「たけし誕生 オイラと師匠と浅草」NHKBS(4) 「浅草芸人の師,深見千三郎さん焼死享年59才」 師匠深見千三郎とは?/「ビートたけし」はまだ誕生していない? 「理想像はこの人になんだけど.やっぱり,歯がゆいんだよね.俺は.こんなに売れるほどの芸はないって感じがあって,イライライライラしてんだと思う」「師匠は売れないけど,芸事全部持ってたいう.どっちがいいか,分かんないけどね. 師匠は結構,イライライライラしただろうなと思うよ. 同じイライラでも,俺のイライラの方がいいんじゃねえかなと思うけどね」

女将「それでたけしさんがツービートでバチンと当たったら,喜んで喜んで、もう大変.そうでなくても,肩ならしてたのに,もっとこんなになっちゃって.嬉しかったみたいよ」

たけし「うん.まあ,あれだね.もうちょっと深見の師匠も,運が良きゃね.テレビの時代に頭下げちゃえば良かったのに.突っ張ったからね.『テレビなんかで,俺の,あれなんかダメだ』なんてさ.5分とか7分とか言われてよ.『30分やんなっきゃダメだ』何て言ってたからな.

だから,師匠のアズハチさんとか,みんな弟子辺り全部,萩本さんもそうだし,みんな,出てったよね.

でも,ほとんどツッコミの方法は,深見師匠の影響,すごい,あるよね.だから,ライブが好きなんだろうけど,テレビ,馬鹿にしてたからね.したら,もう,テレビの時代になっちゃた」

 

現在,浅草フランス座はお笑いの劇場に.

「たけし誕生 オイラと師匠と浅草」NHKBS(3)1974年ツービート結成 /ツービートはテレビを席巻

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NHKドキュメンタリー - たけし誕生~オイラの師匠と浅草~

https://www.nhk.or.jp/docudocu/nod/

 

「たけし誕生 オイラと師匠と浅草」NHKBS(4)

日高てんチャーリーカンパニー かつてツービートと浅草の演芸場で芸を競った)「たけちゃんていう人は,浅草を代表しているような気がしているんですけどね.浅草にああいう人多いんですよ.浅草は.映画の監督なんかやるけど.外国で賞もらったとか何とかっていうけど,日本では大ヒットはしてないんですよね.ああいうところに,浅草を感じますけどね.ぼくはね」

 

 

映像:映画「TAKESHIS'」(監督 北野武

「たけしさん,こいつにサインしてもらえないですかね」「いいよ」

 

(取材者)「『TAKESHIS'』という作品があるじゃないですか.売れなかった自分と,今の自分を対比させて」

 

映像:映画「TAKESHIS'」(監督 北野武

「すみません,あの,『北野さんへ』って,入れてくれますか?」「名字,俺と同じか」

字幕:人気芸人たけしと売れない芸人たけし.二人が交錯する世界を描いた.

 

(取材者)「売れないたけしさんの像が,何か,ちょっと深見師匠に,ボクは見えたりするんですが.そういうのはどうなんですか?『TAKESHIS'』の中にはあるんですかね?」

 

たけし「う〜ん.あれは,もう,その,夢で,俺は悪夢しかあんまり見たことないんで,それを,こう実際,現実的に映画で描いてみようっつって,あんなようなストーリーはよく見る夢なんだよね.

でも,どっかの部分で,そう言われてみれば,売れない芸人のたけしは,深見の師匠かも分かんないよね.言われてみたら『ああ,そうか』って.『そういう事もありえるな』って,感じがあって」

 

字幕:ビートたけしは人気芸人に.深見千三郎は芸人をやめた.

 

井上雅義(作家,フランス座北野武と修行)

「やっぱ,赤字になったからでしょ.劇場が.入んなくなったもんね」

南出昭夫(元芸人.化粧品製造会社を経営)

「今のまんまじゃ,毎日毎日借金でしょ.だから,『もうやめなよ』.『やめてどうすんだよ』『やめて,こいつの会社へ来なよ』『俺,指ないのに,お前』『いや,大丈夫です.指なくても大丈夫ですから』で,来てもらったのね.

 

字幕:深見は化粧品の製造会社へ就職した.

 

山口道子(深見の同僚)「パッケージっていうか,化粧箱の,化粧品が入ってる箱の,いつも折ってましたね.『俺は手が遅いから』.休み時間でもず〜っと折ってました」

 

取材者「何て呼んでたんですか?」

山口「なそちゃん.はっははっ.私は『なそちゃん』と」

字幕:深見の本名は久保七十二(なそじ)

取材者「なそちゃん?師匠は,深見さんは怒らなかったんですか?」

山口「そうやって呼んでって.逆に言われて」

 

取材者「深見師匠と交流が復活したのは,いつだったんですか?」

たけし「俺,多分,飲みに行ったんじゃないかな.電話して.『行きましょうよ』って言って.師匠,うれしそうに行って.で,小遣いやって帰って来て.

