おうし座Tau/ Taurus(the Bull)
Star Myths | Theoi Greek Mythology
この星座となった牛の候補の一つがクレータの牡牛.
偽アポロドーロスによるビブリオテーケー(日本語訳ではアポロドーロス「ギリシア神話」)によれば,ミーノース(ゼウスとエウローペーの子)の願いを聞き入れてポセイドーンが与えた牡牛とされています.
ミーノースは,牡牛を神への犠牲にするという約束を守らなかったため,ポセイドーンは牡牛を猛悪にします.さらに,ミーノースの妻パーシパエーがこれに対して欲情を抱くように企み,パーシパエーは,頭が牡牛のミーノータウロスを産むことになります.
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さらに,この牡牛は,ギリシャ神話第一の英雄ヘーラクレースの「十二の功業」の物語へと引き継がれます.
ヘーラクレースは,ゼウスとアルクメーネー(ペルセウスとアンドロメダーの孫に当たります)の子.アルクメーネーの婚約者アムピトリュオーンに姿を変えたゼウスが思いを遂げ,ゼウスが生まれました.
しかし,その結果,ヘーラクレースは生まれたときからゼウスの妻へーラーの憎しみをかい,十二の功業は,へーラーによって与えられた狂気の中,自らの子どもを殺した罪を償うために行った冒険物語.
Heracles - Wikipedia ヘーラクレース - Wikipedia Heracles | Encyclopedia Mythica
昨日に引き続き, 岩波文庫版,アポロドーロス「ギリシャ神話」(高津春繁訳)より.
第二巻Ⅳ-12
ミニュアース人に対する戦さの後にヘーラーの嫉妬のために気が狂い,メガラーによって得た自分(ヘーラクレース自身)の子供とイーピクレースの二人の子供とを火中に投じた出来事があった.
それゆえに彼(ヘーラクレース)は自分自身に追放の判決を下して,テスピオスによって(罪を)潔(きよ)められて後,デルポイに赴き,どこに居住すべきかを神に問うた.
ピュートーの巫女はその時初めてヘーラクレースと彼を呼んだ.
というのはそれまでアルケイデースと呼ばれていたからである.
彼はティーリュンスに住み,エウリュステウスに十二年間奉仕して,命ぜられる十の仕事*を行い,かくして,と巫女は言った,功業が完成した後に,彼は不死となるであろう,と.
*実際には12の仕事が与えられました.
第二巻Ⅴ-7
第七番目の仕事としてクレータ島の牡牛を連れてくることを命じた.
アクーシラーオスはこれはゼウスのためにエウローペーを海を渡した牡牛であると言っているが,一部の人々はミーノースが海中より現れたものをポセイドーンに犠牲に捧げようと言った時に,ポセイドーンによって海中から送り上げられたものであると言っている.
そして彼は牡牛の美しさを見て,これを牛の群へと送り,他のをポセイドーンに捧げた.これに怒って神は牡牛を凶暴にしたのであると人は言っている.
この牛を捕らえるためにヘーラクレースはクレータに来て,ミーノースに協力して捕らえることを頼んだのに対してミーノースは自分で闘って捕えるように答えたので,へーラクレースはそれを捕獲してエウリュステウスの所に持って行って見せた後,自由に放ってやった.
CRETAN BULL (Tauros Kretaios) - Labour of Heracles in Greek Mythology
牡牛はさまよってスパルタとアルカディーア全土を通り,さらにコリントス地峡を渡り,アッティカのマラトーンに来て住民を悩ました.