寒い中,わが家の日本水仙が開花.今年は早いように思います.
今日の話題は昨日に続き,NHKBSP「ガイロク(街録)」から,ちょっといい話.
この歌を知っている方には,とりわけ心に沁みるかと思います.
https://www.youtube.com/watch?v=BpuE_0MafLI
「街録」番組紹介:https://www.nhk.jp/p/ts/6P14VQRKP9/
街頭録音、略して「街録」。 街ゆく人々の“リアル”な声から、人生を学ぶ! 人生のピンチやハプニングとどう向き合い、乗り越えてきたのか? その経験から得たものとは…。 山あり谷ありの人生に生きる勇気が湧いてくる!
▽バーを営む女性が人生の岐路に立った時、勇気をくれた歌があった。ある日店にその歌手本人が訪ねてきて…!奇跡の出会いがくれた生きる力
NHKBSP 11月27日/12月2日 ガイロク(街録)
東京下高井戸「どういったご用事でこられたんですか?」
「えっと,買い物にいつも来ます」
「こういったテーマでお話を伺っているんですけど『人生のピンチを教えて下さい』」
「はい.下北沢で20年前からバーをやっていりまして.開店一ヶ月後は,知り合いとか来て下さったんですけど,それ以降は客足がぱったりという.目の前が真っ暗になったんですけど」
彼女がバーを始めようと思ったのは,30代の頃.その時彼女は人生の岐路になっていました.
「20年,ずっとコピーライターとして働いていたんですけど,組織で働くのに向かないっていうのがあって,離婚して,これからどうしようかな,っていうようなことでしたね.」
これからの人生をどう生きようかと悩んでいたとき,ラジオからある曲が流れてきました.
「暗い部屋で,FMラジオですよ.何ですかね,こう,暗闇の中から,温かいものが立ち上がってくるみたいな,『大丈夫,誰かがあなたを呼んでいるから元気を出して』っていうメッセージがあって」
それは,カナダ人のジャズシンガー,ホリー・コールが歌う"Calling you"という曲でした.
「『あなたらしく生きていいのよ』というメッセージを私は受け取ったんですね.ずっとバーをよりたいなと思っていたですね.頑張って働いている女の人が,一人でもゆっくり飲めるバーを作りたいと思って始めたんですね」
彼女は,下北沢にホリー・コールから名前をとった,ホリーというバー(Bar Holly)を開きました.しかし,そう簡単にはいきません.
「本当に,ノーゲストの日が何日も続いたりとか.だから,その当時の日記を見ると,『お客さん来ないから,もうやめるか.もうダメか』と書いてあって」
再び,人生の岐路に立ったとき,ホリー・コールが二年ぶりに東京でライブを開催.彼女は,生の"Calling you"を聴きに行きました.
“けれど確かに新たな変化が近くまで来ている.段々と近づいてくる 甘い救済の匂い.私はあなたを呼んでいる”("Calling you")
「彼女の"Calling you"は,すごく温かくて,元気になれる--」
数日後,彼女のバーに,一人の女性がやって来ました.
「突然,すっぴんでドアを開けて入っていらして,一瞬,誰だか,何のことだか,分からなくて」
彼女の目の前に現れたのは,ホリー・コールその人でした.
実は,ホリーは,彼女がライブでバンドメンバーに渡したショップカードを見て,訪ねてくれたのです.
「『何で東京に自分の名前のバーがあるのか知りたかった』.自分が人生で一番つらかったときに,ラジオから流れてきた"Calling you"で励まされたって話すと,とても感激してくださって,私があなたの歌で励まされたように,頑張って働いている女の子たちを励ますバーをつくりたいっていうのをお伝えしたら,『カウンターの外に出てきて欲しい.ハグしたいから』って」
店がうまくいかなかったことを聞いたホリーは,こんな話をしてくれました.
「カナダでは,デビューが決まったときに,自動車事故に遭って歌手にとって生命線だったあごを砕いてしまったっていうのがあって,そこからのリハビリが大変だったっていうのをお聞きしたので,やっぱり,なんていうのか,どん底を見た人の優しさが大歌手なのにすごくあって,『この人,やっぱりいい人だな』と思いました」
彼女は,この出会いで,店を続ける決意を新たにします.
それから二十年.今もホリーという名のバーを続けています.
「ホリーさんが,何年かに一度,新しいアルバムが出ると,ブルーノート(東京)にプロモーションでライブにいらっしゃるんですね.その時に,下北沢まで来て,自分の名前のバーが潰れていたらがっかりするだろうなと思って.
壁にサインが残っているので,ダメかなと思ったときに,そのサインを見ると,まだ潰せない,と思って.叱咤激励されています.」
参考
▽ホリー・コール「コーリングユー」は,映画「バグダッドカフェ」主題歌のカバー.特に日本で大ヒットして,第7回日本ゴールド・ディスク大賞(1992年)で「グランプリ・ニューアーティスト賞」「アルバム賞」を受賞.
https://www.youtube.com/watch?v=kdF4BEDKD9c
▽映画バグダッドカフェ(1989年 第14回セザール最優秀外国映画賞)で「コーリングユー」を歌ったのはジェヴェッタ・スティールで,第61回アカデミー賞歌曲賞にノミネート.
Calling You - Jevetta Steele(日本語歌詞付き) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=hPPS0_rqwcw
多くの歌手にカバーされていて,例えばセリーヌ・ディオンもよく歌っているとのこと.
Celine Dion - Calling You (Live A Paris 1995) HD 720p - YouTube
▽映画「バグダッドカフェ」.私も大好きな映画ですが,多くの日本人に愛されている映画といえるのではないでしょうか.
英語版ウィキペディアの一部をDeepL翻訳で以下に掲載しておきます.
https://en.wikipedia.org/wiki/Bagdad_Cafe
『バグダッド・カフェ』(Bagdad Café、ドイツでは『Out of Rosenheim』)は、パーシー・アドロン監督の1987年の西ドイツの英語映画である。カーソン・マッカラーズの小説『哀愁のカフェのバラード』(1951年)に着想を得ており、夫と別れたばかりの女性2人と、そこから芽生える友情を描いたコメディドラマである。上映時間は米国版で95分、ドイツ版で108分。
プロット
ローゼンハイム出身のドイツ人観光客ジャスミン・ミュンヒグシュテットナー(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)とその夫は、砂漠を車で横断中に喧嘩をする。彼女は車から飛び出し、孤立したトラックストップに向かう。そこは、タフで短気なブレンダ(CCH・パウンダー)が経営する店で、彼女の夫も表で口論した後、すぐに出ていこうとするところだった。ジャスミンは隣接するモーテルに宿をとる。ブレンダはジャスミンと親しくなり、カフェで働くことを許可する。
カフェには、奇妙な元ハリウッド・セット・ペインター(ジャック・パランス)、グラマラスなタトゥー・アーティスト(クリスティン・カウフマン)など、さまざまな人物がやってくる。ブレンダの息子(ダロン・フラッグ)はピアノでJ・S・バッハの前奏曲を弾く。掃除と手品が大好きなジャスミンは、カフェで出会うすべての人に静かに共感し、カフェとそこにいるすべての人々を少しずつ変えていく。