「すもも」と聞いても,現代人のの多くは「???」なのでは?
私はスモモを見たことがなくよく知りません.名前だけ聞いていただけ.
http://flower777.mimoza.jp/article/58119197.html すももとは - 植物図鑑 Weblio辞書
プルーンと聞けば?
ほぼ全員が「知ってる知ってる」でしょう.
では,プラムとプルーンは違うの?違わないの?と聞かれたら?
知らないのは私だけ?
そこで調べてみました.
はじめに整理のために
1. プルーンとプラム
カタカナ英語でしょうから,はじめは英語辞典で.
prune【1】プルーン:スモモの一変種;液汁は少なく,甘い.【2】(1を干した)干しスモモ.【3】(一般に)スモモ(plum).【4】(スモモの果汁のような)濃い赤紫色.【5】(新生児や老人の)しわだらけの顔;⦅英俗⦆オールドミス.【6】⦅俗⦆(だまされやすい)ばか者,まぬけ,退屈な人,嫌われ者;いやなやつ;役立たず
プルーンとプラムは同じように使われてもいますが(【3】),
甘い「すもも」の変種(【1】)や干したもの(【2】)を主にプルーンと呼ぶ.ということでしょうか.
カリフォルニア プルーン協会のサイトでは----
https://www.prune.jp/about/qa.html
語源的には、
「プルーン」や「プラム」もギリシャ語の「プロウノン(PROUNONまたはPROUMNON)」からきた同じ言語系列とされています.
簡単にいうと「プルーン」はフランス語で,「プラム」は英語ということになりますが
もともと「プルーン」という名詞は古代アジア西部のフリジア(現在のトルコ中央部にあたり、紀元前数千年頃に栄えた)に本源がある言葉でした.
これがギリシャに入り,次に古代ラテン語に転じ,そして中世以降にフランス語 に取り入れられて「プルーン(PRUNE)」となったようです.
英語圏でも同様に「プルーン」を使っていましたが,近代になると「プラム」を用いるようになりました.
なぜこのようになったのかは定かではありませんが,習慣的にすもも全般を「プラム」と呼び,その中の乾燥用のすももの種類とその乾燥した果実を「プルーン」または「ドライド・プラム」と呼ぶのが一般的です.
一般には生のすももを「プラム」,乾燥したものを「プルーン」と呼びます.
すももには300種以上もの種類があるといわれていますが、種が付いたまま乾燥させても発酵せず,「プルーン」になれる特性のあるすもも(特に「プルーンプラム」と呼ぶ)は数種類しかありません.なぜなら、そのすももの糖度が非常に高いからです.
日本にも「プルーン」と称したすももがありますが、それを種が付いたまま乾燥させても糖度が低いため、発酵してしまうのです.
(注:プルーンを作っている業界では,甘くないプラムをプルーンと称するのは絶えられないようですね)
以上,このサイトに記事,かなり詳しい!
ケチをつけるとすると(英語辞典の訳も含めて)
:「すもも」という言葉の使い方
植物学的には,
日本語のスモモは,日本に昔からある種(Prunum salicina).
プルーンとかプラムと呼ばれているものは,種としては全てセイヨウスモモ(Prunum domestica) .様々な変種がありますが,どれも日本のスモモとは別種.
上記の文章は全て「セイヨウスモモ」について書いているのですから,「スモモ/すもも」は厳密に言えば間違い----.
とはいうものの,日本のスモモはこの記事の中に出てこないので,まー良いか?
日本のお店では,最近,主に「プルーン」が並んでいるような気がします.プルーンとプラムを区別しているのでしょうか?甘いものが売れるので,一般のプラムは,店頭から駆逐されつつあって,「プルーンプラム」が「プルーン」として並べられているのでしょか?
2. スモモ,セイヨウスモモの分類
スモモもセイヨウスモモもスモモ属・スモモ亜属に属します.
ただ,この分類は新しもので,ネット上の記載には昔の分類が残っている場合も多く,まだ混乱が見られています.
さらに,スモモ属の部分をスモモ亜科とし,スモモ亜属をスモモ属とするサイトもあったりして---.
さらにさらに,日本人のこだわりなのでしょうか---英語ではスモモ属(Prunus)を日本語のサイトの多くはCerasu(サクラ属)としています.サクラがスモモの一種みたいな感覚に絶えられない?
「次の系統図は,一例」と考えておいた方が良さそうです.
まだ,確定していない!(⇒2013年の異なった系統図を最下段に掲載しておきます.)
スモモ,プラムの系統図A
アンズやウメも同じ亜属ですが,モモは別とのこと.
そして,スモモもプルーン(プラム)も花はとてもきれい.アンズは薄いピンクで,これも美しい.
アンズとは - 育て方図鑑 | みんなの趣味の園芸 NHK出版 すももとは - 植物図鑑 Weblio辞書 スモモ - Wikipedia アンズとは - 育て方図鑑 | みんなの趣味の園芸 NHK出版
スモモは漢字では「李」.
すももとは - 植物図鑑 Weblio辞書の植物図鑑では
- 中国南部の長江流域が原産だとされています。古くから栽培され、わが国へも奈良時代に渡来しました。高さは10メートルほどになります。3月下旬から4月ごろ、白い花を咲かせます。萼片は平開しますが、「あんず」のように反り返りません。果実は6月から7月に熟し、生食用や加工用に利用されます。名前は、「もも」よりも酸味が強いことから。
- バラ科サクラ属の落葉高木で、学名は Prunus salicina。英名は Japanese plum。
3. 山田卓三先生の「万葉植物つれづれ(大悠社)」によると
スモモは中国原産で古くに渡来し,「古事記」や「日本書紀」にも登場しています.花は白色ですが,実は赤や黄色に熟するものがあります.
中国では
『桃李もの言わざれども下自ら蹊を成す トウリモノイワザレドモ シタオノズカラミチヲナス
《「史記」李将軍伝賛から》桃やすももは何も言わないが、花や実を慕って人が多く集まるので、その下には自然に道ができる。徳望のある人のもとへは人が自然に集まることのたとえ。
李下に冠を正さず リカニカンムリヲタダサズ
《スモモの木の下で冠をかぶりなおそうとして手を上げると、実を盗むのかと疑われるから、そこでは直すべきではないという意の、古楽府「君子行」から》人から疑いをかけられるような行いは避けるべきであるということのたとえ
李下に冠を正さず(リカニカンムリヲタダサズ)とは - コトバンク 』
などと,詩文によく取りあげられますが,日本ではウメのようにはもてはやされませんでした.
スモモ / 万葉集
わがそのの,すもものはなか,にわにちる,はだれのいまだ,のこりたるかも
吾が園の,李(すもも)の花か,庭に散る,はだれのいまだ,残りたるかも 大伴家持 (第19巻 4140)
吾が園の.李の花か.庭に散る.はだれのいまだ.残りたるかも
▽折口信男 万葉集
庭がところどころ,まだらに見える.自分の前栽の李の花が,庭に散っているのか,斑雪がまだ残っているのか.
▽楽しい万葉集 たのしい万葉集(4140): 吾が園の李の花か庭に散る
私の園の李(すもも)の花が庭に散っているのでしょうか.薄く積もった雪が,まだ残っているのでしょうか.
スモモ,プラムの系統図B