新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,日本をはじめ,多くの国々で差別問題が噴出し,特に医療関係者へのいやがらせ(ハラスメント)が深刻と報道されています. そして現在でも収まる様子はみえません.日本の一般市民の大多数は偏見はいけないと眉をひそめています.しかし,そうは思いつつ,いざ白衣を見ると----. 強い気持ちが同時に必要になるでしょう.'Be strong, be kind' 「強く,優しく」ジャシンダ・アーダーン/ニュージーランド首相

'Be strong, be kind' 「強く,優しく」 

ジャシンダ・アーダーン/ ニュージーランド 首相

 

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,日本をはじめ(⇒*),多くの国々で(⇒**)差別問題が噴出し,特に医療関係者へのいやがらせ(ハラスメント)が深刻と報道されています.

そして現在でも収まる様子はみえません.

つい先日も神奈川県医師会が「医療関係者への偏見や差別」と題した文書をホームページに掲載しました.(⇒*)

 

 表題に示したのは,新型コロナウイルスに関わる演説の最後を締めくくる,ニュージーランド・アーダーン首相のメッセージ.

www.bbc.com

https://www.bbc.com/japanese/52364479

http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/04/28/155623

 

ニュージーランドでの偏見・差別の実態を私には知るすべがありません.

しかし,この首相の言葉,そして,外出制限中に全土に掲げられた「BE KIND, STAY CALM 」の標語から,また, “科学と共感力で「成功」NZに注目集まる”というBBC 日本語版の記事表題からも,コロナ渦に関わる偏見・差別は他国よりずっと少ないであろうと推測します.

 

 医療従事者への偏見差別をやめるよう促す動きは日本でも活発で,大阪城ベイブリッジをはじめ,各地で支援のライトアップも行われています.

また,政治指導者や著名人の方々も,医療従事者への偏見差別をやめるよう語ってはいます.

しかし,心に響く活動・言葉になっていないのでは? と感じるのは私だけでしょうか.

 

そして,日本の一般市民の大多数は偏見はいけないと眉をひそめています.しかし,そうは思いつつ,いざ白衣を見ると----.

 

 科学に裏付けされた正確な知識,

 そして「強く,優しく」が同時に必要になるでしょう.

 

 

 今からでも遅くありません.

政治指導者/著名人の方々,「優しさ」「共感」に加えて「強さ」を求める,心のこもったメッセージを.

 

 そして,偏見・嫌がらせの動きを抑え込むには,医療関係者を応援する大多数の市民,そして私個人の意思を示す必要があるでしょう.

ただ,なかなかよい案が浮かびません.

ニューヨークなど欧米の市民が自発的に行っているバルコニーからの支援の拍手などを見ると心動かされます.しかし,日本社会ではなかなか困難な活動なのかもしれません.

 バルコニーからの拍手ほどの力はないとしても,ない知恵を絞って---

 

ツイッター上の応援 #医療従事者にエールを

・医療従事者への感謝・気遣いの言葉は忘れずに.

・さらに,神奈川県の「がんばれ!!コロナファイターズ」のステッカーでも張ってみることにしましょうか.

 やや軽い感じで,気恥ずかしい気もちょっぴりありますが.

f:id:yachikusakusaki:20200525152942j:plain

https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ga4/bukanshi/article_20200326_3.html

www.pref.kanagawa.jp

 

 

⇒*

医療関係者への偏見や差別

神奈川県医師会

最終更新日:2020年05月19日

医療関係者への偏見や差別 | 公益社団法人神奈川県医師会

 

 皆さんは、咳をしたり、熱が出ていたりする人が近くにいたら、きっと嫌な顔をして、文句を言うか、離れていくことでしょう。今この時も医療関係者は、コロナ感染の恐怖の中で戦っています。医療関係者でも怖いのですから、県民の皆さんが怖いのは当然のことと思います。

 

 戦っている医療機関の医師や看護師や事務職員にも、子供、孫、親はいます。そして恋人もいます。その愛する人たちに、うつすかもしれないという恐怖の内で、医療職という使命の中で戦っています。

そして自分の子供が、バイキンと言われ、いじめにあうかもしれないという、悲しみとも戦っています。

 

 現場で医療行為をした後、どんなに体を清潔にして、感染しないように心がけても、一抹の不安は残ります。

今でも聞きます。『家に帰っても自分の子どもが感染しないか心配です』と。だから、窓ガラス越しに子どもと手を合わせただけで、そしておどけた姿を見せて子供が笑ってくれた喜び、また現場に戻っていく。スマホでは子供のなまの反応を確かめられないと医療者は語った。もちろん家族に会って、子供の顔を見て、一緒に温かい物を食べる医療者もいます。それでも『ぎゅっと抱きしめることはできなかった』という声が寄せられます。そういう医療従事者が実際にいるのです。本当に切実です。

 

 市中の診療所ならば、医師自身が罹ったら、当然一定期間休診にするばかりでなく、診療所のすべてのスタッフやその家族の心配もしなければなりません。そして、自分の家族そのものに危害が及ぶことになります。

