見方によっては美しい花を咲かせ,民間薬等で親しみのあるドクダミは,短歌にも取り上げられてきました.ただし,古歌には見えず,蜻蛉日記にドクダミの古名「しぶき」の記載があるとのこと. どくだみの花のにほひを思ふとき青みて迫る君がまなざし 北原白秋  青臭ふどくだみの花芯立てて咲き群るるかな昨日も今日も 宮柊二

繁殖力が強く,一般的には余り好まれないドクダミですが,民間薬として広く知られ,愛好者も少なくありません.

花もよく見ると白さが際立ち美しいと言え,八重花種は園芸ショップでも販売されています.

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/05/31/235713

 

ドクダミ - Wikipedia

https://item.rakuten.co.jp/chanet/380275/

 

このように,見方によっては美しい花を咲かせ,民間薬等で親しみのあるドクダミは,短歌にも取り上げられてきました.

以下,鳥居正博 古今和歌歳時記(教育社)の記述から.

 

短歌に取り上げられてきたといっても古歌には見えず,蜻蛉日記ドクダミの古名「しぶき」の記載があるとのこと.

 

しりへのかたなる池にしぶきといふ物おひたる(蜻蛉日記 中)970

 

 

俳句では仲夏の季語.

 

どくだみのわれはがほなる二葉かな 富安風生 (朴若葉)1950

 

 

明治以降には,著名な歌人に詠われるように.

中には「十薬」(十通りの薬効があるとされるため)として詠まれている歌も見えます.

 

道のべにどくだみの花かすかにて咲きゐることをわれは忘れず 斎藤茂吉 (ともしび)1950

 

 

どくだみの花のにほひを思ふとき青みて迫る君がまなざし 北原白秋 (桐の花)1913

 

 

青臭ふどくだみの花芯立てて咲き群るるかな昨日も今日も 宮柊二 (多く夜の歌)1961

 

 

つくばひは苔むしてゐつ隙間なく十薬は生ひて花かげりゐつ 大西民子 (印度の果実)1986

 

 

蕺菜(どくだみ)の昼ふかくして蔵のなか息つめて我のあぶな絵みつむ 辺見じゅん (雪の座)1976