栗 基本情報2 日本のクリ第二回.日本栗は日本と朝鮮半島に生育する品種で,ヨーロッパや中国のものとは異なります.シバグリが選別・改良されて生まれたとされ,現在の主力品種は「筑波」「丹沢」「銀寄」.主要生産県は茨城,熊本,愛媛.クリタマバチ被害に抵抗性をもつ品種育成が一段落し,「渋皮がむきにくい」という日本栗の欠点を改良した品種も生まれてきています.

沢山の栗が,青果売り場に並ぶ季節.

梅沢富美男東野幸治まんぷく農家メシ!先週10月13日は,選「くり~埼玉県日高市~」.

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縄文時代,栗はクルミと並んで主食の地位にあり,日本書紀ではその栽培が奨励され,万葉集古事記にも取り上げられています.

http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/10/21/002918

yachikusakusaki.hatenablog.com

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https://twitter.com/hidakacity_pr/status/945490395101663232

 

栗 基本情報2 日本のクリ第二回.

主に農林水産消費安全技術センターと農研機構の記事,及び統計情報 等から 

http://www.famic.go.jp/public_relations_magazine/kouhoushi/back_number/pdf42/14.pdf 今が旬の「栗」のお話 | 農研機構 作況調査(果樹):農林水産省 特産果樹生産動態等調査 確報 平成27年産特産果樹生産動態等調査 年次 2015年 | ファイルから探す | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 和栗の品種

 

日本のクリの学名はCastanea crenata. 

現在商品として並べられているものは,同じ学名を持つシバグリ(芝栗,ヤマグリ山栗)を選別,品種改良したものです.

日本と朝鮮半島に生育する品種で,ヨーロッパや中国のものとは異なります.

 

 ヨーロッパ栗(C. sativa):

 小粒でマロングラッセなどを作るのに適します.

 

 中国栗(C. mollissima):

 小粒で渋皮がむきやすく,甘みも強いため焼き栗に適し,「天津甘栗」などに使われているのはほとんどこの中国栗です.

 

現在の日本栗は,ヨーロッパや中国の栗にくらべて大粒で水分も多いため,茹でて調理するのに適しています.

一方,渋皮がむきにくいため,焼き栗などには適さないとされています.

国内各地に様々な品種が栽培されていましたが,1941年に岡山県で発見されたクリタマバチが急速に全国に蔓延し,多くの品種が失われました.

それ以降、「伊吹」「丹沢」「筑波」など 抵抗性のある品種の育成、普及が行われました.

現在の主力種は「筑波」「丹沢」「銀寄 ギンヨセ」.「銀寄」は古くからある品種で,丹波栗の代表品種ですが,年々栽培面積が減少しているとのこと.

 

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況調査(果樹):農林水産省

近年では、ニホングリでも渋皮がむきやすく、大粒で甘く香りが良い「ぽろたん」という品種(「国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所」が育種)の栽培も増えてきています.

この「ぽろたん」については,農研機構果樹研究所による紹介のパンフレットがウェブ上にあります.

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https://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/files/porotan.pdf

はじめの紹介文の一部は次の通り.

栗ご飯に使うクリは大粒でおいしいけれど渋皮がむきにくいのに,小粒の「天津甘栗」はむきやすいのはなぜ? と思ったことはありませんか.

実はこの二つ,植物学的にはまったく別の種類で,前者は「ニホングリ」,後者は「チュウゴクグリ」という植物種なのです.“これらの長所をあわせ持ったクリをつくりたい! ”

しかし,その品種改良は容易ではありませんでした.

「クリタマバチ」という害虫との闘いに多くの時間が必要だったからです.そこでまず,害虫に強い品種改良に着手.その中から,現在もクリの主要品種として全国で栽培されている「丹沢」「筑波」「石鎚」などが生まれました.

その後,クリタマバチの天敵「チュウゴクオナガコバチ」の導入で,クリの害虫被害が減少.これを機に,1990年代前半に食味や渋皮のむきやすさ(渋皮剥皮性)を最重要視した品種改良が本格化しました.

こうした,さまざまな研究成果を背景にして「丹沢」と「550-40」を親とする「ぽろたん」は誕生しました.

大粒で甘くおいしい「丹沢」の良さをしっかり受け継ぎ,渋皮がポロッとむける,果樹研究所生まれの新しいブランド栗です.

 

クリの主要生産県

平成29年のクリ収穫量は.茨城県がトップで,以下熊本,愛媛,岐阜.

茨城県の主要品種は,もちろん筑波(岸根×芳養玉の交雑実生).

クリ栽培面積が最も広い熊本は,収穫量では茨城にやや水をあけられています.こちらも主要生産品種は筑波でした.

 

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作況調査(果樹):農林水産省