オリーブの実
オリーブの苗木は,ホームセンターでも売られ,植物としても割合身近になってきていますね.
実用面では何と言ってもオリーブオイル.
オリーブには果実には珍しく(他にはアボカドがありますが),油脂成分(下の表で「脂質」)が多い.
オリーブオイルをとるのに適しているのは,青い実ではなく熟した赤紫〜黒紫になった実.(⇒*)
恥ずかしいことに私は何となく青い実からとるのかと思っていましたが--
によれば:
収穫期が近くなったオリーブの実は,最初は明るい緑色.いわゆるオリーブグリーンと言われる色です.グリーンオリーブはだんだんと黄色っぽくなり,やがて赤紫色の斑点が現れ,最終的には黒紫色のブラックオリーブになります.色によって成熟度が判断できるというわけです.
成熟度によって,果肉の柔らかさや含油量,栄養素が変わります.用途に合わせて収穫時期を変える必要があるため,8段階の色の基準(カラースケール)によって収穫するタイミングを判断します.
100%エキストラバージンオリーブオイルの原料となるのは⑦のオリーブ.黄金色の最高級オリーブオイルは完熟オリーブから生まれます.
この様な果実から採ったものだからこそ,他の種子から採った油脂類にはない香りと味があるんですね.
そして,後述のオレイン酸が多い油脂の程よい口当たり・舌触りがこれを後押しする?
私たちが口にするオリーブオイルはほとんどが輸入したもの.
日本でのオリーブの収穫は平成27年で393トン(果実として).
特産果樹生産動態等調査 | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
一方,平成28年のオリーブ油の輸入実績は55392トン.
http://www.customs.go.jp/yokohama/toukei/topics/data/1704oliveoil.pdf
輸入量は平成に入って急激に上昇して平成当初の10倍以上.
http://www.maff.go.jp/kanto/kikaku/pdf/kantosiryo.pdf
ただし,ここ二三年は変わらないようで,やや頭打ち?
http://www.customs.go.jp/yokohama/toukei/topics/data/1704oliveoil.pdf
輸入相手国は主にスペインとイタリア.
金額としてはこの二国が拮抗しているようです.ttp://www.customs.go.jp/yokohama/toukei/topics/data/1704oliveoil.pdf
オリーブオイルは油脂類としてはかなり特殊.
同じ油脂でも,オリーブオイルの成分は,かなり特殊.といっても油脂は油脂ですから,化学物質としては「トリグリセリド」とよばれるもの.
このトリグリセリドを構成する脂肪酸が異なります.
「オレイン酸 oleic acid」と呼ばれる脂肪酸がほとんど.
聞き慣れない言葉かと思いますが---
その語源は---
「Oleic acid: 19世紀,ラテン語のoleum(=oilの意味)から」
(Oleic acid: Early 19th century: oleic from Latin oleum ‘oil’.oleic acid | Definition of oleic acid in English by Oxford Dictionaries)
さらに,よく調べてみると,
ラテン語のOleumは,もともとolive oilの意味.
そしてこのラテン語のOleumは,英語 ”Oil”の語源にもなっている.
oil | Definition of oil in English by Oxford Dictionaries oil | Origin and meaning of oil by Online Etymology Dictionary オイル - 語源由来辞典
整理すれば,
ラテン語のオリーブ=Oleaから派生したオリーブオイルOleumは
・一方ではOilの語源になり,
・また一方では,オリーブオイルに多いOleic acid の語源にもなった.
ややこしい.
ヨーロッパ言語では「オイルと言えばオリーブオイル」
と考えておけば良い?
⇒*
https://www.lumbiro.com/uploads/agronomy-11-01439%20(1).pdf
「アセイト・デ・ラ・アルカリア」(スペイン)の単一品種バージン・オリーブオイルでは,ヴェレゾン期のオリーブを用いて製造されたオリーブオイルが、完熟したオリーブを用いて製造されたものと比較して、酸度と過酸化物価が低く、果実味がより強く、全てのサンプルに欠陥がなく、酸化安定性が高いことから、早期収穫が推奨されている。
https://orobailen.tr-market.jp/special_content/エキストラバージンオリーブオイルができるまで/
収穫時期は、品種や気候によって変わり、また生産者が求める味わいによっても異なる。実が緑色の状態の時は苦みや青臭さを伴うオリーブオイルを生み出す。この段階ではポリフエノール成分をはじめ様々なフレーバーが多く含まれ、またクロロフィル含有量も高いため、オイルは緑の色調を帯びるのが一般的。
オリーブが熟し、色が変わる時はワイン同様、ヴェレゾンと呼ぶ。この時期の実からは熟してフルーティな特徴もあらわれはじめるので、苦味や刺激的な味わいをもちつつもフルーツ感のある味わいを得られる。さらに成熟が進み紫から黒色になると、カロテノイドが増えるためオイルの色調はより金色になり、苦みや辛味が少なくなり、スイートオイルとも表現されることがある。遅摘みの方が果肉が柔らかくなるため収量はより高くなり、生産性を求める場合に有効。