4度目の緊急事態宣言.
その中で,管首相は「ワクチンの接種スピードが世界一になった」と誇っていました,
令和3年7月8日 新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見 | 令和3年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ
管首相
「全国の津々浦々でワクチン接種の加速化が進んでいます.自治体や医療などの関係者の御尽力により,今や世界でも最も速いスピードで接種が行われていると言われています.
1週間の接種回数は900万回を超えています.本格的な接種が始まってから2か月余りで累計の回数は5,400万回を超え,既に高齢者の72パーセント,全国民の27パーセントが1回の接種を終えています」
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で検証してみましょう.
1日あたりワクチン接種総量
確かに,現時点での1日あたりの接種量は,現在,日本が世界一.
しかし,接種開始時期があまりに遅いことは明白.5月に本格的接種開始では---
1日300万回以上の接種が行われたアメリカでは,希望者への接種が終わっています.
また,日本でも現在接種のスピードが鈍り始めています.何故?ワクチン供給が限界になったようです.
人口100人あたりの一日接種量
ワクチンは,接種した総量より,国民にどれぐらい行き渡ったかが重要.
日本は世界十一番目の人口を擁する国.100人あたり何人に接種したかを見てみましょう.
日本では,1日,人口100人あたり0.78人に接種されています.
7月8日時点では,イタリア,ドイツ,フランスの方が僅かながら上.
そして,ここでも目立つのが,日本の出遅れ.
アメリカ,そしてイスラエルは,人口100人あたり1人以上/1日の接種をとても早い時期に実現していました.
なお,日本と同じように出遅れていた韓国も,ワクチン接種を急いで,一旦は「人口あたり世界一のスピード」を誇ったのですが,その後急速に低下. なぜかは調べきれませんでした.ワクチン供給の不足でしょうか?
今までにどれだけ接種されたか?
改めて,今までに投与されたワクチンの積算値を見て見ましょう.
下のグラフは人口100人あたりのワクチン投与量です.縦軸で200が,全人口が2回の投与を終えたことを意味しています.イスラエルでもその数値にはほど遠く,全国民にワクチンを投与することは至難の業であることがわかります
そして,主要先進国及びイスラエルに比べて,日本の投与開始があまりにも遅かったことが明白に見て取れます.その結果,主要先進国の半分程度にしかワクチンは行き渡っていません.
せめてドイツ・フランス・イタリアと同じような時期に投与を本格化していれば---
このグラフに,アジア・オセアニアの国を加えてみると--
日本のワクチン接種本格化の時期は,韓国・オーストラリア・ニュージーランドよりも遅い!
これらの国々のワクチン接種が思うように進んでいないため,最近になって接種率で上回ってきたというのが現状.
結論
確かに,現時点での1日の接種総量は,世界一. しかし,これは1日300万回の接種を誇ったアメリカの接種が大幅に鈍ったため.
また,人口100人あたりでは,独仏伊と併走していて,7月8日0.78人は,これら3カ国に及ばない.
何よりも接種本格化があまりにも遅れたため,積算接種率は英米はもちろん,独仏伊にも遠く及ばない.
しかもワクチン接種が早くも頭打ちになる兆候が見られる.