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新日本風土記「ビール」3
続いて,京都.
丹後半島の付け根にある与謝野町は,ひょんなことから,ビールと関わることになりました.
町長の山添藤間(やまぞえとうま)さんです.
「この地域でホップを作ることによって,地域づくりをしていきたいという方々がいらっしゃったので,その方々と協力をしながら,ホップの栽培を始めるというプロジェクトを,今,行っています.ここが,その圃場(ほじょう)ですね」
京都をホップが動かす.
山間の農村に広がるホップ畑.
https://www.jbja.jp/archives/11255
もともとは水田でした.
農場主は藤原ヒロユキさん.収穫の時期を迎えています.
https://yosano-kankou.net/hop/yosanohop2019/
山添さん「こんにちは」
藤原さん「こんちは.おひさしぶり」
「もう収穫の方」「ええ,すごいですよ.あそこら辺なんかも,すごく,たわわで」
「ほんとだ.たわわですね,しっかりしてますね.なんか」
「粒も大きいし.そだってるやつ,一度割ってみて,中の,このルプリンっていう黄色い粉が,これ,ビールに大切な成分なんですけど」
https://www.facebook.com/hiroyuki.fujiwara.16/media_set?set=a.422024447883463&type=3
細かな黄色い粒.ビールの苦みや風味の決め手となるルプリンです.
取材者「いい香りですね」「いいね.すごいすごい」
与謝野町で,ホップの栽培が始まったのは,4年前.きっかけは,藤原さんの,ちょっとした遊び心でした.
暑さに弱いホップは,北海道,東北,信州など,寒冷地で栽培されています.
それを承知で.大のビール好きだった藤原さんは,知人からもらったホップの苗を試しに庭に植えてみたのです.
「これなんです.記念すべき,与謝野に生えた一番初めのホップ」「1〜2年は,何にも出なかったんですよ.で,まあダメかなと思ってたら,多分3年目やったと思いますけど,これぐらいのが出来てたんで,へ〜と思って.ちょっと出来ましたね.できるんだって感じ」
これに興味を持ったのが,町長になったばかりの山添さん.
伝統の丹後ちりめんに加えて,町を支える新たな産業を探していました.
山添さん「チャレンジできるのであれば,そこには希望がある.これは可能性があるんじゃないかと思ったことが一番最初のきっかけですね」
町がバックアップに乗り出したホップ栽培.結果は上々で,最初の年から出荷することができました.
https://www.springvalleybrewery.jp/pub/kyoto/
いろんな種類のビールを味わうことができます.
https://www.springvalleybrewery.jp/pub/kyoto/
店内にある醸造所では,とれたばかりの与謝野のホップでビールの仕込みが始まりました.
「やっぱり,フレッシュなホップにしかない香りがある.生のホップを使うとこういう香りになることを,一人でも多くの人に知ってもらいたい.ということで,手間をかけてやっているわけで」
与謝野のホップを使ったビールがこちら.
https://www.springvalleybrewery.jp/pub/kyoto/
「すごい.もう香りが断然違いますね.あと,口の中に入ってからの,この余韻とかも」
「すごい,おいしいですよ」
「しかも,なんか,京都でとれて作ったっていうの,ちょっと,一人じーんと感動してたとこなんです」
さて,作業が一段落した藤原さん.
お待ちかねのビールの時間です.
これがなんとも型破り.
摘み取ったばかりのホップを割って,(漉し器に入れて,その上からビールを注ぐ)
与謝野ホップ体験2019開催決定!7月20日27日は、ホップ収穫&ホップ増し増しビールを飲もう! – 日本産ホップ推進委員会
取材者「何ビールと呼んでいるんですか?」
「僕は,ホップ増し増しビール.生産者しか楽しめない,究極の生ホップ体験ですね」「そうですね」
「もう,ルプリン,溶けてるのが分かるもんね.色もだって,全然違うでしょ」「全然違いますね」「この,クリアじゃない-- ああもう,香り全然違うもんな」
「ビールは自由ですし,文化です.うん,ほんとそう思う」「自由ですね」「自由でしょ?」「ハハハハハハ」「自分で増し増しにしたからね」
与謝野ホップとビール.
物語には,まだ続きがあるのですが,それはまた後で.