カブ/蕪(2)  「温海(あつみ)かぶ」:鶴岡市の山間部で栽培されている伝統野菜.栽培方法がユニーク.焼き畑農法でつくられます.無肥料・無農薬で栽培した「特別栽培農産物」に. NHK新日本風土記「山形 庄内」で取り上げられました.「(焼き畑は)「やってて面白いし,食べてもうまいし.昔からの伝統みたいなもんだから,やっぱり,つづけてほしいわな.ああ,なにもかも忘れられるな.山はいいわ.」「食材の味が違うんだよね.普通の在来種で無いのは,形と色は野菜だけど,香りとか匂いとかは薄くできてる」

昨日に続き,「カブ/ 蕪」を取り上げようとパソコンに向かって,バックグラウンドTVをNHKBSPに合わせたところ,始まったのが,新日本風土記「山形 庄内」.

始めに取り上げられたのが,なんと蕪=「温海(あつみ)かぶ」.

急遽,今日は「温海(あつみ)かぶ」を取り上げることに.

 

温海かぶ」は,鶴岡市の山間部で栽培されている伝統野菜.ただの伝統野菜ではありません.

栽培方法がユニークで,焼き畑農法で作られ,無肥料・無農薬で栽培した「特別栽培農産物」に認定されているという貴重な作物.

今の日本で焼き畑農法が守られているのは蕎麦ぐらいしか知りませんでした.

”地元の人たちはあくまで焼畑にこだわり続けます.その理由はただひとつ,「かぶが美味しくなるから」.”

すばらしいですね.

https://syokunomiyakoshounai.com/ingredient/ingre-04/002.html

https://www.kamosika.co.jp/item/mituokuya0016/

 

「食の都 庄内」というポータルサイトの記事を引用させていただきます.

温海かぶ あつみかぶ https://syokunomiyakoshounai.com/ingredient/ingre-04/002.html

温海かぶ」は鶴岡市の山間部に位置する一霞地区(旧・温海町一霞)を中心に,焼畑農法によって栽培されている在来野菜です.

シベリアまたは中国東北部から伝来したとされる西洋かぶの一種で,400年近い栽培の歴史を持っています.この集落は古くから温海かぶの採種場であり,種子の純度を保つために一霞の人たちは長い間,温海かぶ以外のアブラナ属植物を植えないという決まりごとを守り続けてきました.こうして自家採取された種を蒔く準備が始まるのは,7月に入ってから.伐採跡地など山の急斜面の下草を刈り取り,刈った草や木が充分乾燥するのを待って8月の旧盆あたりを目安に,炎天下のもと焼畑が行われます.

火を入れた畑にはまだその余熱が残っているうちに種が蒔かれ,その後は途中で間引きをするぐらいで基本的には何も手をかけず,10月に入ると大きく実ったものから次々と収穫されていきます.

決して楽な作業ではありません.けれども地元の人たちはあくまで焼畑にこだわり続けます.その理由はただひとつ,

「かぶが美味しくなるから」.

伝統を守り、本物の美味しさを守る,その頑固なまでのこだわりが,温海かぶには込められているのです.

https://syokunomiyakoshounai.com/ingredient/ingre-04/002.html

https://www.nhk.jp/p/ts/ZWJKNQ815M/episode/te/8Q8Y15JZLM/

 

NHK新日本風土記「山形 庄内」では,次のように取り上げられています.

 

山形県北西部.庄内地方.北に鳥海山.南東に月山がひかえ,米所庄内平野最上川が流れます.江戸時代ここは庄内藩.藩主酒井氏の城があった城下町鶴岡を中心に実り豊かな土地.-----

鶴岡から南へ10キロの田園地帯.江戸時代からつづく農家の跡取り,長南光(みつ)さんは町内の味を大事にした農家民宿を営んでいます.----

「石もったりすると,ハアハアするよ」

山沿いの温海地区でとれた赤カブが手に入ったので,甘酢漬けをつくります.地元で代々守られてきた在来作物が,ほかにもだだちゃ豆民田茄子など60種類もあるといいます.漬け上がるまで十日ほど.

