カレーうどん,カレーそば,カレー丼.日本人にとっては,ほっとする味ですよね.
今日のテーマは,和風カレー.伝統的な和食とカレーが出会った,今や定番の愛すべきメニューです.その決め手は,なんといっても黄金に輝く,和風のだし.出汁といえば和食の都,そう,京都.
今回,講師の水野仁輔さんは京都に乗り込み,ディープな和風カレーの世界に迫ります.
日本ならではのあのスパイスを使った絶品カレーうどんのレシピも大公開.
さあ,出汁がじんわりしみる,和風カレーの世界にまいりましょう.
カレー[6-1]和風カレー
「趣味どきっ!カレーの世界」 NHKEテレ 7月18日 午後9時30分~ 午後9時55分
第7回▽お越しやす京都 ダシが決め手の和風カレー①
ゲストは,俳優の鈴木浩介さん,モデル/タレントのラブリさん.
和風カレーと聞いて
ラブリさん鈴木さん「好きですね」 ラブリさん「やっぱり出汁が,出汁使ってますよね.ちょっとさらっとして」 鈴木さん「出汁とカレーが合わさったときのあの感じは,日本人ですかね.好きなんですよね」
カレーそばとカレーうどんでは「絶対カレーそば.そばが好きなんです」と,ラブリさん.
水野さん「カレーそば自体は,明治の頃に日本で生まれたと言われている.大阪で生まれたという説もあるし,東京で生まれたという説もあるし.とにかく,みんなが好きなそばというものに,このおいしそうな香りを乗っけてみようと思った人がいっぱいいたんだと思う」
ある老舗のおそば屋さんの明治時代のお品書きには「カレー南蛮」の文字が.
和風出汁とカレー粉の相性はばっちり.たちまち人気を博しました.やがてこうした和風カレーは全国に広まっていったのです.
何故カレー味のものが日本に沢山あるか?
水野さん「カレー粉では味がつかないんですよ.カレー粉でつくのは香りですね.そばの味にカレー粉を加えたらカレー粉の香りが乗っかる.味を邪魔しないでカレー粉の香りが乗っかるから,うまくくめるんですよ、タッグが」
水野さんは,独自のカレー文化があるという京都へ.
案内するのは京都生まれ京都育ちの料理研究家
大原千鶴さん「実は京都の人,カレーうどん大好きで,今から行くのはカレーうどんしかないお店になります」「こちらになります」
こちら,大原さん行きつけのカレーうどん専門店.
カレーうどんだけでも七種類あるこのお店.
水野さんが注文したのは,京都ならでは,油揚げと九条ネギが入った,刻みきつねのカレーうどん.
きつね(きざみ)カレーうどん | 味味香“おしながき” | 京都祇園町のカレーうどん味味香
「お出汁がよう利いてるね〜」「あ〜,落ち着くわ」
「あんがトロッとしている感じは.東京のカレーうどんでは,ここまでとろみはないですよ」「あっ,そうなんですか」
「京都では,冬がすっごく寒いじゃないですか.そういうときに,あんがあるものをいただくと,すごく体も温まるし,もともとお出汁がきいてて味があっさりしているから,あんにしておくと,何にでも味が絡んで,おいしいなるん違うかな」
「カレー粉は控えめなのにスパイシーなんですね.だから,シンプルなんですかね.使ってるスパイスが」
店主の平岡良彦さんが,店オリジナルのカレー粉に使っているスパイスを見せてくれました.
ターメリック,レッドチリ,シナモン,ブラックペパー,クローブ,ナツメグ,ガーリック,コリアンダー,クミン,オールスパイス
平岡さんが中でもこだわりが中南米原産の「オールスパイス」:一つの植物の実で,甘さとさわやかさ,ほのかな苦みを兼ね備えている.なかなかマニアックですね.
「ミックスしたカレー粉は,もう,ずっ〜と同じレシピで?」
「遍歴がありまして,今使っているのが十三代目」
「なんか,その,自家製カレーに何代目ってつけるの,ちょっと京都っぽいですね」「ハハハハ!確かに」
開店当初は歓楽街の小さな屋台.
