3月4日時点実効再生産数(簡易手法による):東京0.97,神奈川1.05,埼玉0.98,千葉1.02,全国0.99.東邦大学舘田一博教授「延長の効果で医療現場の負担は確実に減ると考えられるが,2週間程度で感染状況が劇的に改善するとは思えない」 NHK NEWSWEB    西浦教授「首都圏の緊急事態宣言を解除するにはまだ早すぎる」「この先,変異株の流行は確実にくる」「五輪はせめて来年に延期を」「(GoToは) 明確に感染リスクを大きく高める政策」週刊文春

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実効再生産数 下げ止まり明確に

03月05日 17時47分

実効再生産数 下げ止まり明確に|NHK 首都圏のニュース

 

緊急事態宣言が出されてから8週間,1都3県では期限の延長が決まる見通しです.

(⇒NHK NEWSWEB 2021年3月5日 20時49分 

首都圏1都3県の緊急事態宣言 21日まで2週間延長表明 菅首相 | 新型コロナウイルス | NHKニュース

  首都圏1都3県の緊急事態宣言 21日まで2週間延長表明 菅首相

首都圏の1都3県に出されている緊急事態宣言について,菅総理大臣は7日の期限を2週間延長し,今月21日までとすることを政府の対策本部で表明しました.)

 

 

感染状況を示す指標の1つで,1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」をNHKが簡易な手法で計算したところ,1都3県では感染者数の下げ止まりが明確になってきています.

専門家は「緊急事態宣言が出ている最中にとても心配な状況で,今後,再拡大しないか特に注意する必要がある」と話しています.

 

NHKは国立感染症研究所の鈴木基感染症疫学センター長の監修を受け,緊急事態宣言が出されている1都3県と先月末に解除された地域について,4日までのデータに基づいて簡易な手法で実効再生産数を計算しました.

実効再生産数は,1人の感染者から何人に感染が広がるかを示し,「1」を上回ると感染が拡大に向かう一方,「1」を下回ると収束に向かうとされています.

より正確に出すには発症日を推定して計算するなど,さらに多くの条件を考慮する必要がありますが,時間がかかるため,あくまで目安の数値として確認された日ごとの感染者数をもとに簡易な手法で計算しています.

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【東京都】

▼1月7日時点で1.28

▼14日時点で1.22と「1」を超えていましたが,

▼21日時点に0.94と「1」を下回りました.

---中略

▼2月25日の時点で0.84,

▼3月4日の時点では0.97

と,感染が減少するスピードは鈍っていて「1」に近づいています.

 

【神奈川県】

▼1月7日時点で1.11,

▼14日時点で1.45でしたが,

▼21日時点では0.97と「1」を下回りました.

その後,

▼1月28時点では0.68,

---中略

▼25日時点で0.95と徐々に数値が上がり,

▼3月4日の時点では1.05

と,再び「1」を上回り,感染が拡大する方向になっています.

 

【埼玉県】

▼1月7日時点で1.10,

---中略

▼28日時点で0.73,

---中略

▼3月4日の時点では0.98

と,減少のスピードが鈍り,「1」に近づいています.

 

【千葉県】

▼1月7日時点で1.22,

▼14日時点で1.42,

▼21日時点で1.04でしたが,

▼28日時点では0.82と「1」を下回りました.

----中略

▼25日時点で0.98と徐々に数値が上がり,

▼3月4日の時点では1.02

と再び「1」を上回りました.

 

【全国】

▼1月7日時点で1.18,

▼14日時点で1.27,

▼21日時点では0.96,

▼28日時点で0.77,

---中略

▼3月4日の時点では0.99

と,「1」を下回っていますが,感染者数が減るスピードは鈍っています.

 

日本感染症学会の理事長で東邦大学の舘田一博教授は

「緊急事態宣言が出ている最中に1を上回る地域が出たのはとても心配な状況で,今後,感染が再拡大しないか特に注意する必要がある.

緊急事態宣言が再び延長される1都3県では,延長の効果で医療現場の負担は確実に減ると考えられるが,2週間程度で感染状況が劇的に改善するとは思えず,これまで以上に1人1人が対策に取り組む必要がある.

これから気候も暖かくなり,花見などの機会も増えるが,ことしは屋外だとしても大人数での飲食の場への参加は避けて過ごしてほしい」

と話しています.

 

 

週刊文春2021年3月11日号

西浦京都大学教授

▽緊急事態宣言

「首都圏の緊急事態宣言を解除するにはまだ早すぎる」

「東京では前回の宣言時のように感染者をできる限り減らした時点で解除すべきでしょう」

「一旦,宣言が解除されれば,飲食を伴う会食など様々なことが『解禁』と受け止められてしまう雰囲気が作られます」

「リモートワーク,飛行機のフライト,イベントの開催制限などに関してサーキットブレーカー(一定の基準を超えたら自動的に停止させる仕組み)を発動する基準を(例えば,実効再生産数が7日連続で1を越える)」

 

▽変異株

 西浦氏によれば,(イギリス)変異株の感染力は,通常のコロナウイルスの1.5〜1.7倍にのぼる.緊急事態宣言下で実効再生産数が0.8に減ったとしても,変異株の実効再生産数は「0.8×1.5=1.2」

実際に宣言中も変異株の感染者数の数は増えている.

「実際,デンマークではロックダウン中にもかかわらず,変異株の感染者数が増えたという研究結果がありました.----」

 変異株のデータを分析したところ,日本はデンマークのおよそ一ヶ月遅れで感染が広がり始めているという.つまりこの先,変異株の流行は確実にくるのだ.

「これまでと違うのは,英国株は大人だけでなく,子どもも感染しやすいという点」

 

▽ワクチン

「ワクチンが感染予防に大きな効果があることは,最新の論文でも言及されています.ただ懸念要素がないわけではありません.

---(イスラエルでは)高齢者がワクチンを優先接種しているのを尻目に,若年層・中年層が『我慢できない』と耐えかねて,リスクのある行動に及び,感染が再拡大した可能性があるのです---

だからこそ,イスラエルのような事態を想定しておく必要がある.

ワクチンがあれば全てが解決すると油断しきってしまうのが,一番おそろしいことです」

 

▽五輪はせめて来年に延期を

「経済的影響が少ない対策があまりない無い中,宣言下でもなかなか東京都の感染者数が減りきらず,大変厳しい状況なのは皆さんのご覧の通りです.

観客を入れた開催が難しいのはもとより,せめて来年に延期することで様々な対策もスムーズに済むなら,可能な限り早く英断を下して頂きたいというのが私の思いです」

 

▽GoToトラベルの再開

「『移動自体で感染が広がるわけではない』と一部専門家が説明してきました.移動自体ではなく,移動先の食事で感染が広がっているのだと.ところが,その説明が『GoToでは感染は広がらない』という政府の理屈に“利用”されてしまったのです」

しかし,実際には,移動先での飲食も制御できず,なし崩し的に移動して感染が広がっているという.

「直接的因果ももちろんですが,開放的な雰囲気の醸成も含めると,明確に感染リスクを大きく高める政策です.---」