万葉の時代,スミレの主な役割は食用でした.
そして,古代ギリシャでは,この地域に群生していたニオイスミレを薬用として貴重なものとみなしていたようです.
昨日記載したように.http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/03/07/025332
現代の私たちは,すみれを可憐な花として愛でます.
私のように,野に咲くスミレをあまり見たこともない者も共有しているスミレへの思い.
実際に,そして,画像で見た花姿からそうに思う.加えて,スミレを歌った詩歌が,この思いを更に強くしている気がします.
春の小川
「スミレ&歌」で私が思いつくのは,もちろん?万葉集ではありません.
次の文部省唱歌「春の小川」です.
作者は公表されていませんでしたが,その後,作詞 高野 辰之 作曲 岡野 貞一
であることが分かりました.春の小川 - Wikipedia
「故郷」
同じくこのコンビがつくった,この曲には及ばないかもしれませんが,
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2016/11/06/001856
yachikusakusaki.hatenablog.com
誰もが一度は口ずさんだことのある歌.
作詞 高野 辰之 作曲 岡野 貞一 の唱歌は,他にも
「朧月夜」
「もみじ」
「春がきた」
“日本の原風景” や“日本人の心情”の具体的なイメージが,これらの歌でつくられていった,といっても過言ではないでしょう.
そして,うたわれた風景をほとんど知らない者が聞いても懐かしさを感じる.
歌詞を構成する一つひとつの事象を愛おしく感じる.スミレはその一つ.
というのが私の感覚ですが--.
それにしても高野辰之/岡野貞一の果たした役割は大きく,驚嘆すべき歌詞作り,曲作りの力.
私にとってはやや疎遠な明治期の詩人&現代ミュージシャンもスミレをうたっていることが,よく知られているようです.
菫(すみれ) 国木田独歩
春の霞に誘われて
おぼつかなくも咲き出でし
菫の花よ心あらば
ただよそながら告げよかし
汝(な)れがやさしき色めでて
摘みてかざして帰りにし
少女(をとめ)よ今日も来たりなば
「君をば戀ふる人あり」と
http://folli-2.at.webry.info/201505/article_7.html
ジャズのスタンダードナンバーにも
Billie Holiday - Violets for your furs
Wolfgang Amadeus Mozart - Das Veilchen (KV 476, Kathleen Battle)
Das Veilchen(すみれ)
「Das Veilchen(すみれ)」の解説(歌詞・和訳)~モーツァルト~
一本のすみれが草原に立っていた
身をかがめて、気付かれずに
それはかわいらしいすみれだった
そこに若い羊飼いの娘がやって来た
軽やかな足どりと、朗らかな心で
そこから そこから(こちらへ)
牧場をこちらへと歌った
ああ、すみれは思う、もし自分が
自然の中で最も美しい花だったら
ああ、少しの間だけでも
愛しい人(娘)に摘み取られて
胸に押しあてられて、ぐったりとなるのに
ああ、たった、ああ たった
15分間だけでも
ああ、でも ああ!少女はやってきて
そのすみれに注意も払わずに
かわいそうなすみれを踏みつけてしまった
それ(すみれ)は垂れ下がり、死んでしまったが、それでも喜んでいた
彼女によって、彼女によって
彼女の足元で(死ねるのだから)!
最後に宝塚歌劇団といえば「すみれの花の咲く頃」