友人曰く「ツワブキの若い葉柄は,蕗よりも美味しい」.残念ながら私は食べたことがありません.日本国語大辞典によれば古名は「つわ」で出雲風土記(733)に見られるとのこと.漢字「橐吾」が中国名.「石蕗」と書いてツワブキと読ませる日本人の頭の柔らかさはなかなかのもの.

花が少なくなった晩秋から初冬にかけて咲く石蕗(つわぶき).

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友人曰く「若い葉柄は,蕗よりも美味しい」.残念ながら私は食べたことがありません.

花は蕗よりも圧倒的に美しく,葉も光沢があって観賞用の植物としてはなかなか.

蕗が優っているのは蕾=フキノトウの美味しさのみ?

ツワブキ

名前からして蕗(ふき)の一種かと思わせますが-----

実際には近縁の別属.

 

 

名前の由来は

「葉につやがありふきによく似ることによる」(ニッポニカ)とありますが----

古名は「つわ」(日本国語大辞典).出雲風土記(733)に見られる名前.

日本国語大辞典が正しければ,「つわ」に後から蕗(ふき)がつけられた名前ということ.「つわ」を無理に「つや」に結びつける必要は全くないことになりますね.

 

精選版 日本国語大辞典「橐吾」の解説

つわ つは【橐吾】

〘名〙 =つわぶき(橐吾)

出雲風土記(733)意宇「砥神嶋〈略〉椎・松・莘・薺頭蒿・都波(ツハ)・師太等の草木あり」

たく‐ご【橐吾】

〘名〙 植物「つわぶき(橐吾)」の漢名.〔薬品手引草(1778)〕

 

そして

中国語名「橐吾」には,幾つもの日本語読み(ツワブキ/つわ/つは/たくご)を当ててきました.ツワブキ/つわ/つは/たくご と読み方はまちまちでも,指しているものは同じでツワブキということになります.

 

もう一つ漢字のことで付け加えれば,「蕗」は国字で,中国では「つるむらさき」または「甘草」を意味しています(字源).

長田弘氏流に言えば「蕗はふきではない」

石の間からでも生えてくる「ふき」を石蕗と書き表し,「つわぶき」という訓を与え,何の違和感もなく使える日本人の頭の柔らかさはなかなかのもの.

 

ツワブキ

キク目 Asterales,キク科 Asteraceae,キク亜科 Asteroideae,Senecionodae(上連),Senecioneae(連),

ツワブキ属 Farfugium,

ツワブキ F. japonicum

 

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