イヌタデ属には.小さくてかわいらしい花をつける植物が沢山あります.サクラタデ.ミズヒキ,イヌタデ,ミゾソバ----.イヌタデは食べられますが,食べられるといえば何といってもヤナギタデ.江戸時代には立派な野菜とみなされていたようです.我が宿の 穂蓼古幹摘み生し 実になるまでに 君をし待たむ 万葉集

昨日とりあげたサクラタデ.その花は,小さなかわいらしい姿をしていました.

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他のサイトの画像をお借りすると----その美しさがひときわ輝いています.

 

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https://matsue-hana.com/hana/sakuratade.html

サクラタデは,タデ科イヌタデ属の植物.

身近なところでは,ミズヒキ,イヌタデなどが属します.

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https://matsue-hana.com/hana/mizuhiki.html

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この両者,一般的には雑草扱いとは思いますが,なかなか美しい姿を見せてくれます.

ミズヒキの赤色は,他の植物には見られないものですね.

赤まんま=イヌタデも,改めて観察するとなかなか.

イヌタデは食べられるということで,飾りにあしらったレシピがネット上に幾つか紹介されています.

イヌタデ(食べられる野草) | 食べられる野草図鑑~食べると危険な毒草も収監! イヌタデ(犬蓼)とは?植物としての特徴や利用法を解説!育てられる? | BOTANICA

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友人のオススメは若芽のサラダ.天ぷらもいけるそうですが,どちらもネット上で画像やレシピは見つけられませんでした.

  

イヌタデ属には.小さくてかわいらしい花をつける植物が他にもあります.

私が,この属第一と思っていたのが,ミゾソバ

以前関西在住の頃,水辺でよく見かけた,誰にも愛される花姿.出会った時はほっとする一瞬でした.

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https://matsue-hana.com/hana/mizosoba.html

 

ロックガーデン用に明治時代に導入されたウィキペディアというヒメツルソバタデ科

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ヒメツルソバとは - 育て方図鑑 | みんなの趣味の園芸 NHK出版

現代でもグラウンドカバーとして植えられているのをよく見かけます.

寒さに弱いのが難点ですが,ほおっておいても育ってくれる点では優等生.私も以前楽しませてもらいました.

 

花の美しさでは今ひとつなのがホンタデとも呼ばれる,ヤナギタデ.

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ヤナギタデ Persicaria hydropiper タデ科 Polygonaceae イヌタデ属 三河の植物観

 

たで酢(蓼酢)として利用されることでよく知られた種.

葉っぱさえ手に入れば,すり鉢でするだけでOKなんですね.私はつくったことがありませんが---

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たで酢 レシピ 柳原 一成さん|【みんなのきょうの料理】おいしいレシピや献立を探そう

 

このタデ.江戸時代には野菜として流通していました.

本朝食鑑(1697年)に記録されています.

http://jshe.jp/doc_top/column_20190605.pdf

また,何でも早い物好きな江戸っ子に対する規制(具体的には売買取引の開始時期が決められていたのですが)を記した御触書書に椎茸,土筆,リンゴ,松茸などと並んで蓼の名が.

刺身料理と地廻り醤油|江戸の外食文化|日本食文化の醤油を知る

蓼は,当時,なくてはならない調味料だったのでしょう.

蓼酢だけではなく,薬味として様々な料理に用いられていたようです.例えば押し寿司に蓼を添えて食べるという記録があります.

 刺身料理と地廻り醤油|江戸の外食文化|日本食文化の醤油を知る

 

タデがいつ頃から料理に利用されていたのかは,調べきれませんでした.

しかし,タデが万葉集に詠まれていることは広く知られています.

若菜摘みが大切な日常であったろう古代.タデも当然食べられていたはずというのが,私の素人考え----

 

以下,山田卓三先生の「万葉植物つれづれ 大悠社」より

 

蓼(たで) 万葉集

我が宿(やど)の 穂蓼(ほたで) 古幹(ふるから) 摘み生(おほ)し  実になるまでに 君をし待たむ 

作者不詳 (巻十一,2759/2769)

 

 タデは古い茎を摘むとそこからまた新しい茎を伸ばし,それが柔らかいのでまた食用になります.

歌は「穂の出た古い茎を摘んで育て,再び実がなるまでもあなたを待っています」の意です.

 タデには多くの種類がありますが,辛みのあるのは万葉のタデ,すなわち現在のヤナギタデ(本物のタデの意でホンタデの別名がある)だけです.

水質地に生え,葉がヤナギに似ているためこの名があります.

イヌタデは辛みがないのでつけられた名前です.

 「蓼食う虫」という言葉がありますが,タデの辛い葉を食べる虫もいることから来ています.

ヤナギタデを食べる昆虫として,タデサルゾウムシ,コガタルリハムシなどが知られています.

 

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