「たけし誕生 オイラと師匠と浅草」NHKBS(3) 芽生えた思い・生まれる溝 / 1974年ツービート結成 /ツービートはテレビを席巻 「お笑いだけの劇場に,とにかく行きたいなって」「『おかしいけど,それじゃテレビや何か出られないよ』って言うから.じゃあ漫才だなと思って」「自分の頭の中で見てる師匠がいて,それにそっくりだなんて言われたら,結構,自信がついて.もしかしたら漫才やったら客がついてくるだろうと思ったけどね」「それでたけしさんがツービートでバチンと当たったら,喜んで喜んで、もう大変」

「あれをテレビで見たときは,当時知ってる踊り子さんたちは,みんな,『あれさ,師匠が乗り移ったんだね,きっと』って.みんな,その時にね」 / 「ミスばっかりする権力者で、すごいスケベで、お金とか,そういうの大好きな人をやるんだよね」 / 「『笑われるんじゃないよ』っていう,『笑わせてるんだ』っていうのは,よく言われたね」 

「たけし誕生 オイラと師匠と浅草」NHKBS(2) 踊り子・もんじゃ焼き/居酒屋女将の語るたけしと深見千三郎 / 

http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/09/25/024855

 

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NHKドキュメンタリー - たけし誕生~オイラの師匠と浅草~

https://www.nhk.or.jp/docudocu/nod/

 

「たけし誕生 オイラと師匠と浅草」NHKBS(3)

相磯百合穂(深見千三郎のめい)「人と話をするときの目が,まるで射るような.にらむんじゃなくて,なんだろう,ずっとこう,なんだろう,心の中まで見透かされているような.

で,たけしさんが番組の間に,ちょっとした時に,物を見るときの目が,その,叔父さんが,例の,その,人を射るようなというか,そういうので,何回かそれを見たことがあったんです.うん.あっ,ここまで似ちゃうのかなって思うような」

 

(東洋館:旧フランス座の屋上に向かう階段を上るたけし)

たけし「うあっ」

(扉を開けて屋上へ)

たけし「おっ」

取材者「たけしさん,こちらでタップの練習をされてたって聞いたんですけど」

たけし「ここじゃないよ」

取材者「あ,そうなんですか」

たけし「あのロビーだよ.これ,音しないもん.ほら.ここ,漫才.漫才とかコントをそこでやってて.そこから屋上来た人が『ケンカしてんのかと思った』っていうぐらい,声はってやってたよ.ここで」

 

字幕:ストリップ劇場でコントを演じるうち芽生えた思い

 

たけし「お笑いだけの劇場に,とにかく行きたいなっていうか.ここは目的が違うからって感じがあって.裸を見に来た客を無理やり笑わせんのは大変だけど,はなから笑いに来てる客って,どういうもんだか,よく,舞台立ってないから分かんないし.やっぱり,演芸場出たいから,『演芸場出たい』って言うと,怒ったよね.『もうちょっとここでやれ』とかって」

 

字幕:北野武の成長を深見千三郎は感じていた.

 

井上雅義(作家,フランス座北野武と修行)「でしょう.もう当然!それはだから,同業者はすぐ見抜いたと思いますよ.同業者こそ,ほら,何ていうの,そういうの分かるじゃん.才能分かるから,多分,やばいって思ってたら.もちろん,相方はそう既に分かってた.先輩なんですけどね.一緒にやってたコント。その人は既に分かってたから,もう,かなり嫌がってましたよね.たけしとやるのは,ちょっと,やだって」

取材者「じゃあ,師匠からの嫉妬みたいな」

井上「だからそういう事です.だから,自分がウケてなんぼじゃないですか.それを相手に取られてさ,向こうがウケてるっていうのは,面白くないんじゃないかな〜.しかも,師匠と弟子っていう関係で」

 

たけし「もしかすると師匠は,自分は浅草に残ってるけども,たけしってやつは,ここから出世してテレビや何か出て行くんじゃないかって感じかも分かんないよね.萩本さんたちが,そうだから.萩本さんとか,東八郎さんとか,いろんな人たちがみんな浅草から出て行って,テレビでお笑いやるようになるんだけど,そうすると,師匠も,また弟子が一人フランス座から抜けてって,感じたかも分かんないよね.うん」

 

字幕:生まれる溝

 

井上「たけしさんが,ある日『俺,漫才やるから』って.『なんで』って.その時に,その,相方さんがコミックバンドやりたいと.ボーイズやりたいって.

(字幕:コミックバンドは当時人気の演目)

井上「ここの楽屋ですよ.仲間連れてきたんですよ.バンド.4人ぐらいの編成でやるって.バンドになってボーイズやるっていうことは,コントをやらなくなるっていうことですよね.つまし,たけしはコントができなくなる。それで加えて師匠が,ちょんまげボーイズって,ボーイズやってたんですよ.ボーイズ好きなんですよ.やりたかったのね.どうもね.うずうずしてて.

さあコントできないでしょ.さあ,それでたけしは孤立ですよね.で,もうしょうがない.それで漫才やるって.

でも漫才って,深見師匠は,漫才,芸って認めてませんからね.だから,そこで嫉妬ですよ.多分,そこで嫉妬であれじゃないですか.たけし,はじき出されたんじゃないですか」

取材者「師匠は,たけしさんをあえて出したんですか?」

井上「だってさ,コントやらなくしたじゃないですか」

 

たけし「どうかなぁ〜.うーん----.

