新変異株オミクロンのニュースが,世界中で大きく取り上げられています.スパイクたんぱく質に30以上の変異が見つかっているオミクロン.世界中の注目を浴びるだけの驚くべき変異の数.従来株と比較して,重症化しないのか?感染力は? 現在のワクチンは効果があるのか? 世界中の科学者が懸命にその性質を調べています.ビオンテック社「必要な場合,ワクチンは100日以内に最初の出荷ができる」

“オミクロン”

今日のNHKニュース7は,冒頭の10分近くを割いて、この新型コロナウイルス・新変異株について報道していました.

ニュースウェブでは,何項目にもわたって掲載されている以下のような内容を,まとめて伝えていたためです.

 

このニュースは,世界中で大きく取り上げられ

(例えばニューヨークタイムズ

Covid News: Biden Restricts Travel from Southern Africa - The New York Times ),

ロイターの最新版では,イギリスやドイツでもオミクロン株感染者が発見されたことを報じています.

Concerns over COVID variant trigger more travel curbs, UK detects cases | Reuters

Suspected Omicron coronavirus case found in Germany | Reuters

 

スパイクたんぱく質に30以上の変異が見つかっているオミクロン.世界中の注目を浴びるだけの驚くべき変異の数.

従来株と比較して,重症化しないのか?感染力は?

現在のワクチンは効果があるのか?

 

ビオンテック社は,新たな変異ウイルスの調査をすでに始めているとしたうえで,対応するワクチンの開発が必要かどうか,2週間以内に詳しいデータが得られるとしています.

必要な場合,ワクチンは100日以内に最初の出荷ができるということです.

 

なお,科学的な知見に関しては,忽那医師が,早くもレビューを投稿.

news.yahoo.co.jp

 

また,科学誌ネイチャーもニュース記事として報道.

Heavily mutated Omicron variant puts scientists on alert

Researchers are racing to determine whether a fast-spreading coronavirus variant poses a threat to COVID vaccines’ effectiveness.

大きく変異したオミクロン亜種が科学者たちを警戒させる

急速に広まっているコロナウイルスの亜種が,COVIDワクチンの有効性を脅かすかどうか,研究者たちは競って判断しています.

 

(一部をDeepL 翻訳して最下欄に掲載)

 

NHKニュースWEBの記事

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新変異ウイルス「オミクロン株」 懸念される変異株に指定 WHO | 新型コロナウイルス | NHKニュース

「オミクロン株」で米大統領声明 “途上国にワクチン提供を” | 新型コロナウイルス | NHKニュース

成田空港で水際対策強化「オミクロン株」確認で 6か国が対象 | 新型コロナウイルス | NHKニュース

「オミクロン株」で専門家“ワクチン効果が影響されるか注視” | 新型コロナウイルス | NHKニュース

「オミクロン株」水際対策 あすモザンビークなど3か国追加へ | 新型コロナウイルス | NHKニュース

 

 

「オミクロン株」世界で渡航制限の動き 製薬会社も対応進める | 新型コロナウイルス | NHKニュース

「オミクロン株」世界で渡航制限の動き 製薬会社も対応進める

2021年11月27日 18時59分 新型コロナウイルス

 

WHO=世界保健機関が,南アフリカで確認された変異ウイルスを「懸念される変異株」に指定したことを受けて,アフリカ南部からの渡航を制限する動きが世界的に広がっています.

 

WHO=世界保健機関は26日,専門家などによる緊急の会合を開き,南アフリカで確認された新たな変異ウイルスを「懸念される変異株」に指定し,呼称を「オミクロン株」としました.

 

これを受けて,欧米やアジアなど世界各国でアフリカ南部からの渡航を制限する動きが急速に広がり,このうちアメリカはアフリカ南部の8か国からの渡航を29日から制限すると発表したほか,EUヨーロッパ連合の加盟国も,アフリカ南部の7か国からの渡航を制限することで合意しました.

 

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また製薬会社も対応を進めていて,海外メディアによりますと,ファイザーと共同でワクチンを開発しているドイツのバイオ企業,ビオンテックは26日,新たな変異ウイルスの調査をすでに始めているとしたうえで,対応するワクチンの開発が必要かどうか,2週間以内に詳しいデータが得られるとしています.

