蚊帳吊草を詠んだ短歌 一昨日訪れた巽荒神.夏の「雑草」が残されていました.エノコログサ,イヌビエ,オヒシバ--.カヤツリグサと思って調べた草はショクヨウガヤツリ.カヤツリグサの仲間は全体として美しく,「雑草」と呼ぶにはもったいないかなとも思います.  白露の朝朝しげきくさむらに蚊帳吊草の穂がすいと立つ 岡麓  暑き日はこちたき草をいとはしみ蚊帳釣草を活けてみにけり 長塚節  高麗に白き小瓶にカヤツリの若き幾もと涼しく乱る 窪田章一郎

今日は,昨日とはうって変わって快晴.

ほんとうに久しぶりに,江の島・片瀬海岸から,富士山を堪能できました.

 

一昨日も晴れてはいましたが,雲もかなりありました.おんめ様の花を楽しんだ後

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2024/09/03/235130

隣の本覚寺(日朝様)を訪れ,撮った栴檀(楝)とサルスベリ

栴檀はあまり見上げる人はいませんが,私が気に入っている樹木.そして本覚寺サルスベリは鎌倉ではよく知られていて,かなり大きな木が何株か植えられています.

 

その後,友人宅を訪ね,以前の我が家の近くの巽荒神で「雑草」を見て回りました.

みつかった主な種は,エノコログサ,イヌビエ,オヒシバ.

そして,カヤツリグサ.

と思ったのですが,この種は,正確には「ショクヨウガヤツリ」だそうです.

https://ja.wikipedia.org/wiki/ショクヨウガヤツリ

ヨーロッパ,北アフリカ原産ですが,南北アメリカ,アフリカ全土,アジアに移入していて,日本では,「要注意外来生物」に指定されていますhttps://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/80880.html

「ショクヨウ」と付いてるのは,根茎が食用になるからとのこと.

 

ショクヨウガヤツリもカヤツリグサ属ですから,カヤツリグサと呼んでも間違いではありませんが,狭義のカヤツリグサは一つの種Cyperus microiriaを指すかと思います.

他に日本でカヤツリグサと呼ばれているのは,コゴメカヤツリ.

ハマスゲもよく知られたカヤツリグサ属の植物.

https://ja.wikipedia.org/wiki/カヤツリグサ属

https://ja.wikipedia.org/wiki/コゴメガヤツリ

https://ja.wikipedia.org/wiki/ハマスゲ

海外に目を向ければ,最もよく知られているカヤツリグサ属の植物はパピルス.現在では鑑賞用に育てられることもあるとのこと.

https://en.wikipedia.org/wiki/Cyperus_papyrus

https://en.wikipedia.org/wiki/Cyperus_alternifolius

日本のカヤツリグサも全体として美しく,「雑草」と呼ぶにはもったいないかなとも思います.以下の短歌にも,カヤツリグサを愛でる気持ちがかなり色濃く込められているように思います.

 

 

蚊帳吊草を詠んだ短歌

(古今短歌歳時記より)

 

煙などいぶせく立てる故郷にかやつり草しなぐはしきかな  大隈言道 大隈言道集

 

白露の朝朝しげきくさむらに蚊帳吊草の穂がすいと立つ  岡麓 涌井

 

暑き日はこちたき草をいとはしみ蚊帳釣草を活けてみにけり  長塚節 長塚節歌集

 

おほばこも蟵釣草(かやつりぐさ)も庭のものみだれし上に今朝霜をおく  松村英一 河社

 

この夏もけながくなりぬくさむらに蚊帳釣草の丈伸びにけり  杉浦翠子 藤浪

 

穂にいでて蚊帳釣草はのびてをり二年(ふたとせ)の夏越す家の庭  高田浪吉

 

高麗に白き小瓶にカヤツリの若き幾もと涼しく乱る  窪田章一郎 ちまたの響