秋の星座として紹介されているおひつじ座.
この星座にまつわる牡羊の名は
http://www.theoi.com/Ther/KriosKhrysomallos.html
ギリシャ語で,“KRIOS KHRYSOMALLOS”,
ラテン語でCrius Chrysomallus.
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/10/17/002410
ギリシャ神話では,この黄金の毛をもった空飛ぶ牡羊が,アイオロスの王子プリクトスと王女ヘレーを助け,星座となったとされています.
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/10/17/002410
プリクトス/ヘレーと黄金の空飛ぶ牡羊を記したギリシャ/ローマ神話の原典は,数多くあるようで,the Theoi Projectのサイトには,23の原典名が!
http://www.theoi.com/Ther/KriosKhrysomallos.html
最もよく引用されているのは,偽アポロドーロス/ビブリオテーケー(ギリシャ神話)のようで,ネット上で見つかるおうし座の神話は,ほぼ全てがこのビブリオテーケーをもとに構成されている?
ただし,the Theoi Projectのサイトをみるかぎり---
このビブリオテーケーには,この牡羊が星座になったとは記載されていないようです.
はっきりと星座になったと書いているのは,偽ヒュギーヌス/天文詩,とオウィディウス/祭暦.
今日は,アポロドーロス,ギリシャ神話(岩波文庫からお借りしました)と祭歴(the Theoi Project 英語版 拙訳)を.
Pseudo-Apollodorus, Bibliotheca 1. 80 (trans. Aldrich) (Greek mythographer C2nd A.D.) :
アイオロス(古代ギリシャを構成した集団の一つアイオリス人の祖)の息子たちのうち,アタマーズはポイオーティアーに君臨して,ネペレーによって一子プリクトス,一女ヘレーを得た.
かれは二度目にイーノーを娶り(めとり),彼女からレアルコスとメリケルテースとが生まれた.
イーノーはネペレーの子供たちに対して悪巧みを計り,女たちに小麦を炒るように説いた.小麦を手に入れ,女たちは男に隠してそうした.地は炒られた小麦をうけたので例年の作物を実らせなかった.
そこで,アタマーズはデルポイに使者を送ってこの不作から遁れる(のがれる)方法を問うた.イーノーは使者に,もしもプリクソスをゼウスに犠牲に供すれば不作はやむであろうと信託があったと言うようにと説き伏せた.
これを聞いてアタマースは土地の住民に強制されてプリクソスを祭壇に連れて行ったが,ネペレーは娘とともに彼を奪って,ヘルメースから授かった金毛の羊を彼らに与え,彼らは羊の背に乗って空中を飛んで地を横切り海を渡った.
シーゲイオンとケンネロースとの間にある海の上に来た時に,ヘレーは深海に滑り落ちて,そこで溺れ死んだので,その海は彼女の名をとってヘレーネスポントス(=「ヘレーの海」)と呼ばれた.
しかしプリクソスは,コルキス人の地に来た.太陽神ヘーリオスとペルセーイスの子アイエーテースが彼らの王であった.彼はまたキルケーと,ミーノースが妻としたパーシパエーの兄弟である.彼はプリクソスを客とし,娘の中の一人カルキオペーを与えた.
そしてプリクトスは金毛の羊を厄除けの神としてのゼウスに捧げ,その皮をアルイエーテースに与えた.
偽ヒュギーヌス 天文詩
http://www.theoi.com/Ther/KriosKhrysomallos.html
ヒツジ座 Aries the Ram
この星座は,プリクトスとヘレーを運び,へレースポンドを生んだ(?)ヒツジと考えられています.
ヘーシオドスとペレキュデースは金の毛を持っていたと言っています.彼のことについては,どこかで詳しく話しましょう.
多くの人がヘレーはへレースポンドへ落ち,ネプチューン(ポセイドーン)により抱擁されたと言っています.
プリクソスは,アイエーテースまで無事にやってきて,ジュピター(ゼウス)にその牡羊を生け贄として捧げ,寺に毛皮をつり下げました.その牡羊の姿はヌーベース(雲 ネペレー)によって星座の間におかれ,穀物を蒔く時を知らせています.なぜなら,イーノーが以前小麦を乾燥させ,それが羊の飛行の主な理由だったからです.
エラトステネス(ギリシャの詩人,紀元前3世紀)は,その羊は,自分自身で,皮を脱ぎ,プリクソスに記念に与え,自ら進んで星々になり,そして,そのために,前に言ったように,やや暗い星になった,と語っています.
Pseudo-Hyginus, Astronomica 2. 20 (trans. Grant) (Roman mythographer C2nd A.D.) :
"[Constellation] Aries the Ram. This is thought to be the ram which carried Phrixus and Helle thought the Hellespont. Hesiod and Pherecydes [mythographer C5th B.C.] say that it had a fleece of gold; about his we shall speak at greater length elsewhere. Many have said that Helle fell into the Hellespont, [and] was embraced by Neptune [Poseidon] . . . Phrixus, on coming safely to Aeetes, sacrificed the ram to Jove [Zeus], and hung the fleece up in the temple. The image of the ram itself, put among the constellations by Nubes [Nephele], marks the time of year when grain is sown, because Ino earlier sowed it parched--the chief reason for the flight. Eratosthenes [Greek poet C3rd BC] says that the ram itself removed its golden fleece, and gave it Phrixus as a memorial, and then came of its own accord to the stars; for this reason it seems somewhat dim, as we said before . . .