おうし座Tau/ Taurus(the Bull)
Star Myths | Theoi Greek Mythology
昨日,一昨日は,おうし座の牛の第1候補クレータの牡牛の神話.
アポロドーロス ギリシャ神話 高津春繁訳 岩波文庫(偽アポロドーロス「ビブリオテーケー」日本語訳)の記述を転載させてもらいました.
もう一度,概略を記載すると:
「クレータの牡牛」は,ポセイドーンによって,ミーノース(ゼウスとエウローペーの子)に送られた牛です.
この見事な牡牛のおかげで,ミーノースは王国を獲得しましたが,約束通りに牡牛を犠牲に今日することはしませんでした.ポセイドーンは憤り,この牡牛を猛悪にし,ミーノースの妻・パーシパエーが牡牛に欲情を抱くように企み,パーシパエーは牡牛の顔を持ったミーノータウロスを産むこととになります.
この牡牛は,ギリシャ神話第一の英雄ヘーラクレースの「十二の功業」の物語へと引き継がれます.
第7番目の仕事として,クレータ島の牡牛を連れてくることを命じられたヘーラクレースは,クレータに来てそれを捕獲し,エウリュステウスに見せた後,自由に放ってやります.
その後,牡牛はマラトーンに来て住民を悩ませます.
この牡牛には,更に後日談があって,
ミーノータウロス退治などで知られる英雄テーセウスによって退治されたとされています.
おうし座の神話についてのthe Theoi Projectの記載では,
候補となる牛は,この「クレータの牡牛」だけではありません.
ゼウスが恋に落ちたテュロスの王女エウローペーを運んだ牡牛,やはりゼウスの恋人で,牝牛に姿を変えられたイーオーとする説もあるとしています.
そして,その下には,更に次の二つの神話が!
▽HYADES
実際の星座に疎い私.
はじめは「まだ他におうし座の神話があるのか?」と思ったのですが----.
これはおうし座の中にある星団にまつわる神話でした.
明日は,この神話について取り上げることにして,今日は二つの星団が,おうし座のどこに位置するかについて,以下,ウェブ上の星座図鑑の記載から.
なお,日本語の星団としての「正式な名前」はプレアデス星団のようですが,ギリシャ語や英語に近づけた呼び名はプレイアデス星団.ネット上でも星を専門とするサイトはプレアデス,神話のサイトではプレイアデスと表記しているようです.
このブログではプレイアデスをできるだけ優先して使うつもりですが,引用文の都合でどうしても入り交じってしまうことをお許し下さい.
PLEIADESとHYADES https://rika-net.com/contents/cp0320d/contents/a2_05/oushi.html
冬の,夜になってまだ間もない時間.夜空の頭の真上あたりを見ると,ホタルの群れのような「プレアデス星団」と,V字形のまばらな星の集まりの「ヒアデス星団」が見えます.
このふたつの星団がおうし座の目印であり,「プレアデス星団」は牡牛の肩先,「ヒアデス星団」が牡牛の顔にあたるのです.
おうし座 | 発展学習・星座図鑑 | 動画で見る月と太陽と宇宙
その牡牛の目にあたるのは,赤く光り輝く「ヒアデス星団」の1等星「アルデバラン」.
「アルデバラン」は地球から65光年のところにあり,151光年離れている「ヒアデス星団」より,実はずっと近くにあります.「アルデバラン」は「ヒアデス星団」の手前にあるため,重なって見えるのです.「アルデバラン」は牡牛の赤目に見立てられ,「ブルズ・アイ」とよばれることもあります.
なお,プレアデス星団(プレイアデス星団)の日本名が「すばる」.
星々が糸で結ばれるように集まっていることから,古代人のアクセサリーの玉飾りの意味で「統(す)ばる」とよんでいたとのことです.