 

必要な場合,ワクチンは100日以内に最初の出荷ができるということです.

 

一方,南アフリカでは,夏の観光シーズンを前に観光業をはじめ経済への打撃を懸念する声が高まっていて,外務省にあたる国際関係協力省は,特に往来が多いイギリスによる渡航制限について「性急だ」と批判しています.

 

南アフリカ政府は,ラマポーザ大統領が出席する閣僚レベルの対策会議を,当初,28日に予定していましたが,1日前倒しして27日に開くと発表しました.

 

会議では,外出や集会をめぐる制限の強化などが検討されることになるとみられていて,国民が高い関心を寄せています.

 

新たな変異ウイルス 世界の感染状況は

南アフリカで確認された新たな変異ウイルスの感染者はこれまでに,隣接するボツワナのほか,香港,イスラエル,それにベルギーで確認されています.

 

香港で感染が確認されたのは,今月11日に南アフリカから到着したあとホテルで隔離中の男性と,その向かい側の部屋で隔離中のカナダから到着した男性の2人です.

 

2人はいずれも2回のワクチン接種を終えていたということで,カナダからの男性は,食事の受け渡しのため部屋のドアを開けた際に感染した可能性が高いとみられています.

 

イスラエルで感染が確認された1人はアフリカ南部のマラウイから戻った人だということです.

 

ベルギーの感染者はエジプトからトルコを経由して今月11日に到着した人で,ワクチンは接種しておらず,地元の公共メディアは南アフリカやその周辺には滞在していなかったと伝えています.

(以下略)

 

 

 

ネイチャーニュース記事

ニュース

2021年11月25日更新

2021年11月27日更新

Heavily mutated Omicron variant puts scientists on alert

Researchers are racing to determine whether a fast-spreading coronavirus variant poses a threat to COVID vaccines’ effectiveness.

Ewen Callaway

www.nature.com

大きく変異したオミクロン亜種が科学者たちを警戒させる

急速に広まっているコロナウイルスの亜種が,COVIDワクチンの有効性を脅かすかどうか,研究者たちは競って判断しています.

Ewen Callaway

 

南アフリカの研究者たちは,COVID-19の原因となるSARS-CoV-2コロナウイルスの新しい亜種の拡大を追跡している.この亜種は,Deltaを含む他の亜種に見られる突然変異を多く含んでおり,南アフリカで急速に広まっているようです.

 

この変種は,今月初めにボツワナで初めて確認され,その後,南アフリカから香港に到着した旅行者からも検出されています.また,ワクチンによる免疫反応を回避できるかどうか,他の亜種に比べて重症化しやすいかしにくいかなど,この亜種の特性を理解しようとしています.

 

南アフリカヨハネスブルグにあるウィットウォータースランド大学のウイルス学者であるペニー・ムーアは,「私たちはワープスピードで進んでいます」と言います.再感染やワクチンを接種した人が感染したという報告もありますが,「現段階ではまだ何も言えません」とムーアは付け加えます.

 

南アフリカのダーバンにあるクワズールー・ナタール大学の感染症内科医であるリチャード・レッセルズ氏は,11月25日に行われた南アフリカ保健省主催の記者会見で,「この変異体についてはわからないことが多い」と述べました.「しかし,この変異の意味を理解し,それがパンデミックへの対応にどのような意味を持つのかを理解するための作業を行う必要があります」.

 

11月26日,世界保健機関(WHO)は,WHOの「SARS-CoV-2ウイルスの進化に関する技術諮問グループ」の一員である科学者の助言に基づき,「B.1.1.529」として知られるこの株を懸念すべき変種に指定し,「オミクロン」と命名しました.オミクロンは,デルタ,アルファ,ベータ,ガンマとともに,WHOが現在懸念している亜種のリストに入いりました.

 

研究者たちはまた,この亜種が世界的に広がる潜在性を測定したいと考えています.これは,新たな感染の波を引き起こしたり,デルタ型によって進行中の感染増加を悪化させたりする可能性があるからです.

 

スパイクの変化

研究者たちは,ボツワナからのゲノム配列データからB.1.1.529を突き止めました.この変異体は,宿主の細胞を認識し,体の免疫反応の主な標的となるSARS-CoV-2のタンパク質であるスパイクタンパク質に30以上の変更が加えられていることから,注目を集めました.この変化の多くは,デルタ型やアルファ型などの亜種に見られるもので,感染力を高め,感染を阻止する抗体を回避する能力に関連しています.

