売された.'Wildfire Mixture'は花がピンク・パープル~黄色~オレンジ色~赤色~サーモン色になる.これが現在の品種の主な元になっている」
とのこと.
▽スベリヒユとマツバボタンとの交配とするPortulaca oleracea × P. grandifloraの検索では,ポーチュラカの画像は,ほんのわずかしか見つからず,あったとしても日本語のサイト.
一方,Portulaca umbraticolaの検索では次のように,たくさんのポーチュラカの画像が.ただこれらのほとんどは英語のサイトのもの.
Portulaca umbraticola - Google 検索
▽
しかし,日本人の手による記載でも,専門家による研究論文では,Portulaca umbraticolaが,使われています.もちろん.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hortj/87/1/87_OKD-078/_article/-char/ja/
いったん一つの情報が流れると,なかなか訂正できないのが日本語のサイト?
英語情報>>>日本語情報.量もスピードも.科学情報は,残念ながら英語のサイトにかないません.
しかし,ゆっくりでもいい.訂正・改訂を進めてくれたら,素人もついて行けます.日本語一般向け科学情報のサイト運営者の方々へのお願いです.
最後に,
ポーチュラカ Portulaca umbraticola
スベリヒユ同様,食べられるそうですよ.
実際に食べたという日本語のブログも見受けられますが,多くの英語のサイトがPortulaca umbraticolaは食べられるとし,食べているという方もいました.
Purslane and Portulaca forum: Purslane the Ornamental Plant - Garden.org https://cdn.ymaws.com/www.texasasla.org/resource/resmgr/docs/purslane.pdf https://www.growplants.org/growing/portulaca-umbraticola
一つのサイトが,「人間は不明,イヌ/ネコに毒」と記載しているのが少し気になりますが---
Portulaca umbraticola - gardenersworld.com