東京は現在,感染者が減少傾向にあることは分科会としても認識を共有したとしながら,実効再生産数が1をギリギリ下回って状態が続いているため,「これからどうなるかわからない」ということが議論の争点となった.「感染は下火にはなっているけれども,本当に定着するところまではいってない」新型コロナ分科会

BuzzFeed ·最後の更新 2020年9月12日. 公開 2020年9月12日 

Go To トラベル,東京追加はまだ早い? 感染拡大すれば「信頼を失う」,新型コロナ分科会が提言した理由

政府が示した「Go To トラベル」キャンペーンへの東京追加,イベント開催規模の制限緩和,大都市の歓楽街における感染拡大防止対策等について議論を行った新型コロナウイルス対策専門家分科会.会見で尾身茂会長が繰り返し強調したこととは.

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(前略)

 

分科会が前のめりな政府に呈した苦言

 

分科会は「Go To トラベル」開始の条件は感染状況が下火になっていることだと強調している.

 

西村大臣は東京の感染状況について,いくつかの指標はステージ2のステップにあるとした一方,いくつかの指標はステージ3のステップにあると各指標の現在の最新情報をもとに語り,「(東京の感染状況は)ステージ3にあるとは言えない」とコメントした.

 

「さらに言えば,減少傾向が明確になってきています.改善はしていっていますから,状況について説明申し上げ,10月のスタートについて(分科会に)基本的には了解いただきました」

 

「ただ,今後の状況次第,現在は実効再生産数が1を下回っていますが,1に近い.クラスターが出ればどんと増える.そうした状況を見極めて判断.このまま改善状況が続けば10月1日から開始をしていきたい」

 

(※実効再生産数:1人が何人に感染させるかを示す指標)

 

このように述べ,基本的には10月1日に東京を「Go To トラベル」キャンペーンに加える方針であることを繰り返し強調した.

 

「もうブレーキから足を外して,アクセルを踏む状況ではない」と現在の状況を慎重に表現しながらも今後は「ブレーキを踏んでいる足を慎重に上げていく」段階であるとしている.

 

尾身会長は会見で時間を割き,分科会でどのような議論を経て,今回の提言がまとめられたのかを詳しく語った.

 

ポイントとして提示されたのは,分科会の提言には詳細な日付が記載されていないということ,あくまで感染状況のステージについて言及したということだ.

 

東京は現在,感染者が減少傾向にあることは分科会としても認識を共有したとしながら,実効再生産数が1をギリギリ下回って状態が続いているため,「これからどうなるかわからない」ということが議論の争点となったことを明かした.

 

「感染は下火にはなっているけれども,本当に定着するところまではいってないのではないか」

 

感染状況は下火になっているものの「盤石ではない」というのが医療界から参加しているメンバーの意見だという.

そのため,会見では現在は感染状況が下火になりつつあるものの,常に感染が再燃する可能性があることを強調した.

 

「今,Go To キャンペーンから東京を外している中で,仮に,ステージ1とか2という条件を満たさないでやってしまって,感染が拡大してしまうということが起きた場合,せっかく始めたGo To トラベルというものが信頼を失うのではないかというのが今回,私たちの根拠です」

 

「せっかくこれだけ税金を使ってやる事業ですから,ある程度の基準があって説明ができないと一般市民が納得できないのではないか」との認識から,具体的なステージの記載がなされたという.

 

国が前のめりになって,東京を「Go Toトラベル」キャンペーンの対象に追加することについては「気持ち,考えはわかる」と理解を示しながら,「ステージ3にある時にやってしまえば,信頼を失う」と分科会が苦言を呈した形だ.

 

「もちろん国が,10月1日ですかね,そういうふうに準備することは当然でしょう.

けれども,それを前提として決めて,何がなんでもやるんだということについて,私たち分科会は『待ってくださいよ』と.

『(ステージが)1あるいは2になってからやった方がいい』と今日かなり強くお伝えしました」

 

(後略)

 

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