鎌倉海蔵寺で出会ったのをきっかけに,一昨日,昨日としだれ梅を取り上げました.
一般の梅の美しさとは異なる,独特の華やかな美しさは,多くの人を引きつけるように思います.
海蔵寺のしだれ梅
「しだれ梅は,なぜ枝垂れるのか?」
この質問には,植物生理学会の「みんなの広場」に回答があります.
簡単に言ってしまえば,「『枝を引っ張り上げるしくみ』が発達していないため重力方向に垂れてしまう」いうことのようです.
実際,薬剤処理をしてその仕組みを回復させると余り枝垂れなくなるとのこと.
『枝を引っ張り上げるしくみ』とは,
広葉樹の場合
「枝の上半分が発達して枝を引っ張りあげているので、枝はしだれないでいられると考えられており、この上半分の部分の材を“引っ張りあて材”と呼んでいます」
とのこと.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscm1975/13/6/13_6_252/_pdf
この解答で一つ不思議に思うのは,しだれ梅の幹の部分はしっかり立っているということ.「枝だけが“引っ張りあて材”ができない」ということでしょうか?
そして,植物が重力を「感じて」、対抗するメカニズムを知りたくなりますね.どこまで分かっているのでしょうか?
なお,この「あて材」は,結果として一定方向に年輪を発達させ,材料としての木材の質に影響するとのこと.
そして,関連して,ネット上で話題になっているのが,「年輪を見れば,南北が分かる」という俗説のウソ.
植物は日が当たる方向に年輪を膨らませることは無い.
にもかかわらず,かなり信頼できると考えられているサイトにも,この「俗説」がつい最近まで掲載されていたそうです.
興味のある方は,以下の記事をお読みください.
あて材に関して:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscm1975/13/6/13_6_252/_pdf
木はどうして倒れない? 樹木医の視点で見る木のすごい構造|記事カテゴリ|BuNa - Bun-ichi Nature Web Magazine |文一総合出版
年輪に関して:
常識が覆る!木の年輪「広いのは南側」は間違いだった【東京農業大学公開講座より】 | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト
目からウロコの木のはなし(ブログ編) この切り株のどちらが南の方角でしょうか? 夏休みの自由研究ネタに
なお一番わかりやすいのは,次の小学生の観察研究かと思います.
木の年輪で方角がわかるか─ 正しいか (小学校の部 佳作) | 入賞作品(自由研究) | 自然科学観察コンクール(シゼコン)