夜中の営業が中心でお酒を飲んだあとの締めとして人気だったカレーうどん.
「飲み屋街でやってたので,もっと刺激が強いんですよ.トウガラシの量が多くって辛いんですよ」「場所が変わって,お客さんが変わって,食べるシチュエーションとかタイミングが変わると,スパイスの配合も変わると.理にかなってますねえ.これは」「それはお昼に召し上がんのと,晩召し上がんのと,飲んだあと召し上がんのと,違いますわね.それは」
そんなこだわりのカレー粉と共に,平岡さんが大切にしているものが,京都人の魂,和風出汁です.
宗太鰹,さば節,うるめ節,いわし節.
四種類の魚の削り節を独自の配合でブレンド.濃厚なうま味を出しています.
「これは?」「さば節,カレーうどんのお店で,さば節は結構大量につかわれてるとこ,多いんじゃないですか」
「出汁が最初ですよね.出汁がおろそかになったら,京都のカレーうどんじゃなくなりますからね.京都はやっぱり出汁文化の町ですから.高級な料理じゃないですけど,大阪のたこ焼きみたいに,京都のカレーうどんはこうですよ,っというのをこれからもずっと発信していきたいなと」
もっとディープな和風カレーの世界を求めて,二人は次の店に向かいます.
訪ねたのは,明治37年創業のこちらの食堂.今年で113年目を迎えます.「すごい,全然変わってない」大原さんここを訪ねるのは小学生以来だとか.
100年続くレトロ食堂 アツアツとろ〜りな名物皿に泣け!【篠田屋】(メシ通) - goo ニュース
この店の看板メニューを注文します.「皿盛り」とありますがどんな料理なのでしょう.
「皿盛りって言う言葉にはカレーのカの字もないですね」「はははは,そうですね」「皿に盛ってあるという事実だけがそこにあるっていうね」
(皿盛りと篠田屋さんについては次のサイトが詳しいので,訪問してみて下さい)
https://www.hotpepper.jp/mesitsu/entry/lc/1603034
「こんなあんかけ感たっぷりのもの, 口に入れたことないです」
100年続くレトロ食堂 アツアツとろ〜りな名物皿に泣け!【篠田屋】(メシ通) - goo ニュース
「ハハハハ」「ほんと,僕,衝撃ですよ.これ.だって,(スプーンですくったカレーあんをタラして見せながら)こんなですよ」「京都のあんかけ文化,ここに極まれりって感じですね」
「カツはカラッとカリッとしてるじゃないですか」「カツに合う.ねえ」「うんうん.バランスがとってもいい」
「味とか食感もホント新鮮なんですけど,出汁の感じは,すごく香りますね」
代々伝わる方法で出汁を取るのが店主粂秀一さんの信条.毎朝8時,その日使う分だけ作ります.
まずはうま味がよく出る利尻昆布.そして三種類の削り節を加えます.中味は企業秘密.味付けは母ツギ子さんの担当です.長年の勘で目分量で量った砂糖,そして薄口しょうゆを加えます.味付けはこれだけ.こうしてうま味たっぷり,このお店ならではのつゆができるんです.
「どんぶり勘定でやってますんで」「手ではかって,グラムではからなくって」「いつも同じ味が出ているんで,大したもんじゃないでしょうか」
つぎに水で溶いたカレー粉で香りをつけます.そして,水溶きかたくり粉をかなり多めに入れるのがこちらの流儀.実はこのあんはもともとこちらのカレーうどんのあんなのです.その濃厚で強いとろみは丹精込めた出汁のうま味カレーの香りを封じ込めるために工夫されたもの.作り方も長い間ずっと変わっていません.
「113年前から,おそらく同じ調理方法で,私も父親から引き継いだんですけど,ずっと仕入れも変わらずに,昆布とかつお節でずーっと同じ事をやっているというのがこだわりかもしれませんね」
「113年前の人もこれを食べてはったと思うと,なんか感慨深いですね」「いいですね.そうか」