師匠はボーイズがすごい好きだからね.ギターなんかいじるのが大好きな人だから.アコーディオンもできるし.それやっただけで,俺にどうのこうのじゃないと思うけどね.

俺はもう完全にだから,コントをやりたくてもやる相手がいないのよね.

一回コント見てもらった事あるんだけど.演芸場なんか出てる同じぐらいのやつね.

そしたら,ネタが下品だって言われて.裸とか,その,エログロだって言われて.

『おかしいけど,それじゃテレビや何か出られないよ』って言うから,『あっ,そうなの』っつって.

じゃあ漫才だなと思って.簡単にもうコント諦めちゃったね」

 

字幕:1974年ツービート結成

 

たけし「自然に,フランス座を出て,演芸場の方が多くなっちゃったね.ツービートでやるっつったら,そのとき,スミタさんっていう,松竹演芸場の支配人が,おいらのとこ,結構認めてくれて,大したコネがないのにちゃんと出してくれて,ジャンジャンウケるようになったら,ジャンジャンジャンジャン,10日ずつ,ずれて入れてくれて.だから,そこから,とんとん拍子だったけどね.客が笑い出したら」

 

井上「笑っちゃうのは,ツービートが舞台出ると,楽屋がガラガラになっちゃうんですよ.みんな,若い漫才師が客席に回って見てんの.それはちょっとビックリしたね.『え〜』って.普通,人の漫才なんか見ないですよ」

 

たけし「演芸場で漫才やってるときに,人づてに出入禁止になってるなって.『たけし,入れるな.あの野郎,漫才やってるらしい』っつって.師匠が怒ったっつうから,『何だい』って.コントやらないくせにって思ったけど.

それから,ちょっとつきあいなくなってるんだよね.

ただ,あの---.『深見さん,師匠に似てるね』とか,『師匠そっくりだ』とか,『お前,深見さんの芸,ほんとに良く盗んでるな』というようなこと言われたときに,『あっ,これは,俺,結構いけるな』って思ったね.

自分の頭の中で見てる師匠がいて,それにそっくりだなんて言われたら,『あの芸が似てんだな』と思ったら,結構,自信がついて.

浅草は,もしかしたら漫才やったら客がついてくるだろうと思ったけどね」

 

字幕:そして北野武フランス座を去った.

深見に入門して2年.「ビートたけし」が誕生した.

 

松倉(浅草フランス座支配人)「たけしが,ここを,フランス座をやめて,独立したいって言い出したときは,一番,さみしかったんじゃないですかね.自分の後継者だと思って.自分のね---.こいつも,浅草で骨を埋めてくれるコメディアンだと思ってたから,本人は,持ってるものの全て,深見の持ってる芸の全てを,彼に教えたわけで」

 

潮(元踊り子)「親子みたい---,雰囲気もあるし.何か,いい感じの雰囲気はあった.たけちゃんとはね.やっぱり,特別な思いもあったのかもしれないですよね」

岬(元踊り子)「思い,あったでしょう」

 

たけし「自分の手元から離れていく弟子を見るのは,辛いんだろうなぁというかね.だから,申し訳ないっていう感じもあるけど---う〜ん.

恩返しなんてことも考えられないぐらい忙しくなっちゃってね.テレビや何かで,すっごく忙しいときに,何,考えてたかっていったら,新しいネタ作んなきゃしか考えてなかったね」

 

字幕:1980年代初頭,漫才ブーム

ツービートはテレビを席巻(せっけん)

 

神田(もんじゃ焼き“つくし”女将「それでたけしさんがツービートでバチンと当たったら,喜んで喜んで、もう大変.そうでなくても,肩ならしてたのに,もっとこんなになっちゃって.嬉しかったみたいよ」

たけし「うん.まあ,あれだね.もうちょっと深見の師匠も,運が良きゃね.テレビの時代に頭下げちゃえば良かったのに.突っ張ったからね.『テレビなんかで,俺の,あれなんかダメだ』なんてさ.5分とか7分とか言われてよ.『30分やんなっきゃダメだ』何て言ってたからな.

だから,師匠のアズハチさんとか,みんな弟子辺り全部,萩本さんもそうだし,みんな,出てったよね.」「なるほど」

たけし「でも,ほとんどツッコミの方法は,深見師匠の影響,すごい,あるよね.だから,ライブが好きなんだろうけど,テレビ,馬鹿にしてたからね.したら,もう,テレビの時代になっちゃた」

 

現在,浅草フランス座はお笑いの劇場に.

 

(続く 

「たけし誕生 オイラと師匠と浅草」NHKBS(4) 「浅草芸人の師,深見千三郎さん焼死享年59才」 師匠深見千三郎とは?/「ビートたけし」はまだ誕生していない? 「理想像はこの人になんだけど.やっぱり,歯がゆいんだよね.俺は.こんなに売れるほどの芸はないって感じがあって,イライライライラしてんだと思う」「師匠は売れないけど,芸事全部持ってたいう.どっちがいいか,分かんないけどね. 師匠は結構,イライライライラしただろうなと思うよ. 同じイライラでも,俺のイライラの方がいいんじゃねえかなと思うけどね」 - yachikusakusaki's blog

 

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