鎌倉光則寺・冬の入り口 / 枯木立・裸木・冬枯を詠んだ短歌(1) 冬の入り口の植物たちの画像を載せておきます:紅葉/黃葉,万両・千両,山茶花,蜜柑,石蕗,ネリネ. あはれみし袖の露をば結びかへて霜にしみゆく冬がれの野ベ 西行  枯木立心々のはなれたる二人は添ひて道を歩めり 佐佐木信綱  裸木に花はひそかに咲きてあり地の上(へ)の影のゆれ動くかな 土屋文明

今日は昼間よく晴れて過ごしやすかったのですが,朝晩の寒さは,冬を感じさせます.

紅葉も見納め,ということで,先日訪れた,鎌倉光則寺の画像を載せておきます.冬の入り口の植物たち: 紅葉/黃葉,万両・千両,山茶花,蜜柑,石蕗,ネリネ

 

光則寺の代名詞にもなっていた海棠(花海棠).老木で一時衰えきっていましたが,手当が行き届いて,かなり回復.冬に入ろうとするのに,まだかなりの葉を残し,小さな実もなっていました.

 

桜,梅はほとんど葉を落とし,「裸木」に.

葉を落とした木は「枯木立」と呼ばれることもあるとのこと.知りませんでした.「枯木」とは違うんですね.「冬枯」も葉が枯れるだけの意味.「枯枝」には,二つの意味があるそうです.

日本国語大辞典より:

はだか‐ぎ【裸木】

冬、葉の落ちてしまった幹と枝だけの木。《季・冬》 〔俳諧・季寄新題集(1848)〕

 

かれ‐こだち【枯木立】

①冬になって葉の枯れ落ちた木立。冬木立。《季・冬》

俳諧俳諧四季部類(1780)一〇月

「冬木立 枯木立 雑也」

 

かれ‐き【枯木】

〘名〙 (「かれぎ」とも) 葉の落ちた立ち木。枯れはてた樹木。また、老いて生気を失ったもののたとえ。枯れた樹木。からき。《季・冬》

 

ふゆ‐がれ【冬枯】

①冬になって草木の葉が枯れること。また、そのながめの寒々としてものさびしい様子。《季・冬》

*古今(905−914)恋五・七九一

「冬がれの野べとわが身を思ひせばもえても春を待たまし物を〈伊勢〉」

 

かれ‐えだ【枯枝】
〘名〙 葉の落ちた枝。または、枯死した樹木の枝。かれえ。からえだ。《季・冬》

 

 

枯木立・枯枝・裸木・冬枯を詠んだ短歌(1)

古今短歌歳時記(鳥居正博 教育社)より

 

冬がれの野辺とわが身を思ひせば燃えても春を待たましものを  伊勢 古今集

 

 

たのもしき契は春にあらねどもかれにし枝も花ぞ咲きける  平時忠 千載集

 

 

あはれみし袖の露をば結びかへて霜にしみゆく冬がれの野ベ  西行 西行法師歌集

 

 

枯木立心々(こころごころ)のはなれたる二人は添ひて道を歩めり  佐佐木信綱 新月

 

 

冬がれの国とはなりぬ千曲川土濁りして虹たつ雨雲  島木赤彦 氷魚

 

 

裸木に花はひそかに咲きてあり地の上(へ)の影のゆれ動くかな  土屋文明 ふゆくさ