何かそれでもう復活しちゃったみたいな.

したらその後聞くと,『たけしが,たけの野郎が小遣いくれやがった』って喜んで飲んでたらしいから.結構,そんななのがちょっと続いたよね.

そうすると,ブランクなんか全然なくなっちゃってて.テレビの話しになって,『お前,このあいだ,漫才よ』何て話で.

何かあっという間に,しこりがなくなっちゃったって,いう感じがあって.

しこりがなくなったんだけど,自分もなくなっちゃいけねえなと」

 

字幕:1983年.深見とたけしが暮らした第二松倉荘.

映像:1983年浅草火事の痕

映像:スポニチ1983年2月3日記事

「浅草芸人の師,深見千三郎さん焼死」

 

字幕:たばこが原因の火災.享年59才

 

たけし「でも,やっぱり,59才だから,死んだのが.下手すっと,すごいよね.あの---.

俺の59の時考えたら,やっぱり現役バリバリなんだよね.本人も現役だったよね.でも,結構,早めに引退させられたみたいなとこ,あるじゃない?香水つけてたりなんか,してるっていうから,イライラしたんだろうなぁ.もし,舞台があったら,まだまだ,全然,負けてないだろうね」

 

字幕:師匠深見千三郎とは?

 

たけし「何ていうんだろ---.俺がやりたいことを,先にやっちゃった人だと,思ってんだけどね.踊れて,面白くて.う〜ん.芝居うまくて,立ち回りもできて,すごい芸人だよね.

だから,俺の理想とする芸人は深見千三郎さんなんだけども,その,理想とするっていうの,いつから意識しだしたっつったら,深見さん,師匠,見てからだろうね.逆に『お前の理想像は俺だ』って言われたような気がすんだよね.『俺に勝てるか?』って言われたような気がして.もちろん,勝てないなと思うけど.だから,お金は自由に使っていいっつって,二億円で,あなた,ギター,普通のスタジオミュージシャンぐらいの腕前にしてあげますよっつったら,俺,二億円払うね,やっぱ.うん.

やっぱり,そのぐらい,こう,深見の師匠に会って,芸人はって言われるのは---なぜ芸人なんだって言われたら,芸事ができる事だから.

それを見て,やっぱり芸をいっぱい身につけなきゃと思わしてくれた人だしね.理想像はこの人になんだけど.中途半端なまま触れちゃったんで,やっぱり,こう,歯がゆいんだよね.あがいてっていうか.俺は.こんなに売れるほどの芸はないって感じがあって,イライライライラしてんだと思うんで」

 

字幕:ビートたけし」はまだ誕生していない?

 

取材者「ホントのたけしさんが理想とするビートたけしっていう存在は,まだ誕生してないっていう事なんですかね?」

たけし「う〜ん.まあ,芸人としては,結構,何回も死んでるっていうかね.事件起こして死んで,交通事故で死んでるし.だけど,なんか復活しちゃうんだよね.だから,一回ちょっと死んだと思ってんだけど.

だから,何かこう---.変化しないと,何か,もう,サボってるような気がしてんのかも分かんないけどね.何か新しい,何かやんないとって.この間,小説書き終わったんだけど,何かやってないとダメなんだよね.

漫才は漫才だけで売れてりゃいいって事を,はなから,俺に違うって,この人が言ってたわけだから.深見の師匠がね.

『何でもできなきゃ.漫才なんか,誰だってできるよ』なんて言ってた人だから.だから,その言葉が,頭に残っちゃってて,漫才もやるし,ヤクザ映画も出るし,刑事もやるし,何でもできる.踊りも踊るしっていうのが理想像だとしたら,深見の師匠はみんなできるわけだから.

俺の理想としている芸人はこの人で,なおかつ売れなきゃ嫌だっていうかね.一般に認識した---.芸人の中ですごいって言われてもやだよね.おれは芸事が手に入んないんだけど,売れたかなって感じがするね.

で,師匠は売れないけど,芸事全部持ってたいう.う〜ん.

どっちがいいか,分かんないけどね.

おれはまあ---.師匠は結構,イライライライラしただろうなと思うよ.

同じイライラでも,俺のイライラの方がいいんじゃねえかなと思うけどね.

う〜ん」

(客席を見回して)

「こんな狭かったかな。ここに出べそが出てて.満杯ったって.えらい少ないよね」

 

映像:タップを踏むたけし

「はあ,疲れた.タップ靴じゃないから---」

 

映像:浅草を歩き去るたけし

 

(終)

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