1月22日東京新聞日曜版大図解 No1286は「大根と日本人」.
いつもの通り美しい紙面と豊富な情報が詰まったページ.記事の中からいくつか紹介させていただきます.
この大図解で,一番多く紙面を割いていたのは「主な大根と加工品」.日本各地の“地大根”15種と“大根の漬け物”2種を紹介していました.
地大根のなんと種類の多い,そして形も様々なことか!これが全て大根?長いもの,大きいもの,丸いもの----.長いものはゴボウのように,そして,丸いものはカブのようにも見えるのに.
(紙面記載事項の紹介の前に)
1. ダイコンとカブ
ダイコンとカブはどちらもアブラナ科.これは私も知っていましたが,どのように違うのかは----.調べたところ,「属」の段階で異なっているとのこと.
・カブは,
「アブラナ目,アブラナ科,アブラナ属(Brassica ブラシカ属)」.
http://www.wdic.org/w/SCI/アブラナ属 https://ja.wikipedia.org/wiki/アブラナ属
そしてちょっとビックリするのは,
カブはアブラナと同じ種!アブラナの変種に位置づけられていること.
ミズナ、ノザワナ、コマツナ、ハクサイ、チンゲンサイ までもが同じ種!
・ダイコンはというと,
「アブラナ目,アブラナ科,ダイコン属(Raphanus ラファナス属)」.沢山の地大根は皆同じ種.そして大図解には出ていないものでは,二十日大根(ラディッシュ)も同じ種の変種とのことでした.
・ダイコンとカブ分けているのは今ではDNAレベルでしょう.
見た目で大きく違っているのは花(“キャベツにだって花が咲く 稲垣栄洋 光文社新書”).
でも,花が咲くまで置いておいたら,トウが立ちますよね.大根の花はとても美しいのですが,一回しか見たことがありません.食い気が優るのは仕方がありませんね.
なお,余談ですが---「おぼろ月夜」という歌の「菜の花畑」は野沢菜(葉っぱを食べるためのカブ)をほおっておいた畑の花だとか---(“キャベツにだって花が咲く 稲垣栄洋 光文社新書”).
さらにもうひとつ春の七草に関する余談.
・ダイコン・カブ,春の七草のスズシロ・スズナとしても知られ,七草がゆは今でも広くおこなわれている風習ですね.中国の習慣が日本に取り入れられ,古くは平安時代(延喜年間)に若菜を入れた粥の記録があるそうですが,粥に入れる若菜の種類は一定せず,現在の七草となったのは江戸期のようです.(主に日本国語辞典から)
・カブの葉はすぐ柔らかくなりますが,大根葉は茹でても堅いように思います.間引き菜なら柔らかいのですが---.と思っていたら,最近は葉っぱを食べるための大根品種もあるようです.スーパーで時々見かけたことはありますし,ネットで調べたら例えばタキイ種苗「葉ダイコン・ハットリくん」は種を購入できるようです.
(以下は紙面から)
2. 大根の収穫量
・世界の生産量・消費量の9割が日本
・日本人一人あたりの野菜消費量ランキングで堂々の1位
(2位はタマネギ,3位はキャベツ,4位白菜,5位ニンジン,6位ホウレンソウ,7位トマト,8位キュウリ,9位カボチャ)
・生産都道府県トップは北海道,2位千葉,3位青森,4位鹿児島,5位宮崎,6位神奈川
3. たくさんの地大根
紙面に寄稿しておられた藤田智氏によれば,「大根の原産地は諸説ありますが『地中海沿岸地方原産で,東方に伝わって中国で改良され,華南群と華北群に分化した』という説を支持します.『中国を二次原産地として発達した大根はかなり古い時代(二千年以上前)に中国大陸から伝播し,これらの栽培や交雑から様々な品種が誕生した』と思われます」とのことです.
そして「大根の品種数は数百」といわれ,各地域の風土文化に適応した品種が栽培されています.
以下に各地の地大根を列挙します.見出しは東京新聞のものを使わせて頂きましたが,写真はweb上のものを貼り付けました.引用先には解説が載っていますので時間がある方はクリックしてみて下さい.
松館しぼり大根 http://www.city.kazuno.akita.jp/engei/965.html
秋田いぶりがっこ http://www.iburigakko.co.jp/products/
岩手安家地大根 http://nipponsyokuiku.net/syokuzai/data/013.html
練馬大根 http://www.city.nerima.tokyo.jp/annai/fukei/daikon/index.html
亀戸大根 http://www.mikuni-marunouchi.jp/yasai/kameidoradish/index.html http://sky-tree.me/228-『亀戸大根とスカイツリー』
大蔵大根 http://www.gotokyo.org/jp/tourists/topics_event/topics/131216/topics.html
三浦大根 http://nipponsyokuiku.net/syokuzai/data/043.html
上田みどり大根 http://www.city.ueda.nagano.jp/kankojoho/gurume/meisan.html
(以下続く)
たくさんの地大根(続き)東京新聞大図解No1286「大根と日本人」(2) & アブラナ科植物の花々15種の比較 - yachikusakusaki's blog