猛暑も一休みの中,鎌倉妙本寺まで散策.
往路は大巧寺(おんめさま),復路は本覚寺(日朝さま)を通って.
どのお寺にも,大小はあるものの,サルスベリ(百日紅)が満開.
7月から9月まで,暑い中,紅い花を咲かせ続ける百日紅(さるすべり:そのまま「ひゃくにちこう」とも読みます).庭木としてとても優秀.鎌倉の寺院では沢山見られますが,以前夏の京都を訪れたときにもよく見かけました.すべすべした樹皮も美しい.
なお,「百日紅」はもともと中国語(EDR日中対訳辞書百日紅の中国語訳 - 中国語辞書 - Weblio日中中日辞典).
ただし,中国では,特に漢詩では紫薇(しび,ピンインzǐwēi)のほうがよく使われているようですが---
《ちょっと寄り道》
日本語版ウィキペディアサルスベリ - Wikipediaでは,
「サルスベリが宮廷=紫微に植えられていたから『紫薇』」とし,
他の多くの日本語のウェブ記事が,同じように記載:
文章も同じなのでおそらくウィキペディアを見て.
しかし,この説はかなり疑問:
漢詩を解説した二つのブログ記事漢詩「看百日紅」(七言絶句) ( 詩 ) - 玄齋詩歌日誌 「紫薇の花 紫薇の郎に対せり」(白氏文集)+「百日紅」 等によれば,
「唐の時代の詔勅(しょうちょく)の原稿を作る役所の『中書省(ちゅうしょしょう)』は、この百日紅(紫薇)が沢山植えてあったので、『紫薇省(しびしょう)』とも呼ばれていました」
とのこと.
「サルスベリ紫薇が沢山植えられていたので,『紫薇省(しびしょう)』と呼ばれていた」が正しいのなら,
「宮廷(紫微)に植えられていたから『紫薇』」という説には無理があるように思いますが---.
逆ですよね.
そもそも,宮廷の「紫微」とサルスベリの『紫薇』.だれがみても文字が違う!
日本語版ウィキペディアだけに頼った結論づけは要注意で(特に外国情報),安易に拡散させるのは罪のように思います.中国語のウェブサイトを読めれば,多分本当のことが分かるでしょう.どなたかが翻訳してくれるまでは,日本語版ウィキペディアの説には大きな疑問符をつけておいた方が無難でしょう.
散策から帰って,魚と野菜を買いに.いつも出かける店の店頭に花も少し置いてあるのですが,今日はお盆向けの花が.ハス,ホオズキ,そしてミソハギ.
ミソハギは漢字では禊萩.
日本国語辞典では「和名は禊萩ミソギハギの略で,溝萩は誤りという」とのこと.
「という」と書き添えてあるので確定はしていないのでしょうが---.他にも「祭事にこの花を飾り,汚れを払う為の禊(みそぎ)に使ったとされ,祭事や盆飾りの供物を清める意味から禊萩(ミソギハギ)となり、それが転じてミソハギになったとされる」http://www.geocities.jp/mc7045/sub101.htm
という記事もありました.
なお,葬儀と葬儀後の疑問解決サイトhttps://en-park.net/books/7823には,「ミソハギ,ハス,ホオズキ」に加え,「マコモ・笹だけ・山ユリ・杉の葉」そして「故人が好きな花」を盆花に揚げていました.
「地方地方でボンバナと呼ばれる花はキキョウ、オミナエシ、ヒヨドリバナ、オトギリソウ」と記しているのはhttp://www.geocities.jp/mc7045/sub101.htm.
フトモモ目 Myrtales,ミソハギ科 Lythraceae,サルスベリ属 Lagerstroemia,サルスベリ L. indica.
ミソハギは
フトモモ目 Myrtales,ミソハギ科 Lythraceae,ミソハギ属 Lythrum,ミソハギ L. anceps.
同じミソハギ科なんですね.たまたま同じ日に見た花が同じ科とは!ややビックリ.
更に調べてみると,サルスベリ属とミソハギ属は,ミソハギ科の中でもかなりの近縁!
見た目は全く違うように見えるのですが.
Rosids - Wikipedia フトモモ目 - Wikipedia ミソハギ科 - Wikipedia