 

赤カブがとれるのは,日本海を望む急峻な山の中.9月に杉を伐採した後の山を焼いて種を植えました.

五十嵐さん「今年はいいのができてますから」

400年前から,この地区で作られてきた在来作物・温海かぶ.一時途絶えていた伝統の赤カブ作りを地元の森林組合が復活させました.

高井さん「見つけ残してた.毎日来ているんだけど」「収穫残し?」「そうそう」

畑を焼くのは,暑い盛りの仕事.雪の降る前にカブの収穫を終えるには,この時期に種を蒔かないといけません.伐採された枝や葉などを焼いた灰が養分となって育つカブ.

甘酢に漬けると全体がピンクに染まり,味わいも深くなります.

収穫した後には杉の苗を植えていきます.

次にここでカブをつくるのはずっと先.杉が生長して伐採する頃です.

 

五十嵐さん

「あとここは50年後になるのか70年後になるのか,そんな感じで」

「やってて面白いし,食べてもうまいし.昔からの伝統みたいなもんだから,やっぱり,つづけてほしいわな.ああ,なにもかも忘れられるな.やまはいいわ.ハハハハハ」

 

この土地ならでは赤カブは,藤沢周平の時代小説にも度々登場しています.

長年の城勤めを退いた男の哀感を描いた三屋清左衛門残日録.主人公三屋と旧知の町奉行佐伯は,赤カブの酢漬けに目がありません.

 

『三屋清左衛門残日録』(藤沢周平)より:

「この赤蕪がうまいな」

町奉行の佐伯熊太は,おかみが運んできた蕪の漬物にさっそく手をつけた.

「わしはこれが好物でな.しかしよくいまごろまであったな.赤蕪というのは,大体,これから漬けるものじゃないのか」

「そうです.よくご存じですこと」

 

伝統の食文化や,季節の食材を守り抜いている鶴岡は,ユネスコの食文化創造都市に認定されています(2014年).

旬の赤蕪でつくる,長南さん自慢のなます.

「食材の味が違うんだよね.普通の在来種で無いのは,形と色は野菜だけど,香りとか匂いとかは薄くできてる.誰にでも食べられるような味に改良されてる.

在来種は匂いとか香りとかクセがあるの.だから,好きな人はやみつきになる.庄内の人たちは,自分達の味,知ってるから,自分達が食べるだけでも作り続けてきた」

 

山と海で周囲と隔てられている庄内だからこそ,地元のおいしさを大事にする.

食用菊「もってのほか」は,ざっと湯がいて,酢の物にします.ゴボウも煮えてきました.

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長南さん「普通が一番.当たり前の料理が一番.毎日食べても飽きないんだもの.美味しいものは,美味しいけれど毎日食べてれば飽きるんだ.」

 

 

NHKBSP「新日本風土記〜山形 庄内〜」

https://www.nhk.jp/p/ts/ZWJKNQ815M/episode/te/8Q8Y15JZLM/

初回放送日: 2022年5月27日

山形・庄内は山と海に囲まれ、広大な平野が広がる米どころ。ここは海の幸、山の幸に恵まれた食材の宝庫だ。郷土の作家の藤沢周平の言葉を道しるべに、庄内の味を巡る。

山形県の海側・庄内地方は三方を山に囲まれ、日本海にむけて広大な平野が広がる日本有数の米どころ。ここは海の幸、山の幸に恵まれた食材の宝庫だ。その故郷の味をこよなく愛したのが庄内生れの作家・藤沢周平。様々な作品の中で、懐かしい味について語った。秋が旬の赤カブ、冬の訪れを知らせるハタハタ。寒風が吹きすさむ冬の味覚の王様、寒ダラなど、藤沢作品でもおなじみの庄内の味を、名作の言葉を道しるべに巡る。

 

かぶの品種分布

https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/yasai/2001_yasai1.html

愛知~岐阜~福井を結ぶ「かぶらライン」でかぶの栽培品種が大まかに分かれており、東では、ヨーロッパを経て伝わった西洋型で寒さに強く、西では、中国を経由して伝わった日本型で気温に敏感でとう立ちしやすい品種が多い。主な品種は以下の分布図のとおりである。