 

南アフリカでは,ヨハネスブルグを擁するハウテン州でこの型の感染者が急増していることが明らかになり,警鐘を鳴らしています.レッセルズ社によると,ハウテン州では11月に,特に学校や若者の間で感染者が急増したとのことです.KwaZulu-Natal大学のバイオインフォマティシャンであるTulio de Oliveira氏が率いるチームが行ったゲノム配列解析およびその他の遺伝子解析の結果,11月12日から20日の間に採取されたハウテン州のウイルスサンプル77個すべてにB.1.1.529変異体が関与していることが判明しました.現在,さらに数百のサンプルの分析が進められています.

 

この変異体にはスパイク状の変異があり,ゲノム配列解析よりもはるかに迅速に結果が得られるジェノタイピング検査で検出することができるとレッセルズは述べています.これらの検査による予備的な証拠から,B.1.1.529はハウテン州よりもかなり遠くまで広がっていることがわかりました.「この変異体は,すでに国内でかなり広範に広がっているのではないかと懸念しています」とレッセルズは述べています.

 

ワクチンの効果

B.1.1.529がもたらす脅威を理解するために,研究者たちは南アフリカやその他の地域での広がりを注意深く追跡しています.南アフリカの研究者たちは,2020年末に同地で確認されたベータ型の変種を迅速に研究するための努力を結集し,同様の努力でB.1.1.529の研究を開始しています.

 

ムーアのチームは,ベータの免疫を逃れる能力に関する最初のデータを提供しましたが,すでにB.1.1.529の研究を開始しています.B.1.1.529は,感染を阻止する抗体やその他の免疫反応を回避する能力があるかどうかを調べる予定です.この変異体は,抗体が認識するスパイクタンパク質の領域に多くの変異があり,抗体の効力を弱めている可能性があります.ムーアは,「多くの変異が問題となっていますが,さらに多くの変異が,さらなる回避に寄与しているように見えます」と語ります.ムーアは,コンピュータ・モデリングから,B.1.1.529がT細胞と呼ばれる免疫系の別の構成要素から与えられる免疫を回避する可能性があることも示唆されているといいます.彼女のチームは,2週間以内に最初の結果を出したいと考えています.

 

英国のオックスフォード大学でウイルスの進化を研究しているアリス・カッツーラキスは,「非常に多くの変化があるため,ワクチンの効果が低下するのではないかというのが大きな研究課題です」と述べています.ムーア氏によると,南アフリカで使用されているジョンソン・エンド・ジョンソン社,ファイザー・ビオンテック社,オックスフォード・アストラゼネカ社の3種類のワクチンのいずれかを接種した人の間で,ブレークスルー感染が報告されているといいます.報道によると,香港で隔離されていた2人の旅行者のうち,このウイルスの陽性反応が出た人は,ファイザー社のワクチンを接種していたとのことです.一人は南アフリカからの旅行者で,もう一人はホテルでの検疫中に感染しました.

 

南アフリカの研究者たちは,B.1.1.529が他の変異体よりも重症化させるのか,もしくは軽症なのかどうかについても研究する予定とレッセルズ氏は述べています.「本当に重要なのは,病気の重症度についてです.」

 

今のところ,B.1.1.529が南アフリカ以外の地域に及ぼす脅威は,はっきりしていないと研究者たちは言います.また,南アフリカでは現在,COVID-19の症例数が少ないため,この変異体がDeltaよりも感染力が強いかどうかも不明だとMoore氏は言います.というのも,南アフリカでは現在,COVID-19の感染者数が少なく,「小康状態にある」からだといいます.カッツーラキス氏は,デルタが非常に流行している国は,B.1.1.529の兆候に注意すべきだと言います.「我々は,このウイルスが競争上の成功を収め,流行が増加するかどうかを見る必要があります.」

 

doi: https://doi.org/10.1038/d41586-021-03552-w

 

更新情報&修正情報

2021年11月27日更新.世界保健機関がこの変種をオミクロンと命名し,懸念される変種に指定したことを記事に掲載しました.