病院の中では重症の患者さんの治療を毎日繰り返し治療にあたり、家に帰っても人工呼吸器の音が耳から離れず、懸命にして立ち向かっている医師や看護師の人たちのことを想像してください。

そんな恐怖といら立ちと、そしてストレスの毎日の中で生活しています。

 

 クルーズ船や屋形船の関係者の入院先で偏見や差別など、いろいろなことが起こってきました。それでも皆さんの暖かい言葉をさまざまなところで目にすることで、励みになるという医療従事者は実際に多く存在し、皆さんに感謝の念を持っています。

 

 しかし残念ながら一部の人たちですが、まだまだ偏見や差別が存在してます。つい最近も以下のような言葉で、くじけそうになったと報告がありました。

「近所のスーパーで買い物をしていたら、あんた本当に大丈夫なのか」と遠くから言われた。

「飲食店で食事をした後、不快だからやめてほしい」と言われた。

「こんな時期に陽性になるとは、職員にどういう教育をしているのか」と院内感染のことを非難された。

家族が学童保育を断われた。

病院から帰ろうとすると「どこに住んでいるんだ?近くじゃないだろうね」、別な人は「バス通勤だったのか?近所でばらまいていないのか?」と言われた。

 

 どうかわかってください。そして理解してください。感染が拡大すれば、誰もが感染者になります。そのとき、偏見や差別を受けたらどんな思いをするのか、一人ひとりが賢明に考えて、不確かな情報に惑わされて。人を決して傷つけないように、正しい情報に基づいた冷静な行動をするようにしてほしいのです。

 

 新型コロナウイルス感染症 は、今まで出会ったことのないウイルスですから、正直怖いです。

差別も、誹謗中傷も、不安をあおることも、みんな人間の恐怖心が生み出していることです。

怖いことは感染の恐怖から、不安や不満が蓄積し、不当な差別や、不毛な対立が生まれてしまうことです。最も怖いのはコロナではなく、人間のこころです。少しでも、柔らかいこころを保ち続けたいと思います。

 

 

新型コロナ

感染と偏見の二重苦 医療従事者、温かい気遣いに感謝も

神奈川新聞  2020年05月24日

https://www.kanaloco.jp/article/entry-362332.html

 

 新型コロナウイルス 感染者の治療に日々奮闘する医療従事者たち。市民からの応援メッセージや、不足していた医療物資が届けられるなど、物心両面の支援を受ける半面、日常生活では周囲からの「白い目」を意識することがある─と県内の当事者は明かす。感染の恐怖と隣り合わせの日々が続く中、いわれのない偏見に苦悩する姿が浮かび上がる。

 

 「ウイルスと偏見、二つの見えない恐怖と向き合う日々だ」。横浜市戸塚区の内科診療所の男性院長(45)が嘆息する。医師4人、看護師7人をはじめ職員20人ほどの診療所。新型コロナの治療や検査を行っているわけではないが、かかりつけ医として来院した患者の中には、新型コロナ感染が疑われる症状を訴えるケースもある。専門機関につないだところ、陽性と判定された人もいた。

 

 院長は「医療に携わる以上、新型コロナを避けては通れない」と痛感する。院内の感染防止に万全を期してはいるが、絶対はない。「職員はウイルスという見えない敵を家庭に持ち帰るまいと、細心の注意を払って懸命に勤務している」と胸の内を明かす。

 

白衣に距離

 ただ、診療所を一歩出ると、理不尽な思いをすることもある。訪問診療のため、白衣姿で利用したマンションのエレベーター。乗ろうとすると、近くにいた人がなぜか一緒に乗ることをしない。「医療に携わっていると知って、距離を取られた」と感じた。

----中略

 

 「外出しないでほしい」「引っ越してもらえないか」。感染拡大が深刻化する中、同診療所の女性看護師(49)も自身の職業を知る複数の近隣住民に心ない言葉を浴びせられ、がくぜんとしたという。「身近だからこそ悲しかった。理不尽さへの憤りを覚える」

----中略

 

マスク千枚

 一方で、温かい気遣いを受けたこともある。4月には底を突きつつあったマスク千枚の寄付を、市内の企業から受けた。院長は、段ボール箱 いっぱいに詰められたマスクを見て「人のぬくもりに自然に笑顔になれた。ウイルスに立ち向かう闘志が湧き上がった」。厳しい状況下での、人情や善意、助け合いの精神に目頭が熱くなった。

 ----後略

 

 

Japan's beleaguered nurses battling widespread abuse along with COVID-19

日本の困難な状況にある看護師たちは,新型コロナウイルスとともに広がった罵詈雑言とも闘っている(拙訳)

CBS NEWS 

https://www.cbsnews.com/news/japans-overstretched-doctors-and-nurses-battling-widespread-abuse-along-with-covid-19/

www.cbsnews.com

 

 

白衣洗う業者見つからない/近所の人の目怖い 差別・中傷に苦悩

中国新聞デジタル 2020/5/4

https://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=639927&comment_sub_id=0&category_id=256

