友人からエビネを一株頂きました.庭中至る所に生えていると言っていました.
「地下には球根のような偽鱗茎(バルブ)というものが10個前後連なっていて,エビの背のように見えることから,エビネと呼ばれます」
エビネ(春咲き)とは - 育て方図鑑 | みんなの趣味の園芸 NHK出版
とのこと.(植え付ける前に根の写真を撮っておくべきでした)
名前は知っていた物の,実は,見るのは初めて.
落ち着いた美しさをもった花.
エビネは
キジカクシ目 Asparagales,ラン科 Orchidaceae,エビネ属 Calanthe,
エビネ C. discolor
エビネはランなんですね.
友人はエビネランと呼んでいましたが,この名前は現在では余り一般的には用いられていないようです.
属名カランセ Calantheは「美しい花」という意味のギリシャ語がもと.エビネの種類 | 蘭裕園
かつて,昭和40年頃,東洋ランブームがあって,自生地が掘り起こされてしまったとか.エビネの育て方 - ガーデニングの図鑑
頂いた株は華やかさはないものの,“エビネ”で検索すると,様々な色の華やかな装いのエビネもある!
栽培種は多岐に渡っているようです.
エビネの育て方を極める - 最先端のエビネ栽培法 | 蘭裕園
以下,主に蘭裕園のウェブサイトの引用です.
エビネの育て方を極める - 最先端のエビネ栽培法 | 蘭裕園
エビネの仲間には春咲き種と夏咲き種があり,春咲きエビネの代表がエビネ(Calanthe discolor)で,ジエビネとも呼ばれています.
一般的に栽培されているものは,下記五つの原種とこれらが自然交配することで生じた自然雑種 (ヒゼン系,ヒゴ系,コオズ系,サツマ系など),あるいは5つの原種をもとに人工的に交配して生まれた種類 (Cal.Hizen,Cal.Higo,Cal.Kozu,Cal.Satsuma) など.
5つの原種
1, ジエビネ (Cal.discolor)
2, キエビネ (Cal.siebildii あるいは storiata)
3, サルメンエビネ (Cal.tricarinata)
4, ニオイエビネ (Cal.izu-insularis)
5, キリシマエビネ (Cal.aristulifera)
春咲きエビネの楽しみ方.過去から現在に至るまでの経緯
春咲きエビネは今から約30~40年前,山野草栽培の大ブームがあり,一般の人にも広く知られるようになりました.このときは山から採取してきたエビネを山野草の一つとして鉢や庭に植えて楽しむことが主流でした.
また,珍しい個体ばかりを好んで収集し,特別な鉢に入れて,楽しむ人も多くいました.
専門の業者により,東洋ランに倣うように〈和〉をうたいエビネ独特の価値観や鑑賞の仕方,また栽培方法も確立され,それに熱烈な収集家が同調する形で東洋ラン的な植物として,全国に広がっていきました.
同じ頃,数人の研究者らにより,エビネの園芸化を目的とした育種も行われるようになりました.やがて人工的に交配したエビネがあちらこちらで咲いてくると,研究者以外でも (自分も交配し) 種まきをして,エビネを作り始める人たちが爆発的に増えました.こうして今では人工作出があたりまえとなり,現在では改良の進んだ花卉へと成長しています.
しかし残念なことに,いまだに東洋ラン的な植物あるいは山野草として考えている方が殆どで,カラフルで綺麗なランとしてエビネ栽培を楽しんでいる人はそれほど多くありません (少数です).
一方で,ヨーロッパを中心とした海外では,日本のとてもカラフルな春咲きガーデンオーキッド=庭植えできる蘭の存在を知り,話題になっています.
エビネの楽しみ方は幾つかありますが,自分がどのようなスタイルでエビネを楽しみたいのか,その他目的によっても植え替えの適期や光の当て方,肥料の与える時期など,その他多くの事柄も違ってきます.
- 主に山野草や野生蘭として,庭植えあるいは鉢植えでまたは茶花として日本的な趣を楽しむ.
- 主に珍しい個体を収集して,オモト鉢,観音鉢などを使用し,東洋ラン的,あるいは古典園芸植物的に和風で楽しむ.
- 上記二つとは違い,洋風の鉢やプランター等,様々な器を使用.あるいはカラフルで華やかなガーデンオーキッド (庭植えできる蘭) や,また,綺麗な切り花として,自由に楽しむ.