 

 

「差別・偏見なくなる報道を」コロナで新聞協会と民放連

朝日新聞デジタル 2020年5月21日 17時53分

https://digital.asahi.com/articles/ASN5P5TWVN5PUTIL01B.html

 

 

 

⇒**

医療従事者への攻撃が頻発とWHOが報告…石を投げられ、漂白剤をかけられ、家から追い出される

Hilary Brueck

BUSINESS INSIDER    May. 21, 2020, 04:30 AM News

 

    世界のコロナウイルス対策の最前線にいる医療従事者が、襲撃され、石を投げられ、漂白剤をかけられ、家から追い出され、唾を吐かれ、乗車拒否されている。

    世界保健機関(WHO)によると、4月には11カ国で35件以上の深刻な事件があったという。

    「誤解や情報不足、教育不足が原因で起こることもある。しかし、それ以外は、無意味な暴力や差別行為だ」とWHOのマイク・ライアンは述べた。

 

医療従事者は、コロナウイルスとの戦いの英雄として拍手を浴びる一方で、攻撃を受けたり、傷ついたり、家を失ったりもしている。

 

フィリピンでは、病院に向かう看護師が漂白剤を顔にかけられ、別の看護師は塩素を浴びせられた。インドではユニフォームを着た医療従事者が路上で石を投げつけられた。メキシコの多くの看護師は、攻撃を恐れて通勤中はユニフォームを着用しないようしており、オーストラリアの医療従事者は、唾を吐かれ、暴行された後、もう公共の場でユニフォームを着用しないように指示された。

 

「私は27年間、誇りを持って看護師のユニフォームを着てきました。医師も同じだ」とメキシコ社会保障研究所の看護部長ファビアナ・ゼペダ(Fabiana Zepeda)は4月に記者団に語った。

 

「しかし今、我々は怪我をしたくないので、制服を脱いでいる」

 

医療従事者に対する暴力はメキシコ、オーストラリア、インド、フィリピンに限ったことではない。

 

「4月だけでも、11カ国以上で35件以上の事件が発生している」と、世界保健機関 (WHO)の緊急事態担当エグゼクティブ・ディレクター、マイク・ライアン(Mike Ryan)は水曜日の記者会見で述べ、WHOが世界中で確認している攻撃を「非常に深刻な事件」とした。

 

「COVID-19は我々の中にある最高のものを引き出したが、それはまた、最悪のものも引き出している」とライアンは述べた。

 

エコノミストは最近、中国の一部の病院が医療従事者に自衛方法を教えていると報じた。

 

人々が窓を開けてバルコニーに立ち、医療従事者を励ます一方で、アメリカの看護師や医師の中には、他の人にウイルスをうつすのではないかと恐れた家主によって家から追い出される人もいる。

 

アルジャジーラの報道によると、フィリピンの露天商は病院職員に食事を出すことを拒否すると書かれた札を掲げていた。さらに現在では多くの医療従事者が職場までの移動に苦労しているという。なぜなら、相乗りの運転手やバスは彼らを乗せることを怖がっているからだ。仕事に行くために自転車やスクーターを使い始めた人もいる。

 

「人々は、個人や社会を助けようとしている人に不満をぶつけることで満足している」とライアンは言う。

 

「誤解や情報不足、教育不足が原因で起こることもあるということに注意しなければならない。そのほかの場合は、無意味な暴力や差別行為が行われることがある」

 

医療従事者が病気の媒介者と見なされ、感染症に対する人々の恐れを解消するために利用されるのは、これが初めてではない。

 

2018年と2019年には、エボラ出血熱の患者を治療していた医療従事者が少なくとも7人殺害された。パキスタンでポリオの根絶を目指してワクチンを供給していた医療従事者も襲撃を受け、殺害された。

 

「医師や看護師を攻撃する人々には、よく考えてほしい」とゼペダは語った。

 

「我々はあなたの命を救うことになるかもしれないのだから」

 

 

B.C. nurses complain of discrimination amid COVID-19

https://vancouverisland.ctvnews.ca/b-c-nurses-complain-of-discrimination-amid-covid-19-1.4897128

Rob Buffam

CTVnews  

2020.4.15

( B.C.  :British Columbians,カナダ)

 

 

‘Afraid to Be a Nurse’: Health Workers Under Attack

Stigmatized as vectors of contagion in some countries, health care workers have been assaulted, abused and ostracized.

By Kirk Semple 2020.4.27

The New York Times

Health Workers Under Attack During Coronavirus Pandemic - The New York Times

 

 

https://www.aa.com.tr/en/asia-pacific/covid-19-indias-frontline-heroes-decry-harassment/1791396

Argentina's coronavirus patients, medical workers harassed | Argentina | Al Jazeera

https://www.miamiherald.com/news/coronavirus/article241967281.html

Coronavirus: India doctors 'spat at and attacked' - BBC News

Chinese children in UK suffering racism due to coronavirus | Daily Mail Online